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2006年(平18)10月12日 議会レポのロゴ No.321

※市の甘すぎる対応
 9月定例会に「訴えの提起について」という議案が3件ありました。いずれも、市営住宅や改良住宅に居住している人を相手に、滞納使用料、損害金の支払い と明け渡し訴訟を行うものです。

 この議案はいずれも可決されましたが、事情を知れば知るほど不公平感が募ってくるものでした。

 市営住宅等は、住宅に困っている等の人を支援する目的で運営されていますが、戸数も限られ入居希望者も多く、その管理運営には細心の 注意が必要で、入居者間や市民に不公平感をもたれるような事があってはなりません。その為に、条例や規則で細かく決められているのですが、その運用がしっ かりとされていないと思うのです。

 例えば今回の議案は、住宅使用料(いわゆる家賃)を長期にわたって滞納し再三の催告等にも応じないため訴えに至ったものです。です が、この間の対応はどうだったのでしょうか。

 条例では次のようになっています。

第40条 市長は,入居者が次の各号のいずれかに該当する場合において,当該入居者に対し,当該市営住宅の明渡しを請求することができ る。
(1) 不正の行為によって入居したとき。
(2)    使用料を3月以上滞納したとき。
(3)    以下略

 滞納についてはこのように定められていますが、その運用では内部基準があり、その基準は「1年以上の滞納又は100万円以上の滞納」になってようやく相 手を訴えるというものです。その内部基準でさえ、甘すぎると思うのですが実際の運用ではさらに甘くなっている現状があります。
 今回の議案を見てみると、

入居者@ 86ヶ月分(約7年分)166万円の滞納
入居者A 49ヶ月分 322万円の滞納
入居者B 59ヶ月分 104万円の滞納

となっています。

 この数字、みなさんはどう思われますか?

 同じ入居者の人からすれば、「そんな事が許されるなら、私も…」となりかねませんし、ましてや、賃貸住宅で高い家賃を払っているある いは住宅ローンに苦労している市民からすれば、「私の税金をそんなところに使うな」と言いたくなるのではないでしょうか。
 やはり払うべきものはきちんと払ってもらい、徴収が難しい場合は早めの段階で福祉関係とも相談しつつ解決する、この姿勢がなければなりません。

 訴訟まで至ったこの3件は氷山の一角です。結局徴収できずに欠損として扱われる金額がどれ程多いことか。

 3月の予算委員会、9月の議会で資料を出させたのですが、それを見て驚きました。住宅使用料だけで滞納金額が約1億5千万円もあるの です。今年の7月末時点で100万円以上の滞納者は53人。そのうち200万円以上の滞納者は19人で約4600万円の滞納があります。19人のうち4人 は既に市営住宅から退去していますが、約1000万円が滞納のままです。おそらくこれも回収できずに不納欠損となっていくのでしょうか。

 使用料は、1万円から3万円がほとんどです。それを滞納してこの金額ですから、どれだけ入居者に甘いのか。また、それを許しているの か。民間では到底考えられないことです。

 条例どころか内部基準に照らしてもいかがなものでしょうか…。

 市の取り組みとして、

○3ヶ月以上の滞納者で催告に応じないものに対し、住宅課への出頭を求め、納付誓約等今後の納付指導を強化した。

○年4回徴収月間を設けて、建設部長以下住宅課全員による休日、夜間の訪問を行った。

を行っていますが、その効果があってのこの現状ではやはり問題です。

 理解に苦しむのは、使用料より分納の金額が低い事例もあること。例えば使用料が2万円、滞納金額が200万あり、相談の結果、分納す る事になるとします。

 一般的に考えれば、毎月の使用料プラス滞納金額の一部を払うことになりますから、2万円+αですが、2万円に満たない金額を払う事例 もあるのです。具体的事例では使用料約4万円で滞納が250万円、でも毎月払っているのは2万円。また、使用料が2万6千円で滞納が約250万円あるのに 毎月払っているのは1万円など。つまり滞納金額が減るどころかどんどん増えていく分納も認めているのです。その分納さえ未払い…

★芦屋市の住宅使用料等滞納額     約1億5千万円
★芦屋市の市税等全ての滞納額     約38億円
★過去5年間で時効等で債権消滅    約17億円

しっかり回収の努力を!

(市会議員・中島健一)

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