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2017年(平29) 6月定例会 一般質問



○副議長(帰山和也君) 
 次に、認定(認証)制度の創設を、本件について、中島健一議員の発言を許可いたします。
 本質問は、一問一答方式により行われます。
 14番、中島健一議員。

◆14番(中島健一君) =登壇=
 それでは通告に沿って一般質問を行います。
 私の今回のテーマは、認定(認証)制度の創設をの1点に絞っております。

  質問に当たり少し説明をしておきたいと思います。皆さん「CSR」という言葉を御存じでしょうか。「CSR」とは「Corporate Social  Responsibility」の略語で、企業の社会的責任を意味します。辞書を引用しますと「企業は法令を遵守するだけでなく、人権に配慮した適正な雇 用・労働条件、消費者への適切な対応、環境問題への配慮、地域社会への貢献を行うなど、企業が市民として果たすべき責任をいう。」そうです。

 さて、このCSRは産業界では早くから取り組みが行われており、社会からの信頼、尊敬を獲得できる企業を目指し、さまざまな自己革新活動や社会貢献活動が展開されています。

  しかし一般的に、日本の企業がCSRに期待しているものは、企業の持続的発展であり、利益実現が主な目標で、本来のCSR活動であるところの企業が市民と して果たすべき責任であるところの地域社会への貢献などは二の次と考えている経営者もまだまだ多く、利益幅の小さな企業におけるCSRの活動の取り組みは 余り進んでいるとは言えない状況だそうです。

 このCSR活動ですが、国際規格としては2010年11月にISO(国際標準化機構)によ り、ISO26000(社会的責任に関する手引き)が発行されました。その中では、七つの原則として、説明責任、透明性、倫理的な行動、ステークホルダー の利害の尊重、法の支配の尊重、国際行動規範の尊重、人権の尊重などが挙げられているところです。

 このような中、自治体でもこのCSR を重視した取り組みが見られます。例えば公共工事の入札で、自治体が入札業者のCSR(企業の社会的責任)を重視するなどです。評価基準にボランティア活 動や地域貢献の実績を織り込んだ総合評価方式の入札制度を取り入れる自治体がふえ、項目の得点を引き上げる動きも見られます。CSRは入札の必須科目とい う時代の流れが鮮明になってきたとも言われています。

 国もガイドラインをつくり、総務省によれば2004年度に京都市が本格導入したのを皮切りに、2010年度までには全都道府県と政令指定都市が導入、そのほかの市区町村でも2009年度に57.5%だった導入率が2010年度には61.7%に増加しているそうです。

  そして、北海道の釧路市は、今から8年前に自治体では全国初の自治体版CSRである釧路市版CSR「釧路市職員の社会・環境等活動(CSR)推進指針」を 策定しています。翌年には「釧路市職員CSR通信」も創刊。市職員が果たすべき社会的責任を再認識し、市民に信頼される市役所を目的とし、公的活動ばかり ではなく、私的活動においても信頼される市職員の活動を促しているところです。

 さて、ここから私の質問、認定(認証)制度の創設の内容に入っていくのですが、CSRについては、私は釧路市のような取り組みもすばらしいと思いますが、自治体内部だけの取り組みでは本来のCSRの趣旨を生かし切れていないと考えています。

  かといって、例えば神戸市の中小企業等が開発した新商品を市長が認定する「神戸の新商品認定制度」や、水俣市の多様な生き物と共生した暮らしを実現するた め、環境と健康に配慮したものづくりに取り組む地域の職人を「環境マイスター」として認定する制度、また、通常の許可基準よりも厳しい基準に適合した優良 な産廃処理業者を、都道府県・政令市が審査して認定する制度である「優良産廃処理業者認定制度」、そのほかにも認定制度は数多くありますが、これらも大変 よい制度であると思いますし、学ぶべき点もあると思いますが、特定の分野に限られたものとなっています。

 私は、認定(認証)制度を構築するのであれば、住民が地域の課題や魅力に気づき、NPOや企業、大学、行政などが力を合わせて、課題の解決や地域の魅力向上に取り組み、持続可能な地域社会を築いていく力としていく必要があると思うところです。

 つまり、ある分野や特定の課題についてのみ認定(認証)を創設するのではなく、地域としての強みを生かし、地域のブランド力を向上させていくものではなければならないと考えているところです。

 そして、取り組むからには芦屋らしい独自の取り組みをしていくことが必要だと思います。要するに、市民の利便性、業者信用度の向上と営業への貢献、芦屋ブランドの新たな創設、こういった視点からCSR活動としての認定(認証)制度を検討してほしいと考えているわけです。

  具体的に言えば、市内のさまざまな業者や団体に対して、ある一定の基準を設け、市が認定(認証)を与える。認定(認証)の有無により市民が選択する際に参 考にでき、業者にとっても選ばれるメリットが生じる。また、認定(認証)を目指し、業者や団体の質の向上も期待でき、芦屋の地域力、ブランド的な魅力も発 揮させることができるのではないでしょうか。

 業態の異なる分野もありますし、当然、認定(認証)に当たっては異なる基準が必要でしょ う。ただ、異なる基準になるからこそ、一本、柱というか芦屋市にとって何のための認定(認証)制度なのかをしっかり確立しなければ、単なる認定(認証)制 度、こんな制度もありますよ的なことで終わってしまいかねません。だからこそ、その柱となるものについては十分時間をかけ、しっかり理念としてもシステム としても構築する必要があると思うわけです。

 私は、芦屋というまちづくりをしていくには、そのようなCSR活動を踏まえた総合的な認定(認証)制度を創設していく必要があるだろうと考えています。

  じゃあ具体的にどうするのかということですけども、この点について、ぜひ庁舎内にプロジェクトチームの立ち上げをしていただけないかというふうに希望して いるところです。単に制度を創設するためにプロジェクトチームの立ち上げを求めているわけではありません。このプロジェクトチームでの議論が大切な財産に なると考えてもいます。

 私からすれば制度を創設してほしいところではありますが、そこに至らないまでも、先ほど指摘をした視点で若手職 員が職種を超えて議論をする。地域に出て情報を収集する。芦屋市の置かれている状況を知る。知恵を出し合い一つのものをつくり出していく。その過程にも大 きな意義があり、各分野の業務にまた人材育成にプラスになるだろうと思っています。
 この点から、認定(認証)制度の創設を取り組んでいただけないかということを最初、質問させていただきたいと思います。御答弁よろしくお願いいたします。

○議長(畑中俊彦君) 答弁を求めます。
 山中市長。

◎市長(山中健君) =登壇=
中島健一議員の御質問にお答えいたします。

 本市の魅力向上の取り組みとしましては、持続可能な地域社会づくりを推進するための芦屋市創生総合戦略を策定し、その基本目標の達成に向けて、若手職員も含めた幅広い職員の参画による活発な意見交換とともに、地域住民との交流を通した連携を進めているところです。

 本年4月からは、新たな行政改革において、取り組みをより一層、実効あるものとして加速化させるためのプロジェクトチームを設置しており、魅力あるまちづくりとともに、人づくりにも努めてまいります。

 新たな認証制度の創設は、本市のような小規模自治体では課題があると考えますが、幅広い協議の中で、その可能性を検討してまいります。

○副議長(帰山和也君) 中島(健)議員の一般質問の途中ではありますが、続きは会議再開後に行うことにし、午後1時まで休憩といたします。

     〔午前11時51分 休憩〕
   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
     〔午後 0時58分 再開〕

○副議長(帰山和也君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 一般質問を続けます。
 中島健一議員。

◆14番(中島健一君) 簡潔にしていきたいと思います。
 市長の答弁をお聞きしていて、芦屋市の地域が小さいからということで課題はあるけれども創生総合戦略の中で検討していくということでよろしいんですか、検討していくということで。

○副議長(帰山和也君) 佐藤副市長。

◎副市長(佐藤徳治君) それで結構でございます。

○副議長(帰山和也君) 中島健一議員。

◆14番(中島健一君)
 ぜひ検討を進めていっていただきたいと思います。
 その際に気をつけていただきたいのは、資料もいろいろ当局の方にお渡ししておりますけれども、学者さんが言われるのは、CSRに取り組むに当たって、自治体の方向性は大きく三つ考えられると言われております。

 一つ目は事業者のCSRに対する取り組みを促進すること。二つ目は行政組織の運営にCSRの考え方を取り組み、入れていくこと。三つ目が私は大切だなと思うのは、クロスセクターによる持続可能な地域づくりを推進することとおっしゃっています。

 このクロスセクターというのは、地域が抱える課題を企業の社会的責任や行政の社会的責任、さらには市民の社会的責任を横断的に解決していく仕組みを構築していくことだというふうに言っているんです。

  ですから、各地域にいろいろな取り組みがあります。例えばこれは名張市なんですけども、「あれっこわい認定制度」というのがありまして、これは名張弁で 「すごいな」などを意味する感嘆詞で、この市民の取り組みや活動をたたえる機会をつくりたいということで、こういう制度を創設したそうなんです。

 そのほかにも、例えば「子育て応援マンション認定制度」であるとか、京都市では「食べ残しゼロ推進店舗」を認定する制度であるとか、あるいは学生消防団の活動認定制度の導入で、消防団の団員をふやしていくとか、さまざまな取り組みがされています。

 こういった取り組みが全国でされていると思うんですけれども、こういった取り組みを市のほうはいろいろ情報は収集されているんでしょうか。

○副議長(帰山和也君) 稗田企画部長。

◎企画部長(稗田康晴君) 各地でいろんな認証制度が実施されていることはインターネット等を通じてお調べもしましたし、情報収集をしているところでございます。

 今回の本市の総合戦略の取り組みも、まさに地域、事業者等とも幅広く連携をして取り組んでいきたいというふうに考えてございますので、その中から可能性を見出していきたいというふうに考えてございます。

○副議長(帰山和也君) 中島健一議員。

◆14番(中島健一君) 
 じゃあよろしくお願いしたいと思います。
 いろいろ情報を収集する中で、いいところは取り入れて、芦屋には芦屋らしい取り組みの仕方があると思いますので、そこは若手の職員の方の意見や地元の声も聞きながら進めていっていただきたいと思います。

  このCSRに自治体が取り組むことによって、何が大きく変わっていくのかというのは、やはり市民の意識と職員側の意識も大きく変わっていくということが指 摘されております。その意識を変えるということが、やはりこの認定(認証)制度の中の大きな意義の一つであると思いますので、認定(認証)制度の創設をし ていくに当たっては、十分に検討に検討を重ねて、よりよいものをつくっていっていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。


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