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2017年(平29) 3月定例会 予算討論



○議長(畑中俊彦君) ほかにございませんか。
 中島健一議員。

◆14番(中島健一君) =登壇=あしや真政会を代表しまして、第21号議案、平成29年度芦屋市一般会計予算から第33号議案までの各会計予算への賛成討論をします。

 芦屋市における1年間の予算、ともすると金額の多寡に目が行きがちですが、やはり大切なのは、その内容、つまり市民生活を豊かにするためのものになっているかどうかにあります。

 予算審査を通して、私どもあしや真政会から、そして各会派や議員から、さまざまな意見・要望があったわけですから、当局は真摯に受けとめ、善処をしていただくことをまず初めに指摘しておきます。

  さて、一般会計における予算といえば、利益を上げなければなりませんから、実現可能な数字、例えば「今期の年商10億円」というような、具体的目標を掲げ ます。1年間の予算、目標が決まったら、今度は部門内の各個人に割り振り、さらに月ごとの予算表を作成し、毎月、会議を開きながら達成率の確認や各部門の 課題に関して打ち合わせをしていきます。モチベーションを上げながら目標達成に向け努力をしていくわけです。

 それに対し自治体は、そうストレートではありません。もちろん達成目標はありますが、どちらかというと収入はほぼ決まっているわけですから、その中でどんな事業ができるのか取捨選択をし、予算、事業内容が決まっていきます。

  何が言いたいかといいますと、企業においては売り上げのために必死になりますが、自治体においては決まった事業について消化をしていく、どちらかというと 受け身の体制になりがちだということです。もちろん、芦屋市の職員がそうだというわけではなく、そういった体制になりがちな面があるということです。

 先進地を視察しますと、その施策や事業には、核になる職員が必ず1人いて、熱意を持って取り組み、いつの間にか周りを巻き込み、そして大きく飛躍をし、先進的な事業となっていることがあります。

  今、まさに必要なのは、そういった職員を、この芦屋市に何人生み出し、育て上げていくか。そしてモチベーションを維持させるかだと思います。それに成功す れば、芦屋市もさらに大きく発展していくことは間違いありません。その鍵となるのは、それはやはり当局幹部の皆さんだと思います。職員の育成に大いに励ん でいただきたい。檄を飛ばしておきたいと思います。

 ところで、私は冒頭に「予算は金額の多寡ではない。市民生活を豊かにする内容になっているかどうかだ」と言いました。

  一つ事例を挙げますが、地震災害時に家具などの転倒を防止するための家具転倒防止器具設置補助というのがあります。今年度、要綱ができ、来年度の予算概要 にも主な事業費として紹介されています。予算金額は10万円です。補助を行うことにより、高齢者などがいる世帯の家具転倒防止を促進、災害時における安全 確保が目標となっています。その趣旨は立派です。しかし、その補助金をもらうまでの手続を見ると、何度も書類をやりとりする必要があり、まさに煩雑です。 その煩雑さをこなしても約5,000円以内というわずかな補助金額でしかありません。

 そもそも65歳以上の高齢者全てと障がいを持つ人が対象なのに、補助金額は約5,000円で予算金額10万円、比較すれば高齢者やそのほかの人のうち、何人の喜ぶ顔が見られる件数を見込んでいるのかと考え込んでしまいます。

 逆に、今後大きな金額が必要となるだろう幼稚園と保育所の統廃合では、保護者から批判も出ています。もちろん事業遂行に当たって100%の合意は難しいでしょうが、その率を高めていく努力を欠かすことができません。

 金額の多寡を問わず市民生活を豊かにする内容になっているのか。当局は常にこの視点を忘れずに事に当たっていただきたいと思います。

  幼稚園・保育所の統廃合については、議会にとっても唐突感の否めない提起だったことを改めて指摘をしておきます。しかし、幼稚園の統廃合は現状からすれば 避けては通れないものであり、幼保連携型の認定こども園新設と公立保育所の一部民営化をどう総合的に絡めることが市にとってよい方向なのか、予算には賛成 をしますが、先ほど述べた市民生活を豊かにする内容になっているのか、その点からさらに検討を加える余地があるのではないかと指摘をしておきます。

  また、つけ加えるならば、教育委員会は、芦屋市の教育部門の責任を担っていることを改めて自覚してほしいと思います。審査の中で議会側が指摘していたさま ざまな点、なぜ指摘をされているのか十分にわかっていないように思いました。教育委員会として、それなりに説明できることがあったとしても、疑義が出てく るのにはやはり理由があること、そこに思いを馳せていただきたい。

 三浦綾子の「小さな郵便車」という著書の中にある三浦さんの父親がよ く言っていた言葉を紹介しておきます。「理屈はそうだが、綾子、理屈だけで人間の問題は解決しないぞ」、この言葉をぜひしっかり受けとめていただき、今後 の教育委員会としての活動に生かしてほしいと思います。

 さて、私を含めて議員というのは、委員会などでは、ついつい問題点や課題ばかり を指摘することが多くなります。しかし、芦屋市の行政は、評価されるべき点のほうが圧倒的に多いという事実に誤りはありません。職員の方は、批判には耳を 傾けそしゃくしつつも、自信を持って日常活動に邁進してください。

 最後になりますが、市当局の念頭に置いていただきたいのは、予算が成 立した後、施策を流れ作業のように事務処理されては困るという点です。遂行している事業も、日々進化している市民生活の中にあるわけですから、固定化され たものではありません。修正すべき点があればスピーディーに判断し、柔軟に対応してこそ予算が生かされます。

 市長におかれては任期の折り返し地点です。市政全体をよく見回し、芦屋市民の生活が向上するよう、トップとしての適切な判断、そして指導力の発揮をお願いいたします。

 また、副市長はその市長を補佐し、幹部の皆さんはそれぞれの業務全体にしっかり目配りと責任を持ち、間違っても東京の築地移転に見られるような醜態をさらすことのないよう職務に当たってください。

 私どもの会派、あしや真政会も、議会の一翼として、行政をしっかりチェックしつつ、政策論議のレベルを高めていけるよう研鑚していくことを表明し、賛成討論といたします。


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