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2016年(平28) 3月 総括質問(代表質問)



○議長(畑中俊彦君) 日程第2。ただいまから、通告による総括質問に入ります。
 初めに、「創造・発信するまち」芦屋を目指して。
 本件について中島健一議員の発言を許可いたします。
 14番、中島健一議員。

◆14番(中島健一君) =登壇=あしや真政会を代表し、新年度予算に対して総括質問を行います。
 テーマは、「創造・発信するまち」芦屋を目指してです。
 芦屋市が今あるところからさらに高みに向かうには、「創造・発信するまち」を目指していかなければなりません。そのためにも、まずはねぎらいの言葉をかけたいと思います。
 市長をはじめとする行政府の皆さん、日々の業務執行、本当にお疲れさまです。市長を筆頭に、職員の皆さんの日々の積み重ね、そして、市民の協力があって こそ今の芦屋市があると思っています。そこに誇りを持って、今後も施策の遂行を進めてほしいと、会派を代表し、伝えたいと思います。

 私たちの会派では、会派として、また、私たちが身を置く立法府においても、しっかりと与えられた役割を果たし、市民が芦屋市という町に魅力を感じ、住ん でいることが日々の生活エネルギーにつながるような自信と誇りを持てるよう、努力をしていかなければと改めて決意しているところです。
 議会という立法府の中では、私どもの会派をはじめ、いろいろな立場の議員がいます。時には厳しい意見もあるでしょう。しかし、そこはしっかりと受けとめ、「創造・発信するまち」づくりを目指して、行政府の役割を果たしていただきたいと願うところです。

 さて、今の芦屋市の状況をさまざまな視点から見てみると、まだまだ不十分な点があることは否めません。それら不十分に見える課題をクリアするには、財源 の問題をはじめ、情報の周知、市民や各種団体との協力・共同、そして合意形成、さまざまな壁を乗り越えていかなければなりません。これは、力を合わせれば 可能なことであり、やり遂げなければなりません。

 しかし、その壁を乗り越える際に注意をしなければならないのは、短絡的に捉えてしまうこと、視野を知らず知らずのうちに狭くしてしまうことだと思いま す。短期的にはマイナスに見えても、財政負担がふえたとしても、視野を広げ、長期的な視点で物事を見ていかなければなりません。ここは、市長や幹部の皆さ ん、そして、議会側も注意していく必要があります。

 ドイツの哲学者ニーチェは、樹木にとって最も大切なものは何かと問うたら、それは果実だと誰もが答えるだろう。しかし、実際には種なのだ。そんな言葉を 残しています。果実を得るために、私たちは施策、事業という種をまいて、最初はなかなか目に見えない部分もありますが、大きく育て上げ、その豊かな果実を 市民が享受できるようしていかなければなりません。お互いに切磋琢磨をしつつ、芦屋市を築き上げていこうではありませんか。

 そういった観点から、来年度予算、市長の施政方針を理解するために、まずは基本的なことからお尋ねしていきたいと思います。

 今回、芦屋市も、創生総合戦略を施策の基本方針の中に掲げ、実行に移していくことになります。
 しかし、そもそもこの地方創生総合戦略とは何か、ここの理解がまだまだ市民の中に浸透しているとは言えません。地方創生総合戦略とは何か、言葉をつらつ らと連ねることはできますが、国が方針を出したからと、受け身で事に当たってはいないと思います。芦屋市で、どうこれを実りあるものにしようとしているの か、芦屋市創生総合戦略の概要を、わかりやすく市長の言葉で説明をしていただきたいと思います。

 また、実行することによって、芦屋市はどう変わっていくのか。聞いておられる市民の方にもイメージが伝わるようにお願いいたします。

 さて、サンケイリビング新聞社とリビングくらしHOW研究所が、大阪府と兵庫県の女性を対象とした暮らしごこちに関するアンケート結果を発表しました。 この調査では、対象者に、自分の住む町の暮らしごこちを総合的に見てどうですかと、10点満点での点数を求め、質問をしています。
 この結果、回答の平均を点数の高い順にまとめたところ、1位は吹田市で7.82点−−点数がなかなかわかりにくいので、100点満点で直せば、78.2 点です。2位は西宮市で76.9点、3位は箕面市で76点と続きまして、残念ながら芦屋市は第8位72.9点でした。これは総合評価です。

 ただ、その中で、将来にわたって今の場所に住み続けたいかを聞いたところ、「ぜひ住み続けたい」、「できれば住み続けたい」と答えた割合は、これは定住 傾向ですけれども、見てみますと、やはり1位は吹田市でした。2位も同じく西宮市なのですが、3位には芦屋市が入っているのです。つまり、暮らしごこちの 総合点では8位だった芦屋市が、定住意向ランキングでは3位にランクインする結果となっています。

 何が評価をされ、定住意向なのかを見てみますと、吹田市、西宮市、芦屋市、箕面市で共通しているのは、公園や緑地、住人の感じのよさ、この満足度が高いという結果です。

 実は、これは、昨年3月に芦屋市民を対象にして行ったまちづくりのついてのアンケート調査結果においても、同じ状況が見て取れます。居住地として芦屋市 を選んだ理由として断トツに高いのが、「地域イメージが良い」です。ほかには、「交通が便利」などが挙げられていますが、「生活環境(まちの清潔さ)が良 い」とか、「緑豊かな美しい景観のまちなみ」、こういった項目が続いています。また、同じ芦屋市のアンケートで、芦屋に住み続けたい理由として、トップに は、「交通が便利である」が来ていますが、やはり「生活環境が良い」「地域イメージが良い」「豊かな自然環境に恵まれている」が並んでいます。

 つまり、定住者、人口をふやしていくには、ここに焦点を当てていくことが大事なのがわかります。また、私が紹介しました新聞社のアンケートによります と、総合ランキングで上位を占めた吹田市、西宮市、箕面市を見ると、教育環境、文化施設、医療環境の項目の満足度が高くなっているようです。定住意向だけ でなく、総合的な評価を上げるためには、ここも鍵になるようです。

 調査と言いましても、さまざまなものがありますから一概には言えませんが、芦屋市の評価については、どんなものでも上位にランクしているのは、私は間違 いないと思います。評価の高い点は維持をしつつ、低いところの評価を上げていくようにしていかなければならない、そう思うところです。

 さて、施政方針の中でも、「『住み続けたいまち・住んでみたいまち芦屋』として、いつまでも多くの方に憧れと夢を持って選ばれる世界でも特別なまちを目 指し、創造的なまちづくりに取り組んでまいります。」とあります。この「住み続けたい、住んでみたい」というのは何となくわかるのですが、「夢をもって選 ばれる世界でも特別なまち」というのが、実はもう一つよくわかりません。市長のイメージしているものを、もう少し紹介してほしいところです。

 次に、施政方針では、「本市が抱える将来的な課題や対策などを検討するための推進体制を整備し、事業として具体化できるものから、スピード感を持って組 織横断的に挑戦」とあります。推進体制を整備することも大事です。スピード感を持ってもらい、組織横断的に挑戦しようとする、その意志は評価したいと思い ます。

 しかし、そのためになさなければならないことは、若い職員の知恵と力と人脈をしっかり捉え、大きく生かしていくことだと思います。前向きに自分の担当す る仕事を頑張っている人もいます。しかし、斜めに構えている人、指示待ちの人も、大きな組織ですからいると聞きます。将来に夢を持たないといけないのは市 民だけでなく、まさに若い職員たちだと思います。夢を持たない人はいないでしょう。ですが、業務の中で、どうしていいのかうまく表現できず、くすぶってい るのかもしれません。それをしっかり幹部の人たちが受けとめ、励まし、言葉は適切ではないかもしれませんが、成長を促していくこと、これがとても重要に なってきます。それがなされてこそ、施政方針にあるスピード感を持って組織横断的に挑戦することが可能になってくると思うのです。

 プロジェクトチームが動き出していますが、若い力を引き出すことはまだまだあると思います。その点から、スピード感を持って組織横断的に挑戦を捉えていかないといけない、そう思うところです。
 この点についての市長のお考えはいかがでしょうか。

 さて、芦屋市の財政状況は、依然として厳しいものがあると市は見ています。市の財政は、国の動向や景気に大きく左右されますし、長期収支計画を見ても、大型の事業が控えており、楽観することはできません。

 しかし、それにまさる発想の転換をしていけば、ピンチもチャンスに変えていくことはできます。その努力をしながら、先を見据えた財源の確保と事業の選択をしていかなければなりません。
 施政方針では、「財政状況は基金残高の減少や多額の償還など、依然として厳しい状況が続きますが、『選択』と『集中』を基本に、慎重かつ効率的な行財政 運営を心掛け、諸課題に取り組んでまいります」となっていますが、その中の選択と集中は、何を基準にしていくのか明らかにしていただきたいと思います。

 選択と集中、これは今の芦屋市においても必要なことです。しかし、その基準は何か。議会、立法府の中でもそうですが、市民にとってその基準となるものは人それぞれです。ですから、行政府としての選択と集中の基準は何か、これを明らかにしておくことが必要だと思います。

 また、芦屋市の将来像である「自然とみどりの中で絆を育み、新しい暮らし文化」のきずなとは、ここももう少しわかりやすく御説明願いたいと思います。

 さて、まちづくりは、行政や議会のリーダーシップも必要ですが、それだけで進めていけるものではありません。町の主役はやはり市民です。市民が主体的に市の政−−政治に参加することなしに、市長の描く芦屋市をつくっていくことはできません。

 しかしながら、その指標の一つと言える選挙の投票率は芳しくないのは、皆さん方も御承知のとおりです。前回よりは数%上がったとはいえ、昨年の統一地方 選挙での投票率は50%を少し出たところです。全体主義国家のように100%などあり得ませんが、政治への参加率を高めていくこと、これはまちづくりを進 めていく上でも欠かせないものです。

 ことしは参議院選挙があります。うわさでは衆参同日選挙、あるいや、衆議院の年内解散もあると言われています。国の動向が市政に与える影響を考えるなら ば、地元芦屋市の市長、市議選を待つまでもなく、芦屋市の発展のためにも、国政に参加することが重要だという意識づけ、今から取り組んでいく必要があると 思います。まして、18歳から選挙権が与えられるのですから、なおさらです。もちろん、取り組みはなされていると思いますが、若者にもっと危機感を持って もらうような情報発信が必要かと思うところです。

 若い世代の投票率が低いということは、極端な言い方をすれば、若い世代の課題が、政治の場においておろそかにされかねない、人口の上でも多数を占めつつある高齢者の意見が多く取り上げられてしまいますよということになります。

 芦屋市でいえば、五十数年前の選挙では、下がってきたとはいえ、70%を超える投票率でした。一番高いときには90%近い投票率がありました。世代別の 投票率まではわかりませんでしたが、当時の投票者数における世代別の全国的指数を見ると、その当時、投票者の半分が20代から30代だったことがわかりま す。

 ところが、現在では、投票者数、投票に行っている人の半数近くが60代から70代の人になっています。今、20代、30代の投票者数は、投票者総数の中 で2割弱しかありません。高齢者がふえていること、かつ、高齢者の投票率が高いこと、反対に、若い世代の投票率が低いことが、この状況に拍車をかけていま す。

 こういった点も踏まえて、若い世代を含む、若い世代の投票率を高めていくことが、芦屋市にとっても、市政に関心を持ち、選挙にも参加する自治意識の向上 にもつながると思うところです。市政に関心を持ち、選挙にも参加をする自治意識の向上について、市長の考えは、また、具体的な取り組みについてはいかがで しょうか。

 次にお聞きしたいのは、国際文化住宅都市に関してです。
 私どもの会派では、来年度の予算要望に際して、国際文化住宅都市という特別立法の精神を、あらゆる施策の柱にしていくよう求めています。それは、まちづくりの基本的精神支柱だと考えているからです。

 4年前、総括質問に立ったとき、国際文化住宅都市について施政方針で一言も触れていないのはなぜかと聞きました。そのとき、市長は、総合計画の中で位置 づけているので、あえて施政方針には入れていないと答弁されました。今回も、国際文化住宅都市という言葉は施政方針の中にありません。聞けば、同じ言葉が 返ってくるのでしょうから、同じ質問はしませんが、私はあえて、わかっている、ちゃんと重要視しているとするならば、何度でもこの言葉を繰り返し強調する 必要があると思うところです。

 言うまでもなく、国際文化住宅都市建設法は昭和26年に制定され、芦屋市民の住民投票を得て、国から国際文化住宅都市に指定されました。個別の法律で、 住民投票によりこの国際文化都市に指定されている自治体は、全国でわずか九つです。ほかにも3都市ありますが、こちらは政令により指定されたものです。ま た、芦屋市以外は全て観光都市で、文化住宅都市は芦屋市のみという特徴があります。

 長く芦屋市にお住まいの方はよく御存じだと思いますが、どの市民に聞いても、芦屋市は国際文化住宅都市建設法という芦屋市だけの法律があり、国際文化住 宅都市が大きな目標にあるんだと答えられるでしょうか。私は、まだまだ認知度が低いと思うのです。誰もが知っている状況になれば、市民の気持ちがある意味 一つの方向にしっかりと向き、力を合わせられる、そういった状況になる大きな要素だと私は思います。その点からすると、国際文化住宅都市としてどうあるべ きなのか、そのビジョンが希薄に感じ、市長の描くイメージはどういうものなのか、よくわからないのが正直なところです。また、特別立法のある町であること を、もっと強調すべきだとも思うところです。これらのことについて、お考えを聞かせていただきたいと思います。

 さて、芦屋市の景観を良好なものに維持・発展させるため、この間さまざまな取り組みを行い、そして、屋外広告物条例の制定に至っていること、会派として大いに評価したいと思います。そういった取り組みの一つ一つが芦屋市の評価や価値を高めている、そう思います。

 ある住宅業者は、自前の物件販売をするため、こんな宣伝をしています。華美な高級住宅街の雰囲気はなく、お屋敷街の厳かさがこの地を誇りに思い、そし て、愛する住人たちにより保たれているのですと。そして、芦屋市の住民が町の景観を受け継ぎ、守ろうという意識が強いことについて、芦屋神社の宮司の言葉 を借りて、家の前を細かに掃除したり、門の前に花を飾ったり、市民一人一人の景観への意識が高いとしています。

 結論的には、規制緩和に流れるのが市民の考え方としては普通ですが、芦屋は逆で、美しい景観を守る市民運動などを通じて、市民が行政に縛りをかけていく 傾向があります。それは、真の豊かさを知る芦屋市の人々が、この得がたい景観が芦屋市の価値を高めていると認識し、そして、何より芦屋市の美しい風景を愛 しているからにほかなりませんと。

 私は、こういう形で芦屋市を宣伝してくれるのはうれしいことです。
 ほかにも、住民意識が業者へのプレッシャーになっていることが指摘をされています。
 これは、2008年の日本不動産学会誌ですが、このように指摘がされています。派手な大型看板にのぼりを立てようものなら、近隣住民からひんしゅくを買 うことが目に見えている。事業者としても芦屋市のイメージを保つことのほうが、より高い価格設定をすることができると考え、芦屋市ではこの地にふさわしい 広告を設置するべきと判断している。こんな文書があります。

 また、こうも指摘しています。芦屋市では、このほかのマンションルームにものぼり旗はほとんど設置されていない。また、不動産現地説明会の立て看板に は、終了後、速やかに撤去しますとの説明書きを加える気の遣いようである。芦屋市民であるという自負、そして、自分たちの町への愛着が無言のプレッシャー となって不動産業者に自制を促している、こういうふうに不動産学会の雑誌には報告されているようです。本当にうれしく、誇らしくも思います。

 景観を守る姿勢には、本当に私は年季が入っていると思います。
 例えば、市内を南北に流れる芦屋川は、天井川と呼ばれて、川の床が周辺の土地より高い河川ということは、皆さんも御承知のとおりです。この1874年、 明治7年に開通したとき、現在のJR神戸線は、景観を守るために芦屋川に鉄橋をかけずに、あえて費用がかかる芦屋川トンネルを掘って、川の下に列車を通し ました。市の資料によれば、このとき初めて日本でトンネルという言葉が用いられたとされています。まさに、私は筋金入りだと思います。

 その景観で芦屋市独自のあり方に、昨年、屋外広告物条例という取り組みが追加されました。これからの施行になりますが、十分意を尽くして、条例本来の目的が発揮できるよう、そして、得がたい景観が芦屋市の価値を高めていくよう、取り組みを進めてほしいと思います。

 その一助として、ぜひ取り組んでほしいことがあります。景観に関する表彰制度です。
 屋外広告物条例に関しては京都市が先を走っていますが、ここのよいところは、規制するだけでなく、意図するところに導いていく、言葉をかえれば、みずか らがその地に合った広告物、あるいは景観になじむ建物などを創意工夫して取り組める、そういった素地を準備しているところです。それが景観賞という表彰制 度です。

 私は、これは芦屋市が取り組む地方創生にも合致するものだと思います。都市景観の形成にみずからが取り組む意欲を、そして、それを評価する仕組みをぜひ つくっていくべきだと思うところですが、景観誘導施策の一環として表彰制度を取り入れてはどうか、市長の見解を求めます。

 ところで、山中市長は、平成16年1月に庭園都市宣言を行いました。そして、全市庭園化構想を推進しています。来年度は早くも第11回目のオープンガー デンが開催されます。市長は、その活動を充実させたいとしていますし、自然環境の保全についても、市民や業者が行う観察会などの取り組みを支援するとなっ ています。

 オープンガーデン、これは、育てる側にも見る側にも癒やしを与えてくれますし、市長の人柄をあらわす事業として進めていただければと思います。ただ、自然環境の保全が、市民等の行う観察会などの支援だけでよいのかという点では、少し指摘をしなければなりません。

 市内を見渡せば、多くの豊かな自然、緑地がなくなりつつあります。岩園小学校の裏手にあった広い林、同じく岩園町にあった生産緑地もなくなりました。ま た、希少な渡り鳥が寄っていた灯篭池も住宅地に変わりました。自然環境の保全をうたうのであれば、こういった点をどうしていくのか、私有地、民間のものだ からということで手をこまねいていていいのか、そう思うところです。

 緑の保全地区も、さらに地域を拡大していく必要があるのではないでしょうか。全市庭園化構想を推進していくのであれば、オープンガーデンにとどまらず、今ある全市的な緑をどう維持していくのか、ここを重要視していかなければなりません。
 難しい問題もあるでしょうが、市として何らかの手を打ち、現状を保持していくための支援、税金面での援助等も含め、やるべきことがあるのではないでしょ うか。市内の緑地等をどう残していくのか、独自の施策が必要なのではと思います。この点について市長の見解はいかがでしょうか。

 さて、芦屋市として事業を進めていくためにはお金が必要になります。財源が厳しい中にあれば、なおさら新たな財源・収入をふやしていかなければなりませ ん。長期的には、納税者人口をふやしていかなければなりませんが、創意工夫を凝らして、今ある制度の中でもさまざまな取り組みをしてほしいところです。

 例えば、ご当地ナンバーの手数料を上乗せするなど行政として工夫をする、市の収入をふやしていくための取り組み、あるいは、それだけに絞ったプロジェクトチームをつくる必要があるのではないのでしょうか。

 あしたから、芦屋市独自デザインの婚姻届の配付が始まります。いわゆる御当地婚姻届の芦屋版です。婚姻届というのは、国の通達で書式が決まっています が、余白は自由にデザインできます。芦屋市のデザインは、市の中心を流れる芦屋川沿いの緑豊かな風景と桜をあしらったものになっているそうです。また、芦 屋市のものは、窓口での提出用と、2人の写真を張って手元に残せる記念用の2枚セットになっているそうです。デザインを考えたのは、戸籍担当の女性職員と いうことで、本当によい取り組みだと思います。まさに若い世代に、市に愛着を持つきっかけになると思うところでもあります。

 創意工夫を生かして、職員には励みになり、市民にも喜ばれる、そんな取り組みを強化してほしいと思います。それが芦屋市の魅力にもつながりますし、市の収入にもつながるからです。

 さて、寄附金に目を向けると、芦屋市においてもふるさと納税がバージョンアップし、これにより寄附金がふえています。まずはその状況を教えていただきたいと思います。
 この寄附金ですが、ふるさと納税により寄附金がふえていますが、あり方としてもっと別の道を模索するべきではないのでしょうか。これはこれでお金を集め る手法の一つかもしれませんが、芦屋市に魅力を感じ、市がやろうとしている、この事業にならお金を出してもいい、そんな寄附金の集め方はできないものかと 思います。

 もちろん、ふるさと納税でも、これこれの事業に使ってくださいと選ぶ項目はあります。
 しかし、大きな項目であり、これが具体的な事業であれば、もっと集まるのではないかと思います。つまり、見ただけで何の事業なのか、それがわかる形での 資金を募る、そんなやり方があってもいいのではないかと思うのです。そのほうが市民からも、そして、全国からも集めやすいのではないかと。ただし、市民に は市の広報という手段がありますが、市外に向けてはどう広報していくかが課題としてあるとは思うところです。

 寄附金の集め方、それを考える一つの例として、次の事例を紹介したいと思います。
 ことしは、谷崎潤一郎が生まれてから130年となり、各所でさまざまな企画が取り組まれています。芦屋市の谷崎潤一郎記念館では、映画脚本家としての姿 に焦点を当てた特設展「銀幕の文豪・谷崎潤一郎」が、県立図書館においては、著作や関連資料など約350点を展示した企画が行われています。また、東京都 にある弥生美術館では、3月末から「谷崎潤一郎文学の着物を見る」展が開かれます。実は、この東京の弥生美術館の企画では、資金調達のためにクラウドファ ンディングに取り組まれています。

 クラウドファンディングとは、不特定多数の人が、通常インターネット経由でほかの人々や組織に財源の提供や協力などを行うことです。弥生美術館では、こ の手法によって、きのうの時点で約80万円の資金調達に成功しています。私は、こういうやり方も含めて、寄附金についてはいろいろな方法を考えてはどうか と思うところです。

 ふるさと納税により寄附金はふえていますが、寄附金、事業資金の集め方はもっと模索するべきではないでしょうか。市としてのお考えをお聞かせください。

 さて、改めて、芦屋市の魅力は何でしょうか。
 六麓荘に代表される高級住宅地が広がっていることでしょうか。それとも、芦屋川があることでしょうか。この阪神間、いえ、大阪府の南のほうにある泉佐野 市から兵庫県の西にある姫路市にかけての臨海部において、工業地域、準工業地域がないのは芦屋市だけということでしょうか。それとも、海と山、そして川が 織りなす、古くから風光明媚な地としての歴史を持ち、また、近代においても住宅地として発展し、モダニズム文化においても脚光を浴びてきた、こういったこ とでしょうか。そんな例を挙げるまでもなく、さまざまな生活、文化、そして地域的な事象が一つ一つが複雑に絡み合い、今の芦屋市の魅力になっていると思う ところです。

 今は東京都、大阪府、神戸市と同じように、日本で芦屋市を知らない人はいないのではないか、そう思えるほど知名度がある町になってきています。
 しかし、その芦屋市においても、常日ごろから魅力発信を続けなければ、情報の海の中に埋もれていく、こんな懸念があります。

 今回、芦屋市の魅力発信に向け、わずかな金額ですが予算がつきました。そこは大いに評価しつつも、ぜひイベント的な発信だけではなく、芦屋市の魅力発信にこだわっていただきたいと思うところです。

 市内に目を向ければ、最近特集のあった地蔵がたくさんあり、丸ポストも目につきます。神社や古墳、石碑、六麓荘の橋やお屋敷街、旧山邑邸のような建築物などさまざまな目に見えるものがあります。

 古墳でいえば、芦屋神社境内にある古墳が、市の指定文化財指定されました。市内の古墳で唯一、遺体が安置されていた玄室や天井が完全に残っているそうです。
 そんな目に見えるものに加え、歴史、文化、また、人に焦点を当てていけば、魅力につながるものはかなりの量になってきます。また、地元では余り知られて いないけれども、日本だけにとどまらず、世界でも注目を浴びている、そんな人や企業があります。そういった芦屋市に本拠地を構える企業などにも光を当てれ ば、市民すら知らないことがあまた出てくるはずです。それも発信していく。当然、知られていることも多々ありますが、それでも何度でも繰り返し魅力の発信 を続けていただきたいと思うところです。

 材料は山ほどあるのですから、あとはやり方だと思います。私は、市の取り組みをもっと大胆に打ち出すと同時に、そのほかの人の協力を積極的に仰ぐべきと 思います。今はネットの時代です。この分野を侮ることはできません。ネットでの情報発信に力を入れるべきです。そして、ブロガーと呼ばれる人たちにも協力 を仰いでみてはいかがでしょうか。市の情報発信員として広く協力してもらう、そんな新しい取り組みもしてほしいと思うところです。

 魅力の情報発信が人を呼び寄せることにもつながるはずです。魅力発信に関して、今回観光協会が取り組みますが、もっと強化すべきということに関し、市の見解をお聞かせください。

 次に、市民病院に関して伺います。
 市立芦屋病院−−市民からは「市民病院」と呼ばれ、芦屋市では、医療における中核病院として存在しています。まさに病院の基本理念にある、「芦屋市の中 核病院として地域社会に貢献します」を現在体現しており、なくてはならないものになっています。また、もう一つの理念、「患者の意志を尊重し、最善の医療 と癒やしを提供します」も、治療を受けられたどの患者さんにとっても納得のいくものとなっています。

 一部の診療科が院内開業の形態をとったり、婦人科においては他病院との連携が必要になったりはしてはいますが、その存在意義は大きなものがあると言えます。願わくば、このままであってほしい、これは偽らざる思いです。

 しかし、あえて指摘をしなければならないのは、経営状況が芳しくなく、収支に赤字が続いていることです。公的病院の役割もありますから、多少の持ち出 し、赤字が出るのもやぶさかではありませんし、だからこそこれまでも予算・決算に賛成をし、病医改革プランの取り組みも応援する立場から見守っているとこ ろです。
 しかし、そうはいっても、累積赤字が100億円を超えている現状、そして、今後10年間の収支を見る限り、かなり厳しい局面に立ち至りつつあるというのが実情ではないでしょうか。

 昨年、市立川西病院が経営健全化団体へ転落しました。その5年ほど前には、三木市民病院も経営健全化団体となりました。川西市の市立川亜病院では、市の貸付金が累積で約20億円だったそうです。
 翻って芦屋市の市立芦屋病院を見てみると、比較するまでもなく、数字には触れませんが、多額の貸付金があります。そして、今後10年間で、さらに20億 円の援助をしなければなりません。これはあくまでも収支状況がよければの話ですから、赤字が膨らめば、今回の補正予算のように、さらに支援をしなければな らない状況に陥るでしょう。

 昨今の経済状況を見れば、今後市の収支がどうなっていくのか、芦屋病院を支え切れないことが起こるかもしれません。そうならないように、最善を尽くして いることも知っていますし、そうしなければなりません。が、あえて予想を上回る状況の陥った場合、それから手だてを考えていっては遅きに失し、市民の命を 守るどこではなくなります。そうならないためには、先々に手を打たなければなりません。

 今後も経営状態が改善せず、さらに累積赤字がかさむようになった場合に、どのような対応を考えているのか。市立芦屋病院の方針、これ自体はそれで理解し ますが、現実に厳しい状況があるという認識があるのか、また、今後もこの状況が続いた場合の病院、市の対応についてお考えをお聞かせいただきたいと思いま す。

 それとあわせて、県立西宮病院、西宮市立中央病院の統合再編も含めた検討会が設置されますが、市立芦屋病院にとってこれまでの連携を考えれば、大きな影響を受けると考えられます。これについての見解もお聞かせください。
 市立芦屋病院においては、病院機能、地域特性などから、県立西宮病院、西宮市立中央病院との連携、ネットワーク医療を目指しています。その一例として、周産期ネットワークがあります。

 振り返りますと、つい最近まで、阪神南圏域と呼ばれる圏域には5つの公立病院がありました。県立尼崎病院、県立塚口病院、県立西宮病院、西宮市立中央病院、そして芦屋市の市立芦屋病院です。
 この圏域の特徴として、医療機能は比較的充足しているとしながらも、阪神南圏域全体における救命救急医療に課題があるなど、救急医療等において個別の課 題がある、あるいは、小児救急医療について医療従事者からも現在の体制維持について懸念される声があり、将来にわたる安定的な医療を確保するための先を見 据えた方策の検討が求められているとされています。これが10年ほど前のことです。そこで検討されていたのが、県立尼崎病院と県立塚口病院の統合・再編、 そして、市立芦屋病院、そして県立西宮病院、西宮市立中央病院とのネットワーク化の検討です。

 10年ほど前の方針から、今現在、県立尼崎病院と県立塚口病院は統合され、昨年7月に新しく県立尼崎総合医療センターとしてオープンしました。地上11 階建て、延床面積は7万7,000平方メートル、病床数は730床、医師の数は約300人、看護師は約1,000人、本当に大型の病院です。日本を代表す る最先端の総合医療センターとして生まれ変わっています。

 一方のネットワーク化を進めるはずだった3病院のうち、芦屋市の市立芦屋病院を除く2つの病院、県立西宮病院と西宮市立中央病院では、統合も視野に入れた−−視野に入れたというより、その方向での検討が進むであろう検討委員会が設置されることが明らかになっています。
 まさに、市立芦屋病院を取り巻く状況が、今大きく変わる方向に動き出そうとしているわけです。先ほど質問で述べたこととあわせて考えれば、安穏としていれば、芦屋市民を裏切る行為にもなりかねません。

 本来なら、3病院のネットワーク化が阪神南圏域の構想であったはずです。その構想から考えれば、当然かかわりのある芦屋市も含めて、今後のあり方を検討 する必要があるはずです。市立芦屋病院を除く2病院統合へ向けての検討会は、この4月から動き始めるようですが、これにより大きな影響を受ける芦屋市が傍 観者でいいのか、積極的にこの検討会に加わっていくべきではないのか、改めてお伺いしたいと思います。

 さて、芦屋市の今後を考えていく上で、防災にも触れておきたいと思います。
 阪神・淡路大震災から20年が過ぎました。あの日の出来事、それから復旧・復興への道のりも、悲しいことに、日ごとに人の意識の中から薄れつつあるのか もしれません。これも体験した人の話であって、震災自体を知らない人がふえている、これもいたし方ありません。既に市職員の3分の2以上が震災未経験に なっています。市民の中でも、半数近くが震災未経験になりつつあると言われています。

 しかし、東南海地震の確率は、日がたつごとに高くなっていきますし、そのほかの自然災害は、これまでにない規模で頻発するようになっています。そうであ ればこそ、自然災害への備えを強化していかなければなりませんし、やはり常日ごろからの啓発、意識づけを行っていくしかありません。言われるまでもなく、 やっているとは思いますが、またかと思われるぐらいやらなければなりません。またかと思ったときに啓発せられるのではなく、おやと思わせる、引き込むこと が大事です。その繰り返しが将来への備えにつながっていきます。

 防災・減災に向け地道な努力を期待するものです。改めて自然災害への備えを強化するには、常日ごろの啓発、意識づけが必要という観点から、芦屋市としての取り組みはどのようにしているのか、お聞かせください。

 さて、災害時もそうですが、平時においても消防の役割は大きなものがあります。消防と救急、制服のある職種は子供の憧れでもあります。その夢を壊さないように、日々精進していただき、市民の安全と命を守る最前線として頑張っていただきたいと思います。

 来年度は、消防団の団員をふやすために、いろいろと広報を打って出るようですが、大いに市民の中に団の活動を知らしめ、かつ、人が集まるような募集をしてほしいと思います。消防団の重要性は言わずもがなです。

 最近は若手も入団しているとのことですが、そうは言っても、年齢層もまだ高く、やはりもっと若い世代に入団していただかねばなりません。そのためには、 広報だけというのでは打つ手が弱いのではないでしょうか。広報以外にも、消防団に入ることによるメリットを強調することも必要でしょうし、そのメリットを つくり出していくことも必要だと思います。消防団の強化のためにも、広報だけでなく、団に入ること、団活動をすることが魅力になるような対策をぜひ考えて ほしいと思います。

 次に、教育に関して大きな視点というよりは、少々細かなことを聞かせていただきたいと思います。

 1つは、読書活動の充実についてです。
 読書活動の推進を進めていることはとてもよいことだと思います。教育振興基本計画にも、みずから本を手に取り、本が好きな子供を育てますと、重点目標として取り上げられてきました。とてもよいことです。

 小さなころから本に親しむと想像力が育まれ、疑似体験もでき、人格形成に大きなよい影響を与えます。国立青少年教育振興機構の調査では、子供のころに読 書活動が多いほど、未来志向、社会性、意欲関心、文化的作法、教養、市民性において、現在の意欲や能力が高いという結果が出ていることからも明らかです。 芦屋市においてはブックスタートもありますから、早いうちから本に接する機会があります。

 しかし、そこから小学校に入るまでには、保育園であったり、幼稚園であったり、いろいろな道があるわけですが、現在特に民間保育園もふえてきており、本 に触れる状況は、その施設の状況に任されていると言えるでしょう。読書活動を推進し、充実させるとなれば、小さなうちからいろいろな本に触れることが必要 です。そのためにも、各園の施設を補う形で、自動車文庫を復活させるべきだと私は思います。

 また、今後の高齢化が進むに当たり、図書館、あるいは分館まで足を運ぶのはできないけれども、本は読みたいという需要はふえてくるでしょう。また、高齢者のいる施設でもその希望はあるところです。そういった点からも、自動車文庫を復活するべきではないでしょうか。

 10年以上前に自動車文庫を廃止しました。その際、市長は、狭い市域の芦屋市で、図書館打出・大原分室、市民センター内図書室もあり十分との認識を表明 されていますが、教育というのは、10年後、20年後を見据えていかなければなりません。図書館設置条例で図書館の業務として、自動車文庫及び貸出文庫の 巡回を残し、施行規則では、自動車文庫の巡回について、自動車文庫の貸出冊数や期間について、これを削除せず温存しているのは、再開に備えてが念頭にある からです。それは、図書館協議会の中でも明らかにされています。その復活・再開、私は待ったなしだと思います。この点についてお聞かせください。

 2つ目に、中学生の海外派遣事業の派遣先は、なぜモンテベロ市なのか、この点の説明をお願いいたします。
 グローバル化に対応した教育の観点から、来年度から公立中学校の生徒を海外に派遣し、国際的視野の拡充をしていくという方針が出され、予算組みもされて います。この取り組みもよいことだと思います。大いに子供たちに国際的視野を広げるため、毎年度事業が続くように望むところです。

 今回、この中学生の海外派遣の行き先については、モンテベロ市ということで聞いているのですが、芦屋市と姉妹都市の関係にありますから、初年度としては妥当かと思います。
 しかし、国際的視野を広げていくなら、アメリカの都市に固定するのではなく、日本の位置するアジア圏の諸国も見聞させていくことが大切かと思います。ま さか、これから毎年、中学生の派遣先はモンテベロ市で固定していくことはないでしょうか。念のため確認させていただきたいと思います。

 3つ目に、いじめのことと、朝鮮学校の就学援助費に触れたいと思います。
 国会でいじめ防止対策推進法が施行され、また、いじめ防止基本方針が示され、芦屋市でも取り組みが進められています。
 しかし、現代のいじめは、どこからいじめなのか、その線というのが不明瞭になっています。加害者側の認識も低い場合があり、当事者からは見えていても、 その周辺にいる人からは見えていないということもあります。さらに、いじめがわかったとしても、表面に見えている事象だけではなく、その背景や潜在的なも のまで見ていかなければ、本当の意味での解決には至らない場合もあります。そして、子供たちの中で起こる意地悪やいたずら、ちょっとしたからかいが、いつ いじめと呼ばれるようになるのか。自分が見聞きしたり、その当事者であったとしても、それがいじめなのか、いじめでないのかの判断が困難なこともありま す。まさに対応は難しいと言えます。

 その中にあっても、教育委員会として対応していかなければならないのですが、やはり教育的配慮なしに取り扱えない問題ばかりです。施政方針では、未然防 止の取り組みと早期発見、早期対策を進めてまいりますとしていますが、具体的にどのように取り組んでいくのか、また、これまでも取り組んでいるはずです し、来年度はまた新たな視点での取り組みになっていくのか、お尋ねしたいと思います。

 さて、現在芦屋市においても、保護者負担の軽減の観点から、各種の奨励費や援助費を出しています。その中に、朝鮮人学校援助費の給付があります。この援 助費のあり方を巡ってはこれまでも議論をしてきましたが、いつまで続けていくのでしょうか。国際都市を名乗るのであれば、朝鮮人学校に限らず、ほかの各種 学校やインターナショナルスクールに通う生徒も対象にした、幅広い制度に変えていくべきではないでしょうか。朝鮮学校そのものに対する自治体の補助金につ いては、文部科学省は補助金の公益性やその適正な執行という観点から、通知を含め、必要な対応を検討しているとしています。通知の時期などは明確にしてい ませんが、自治体として朝鮮総連の影響下にある学校運営が問題となっており、それに目をつむって公金を使うことに理解は得られない、つまり、公金を充てる ことの責任が改めて厳しく問われているわけです。

 学校そのものではないものの、児童生徒への直接支給する、例えば芦屋市のような補助についても、他県においては、学校側から保護者へ寄附を求めて、学費 の補助などが学校側へ還流する事態も起きていると報道されています。政府では、朝鮮総連の影響は教育内容のほか、人事、財政にも及んでいるため、国民の理 解を得られないとして、高校無償化に伴う就学支援金支給の対象から朝鮮学校を除外した経緯もあります。

 私は、今の芦屋市の制度そのものを廃止するべきだと思いますが、朝鮮人学校とほかの各種学校を区別せず、国際都市に恥じない新しい制度にしていくべきとも考えます。市長の見解をただすものです。

 さて、最後の質問になりますが、JR芦屋駅南側の整備についてです。
 失敗は許されませんし、芦屋市の今後を大きく左右する事業でもあります。十分な調査・検討を惜しまず、推進をしていただきたいと思います。

 市の玄関口はどこですかと聞けば、やはりJR芦屋駅と答える人が多いでしょう。そのJR芦屋駅前、初めて降り立った人は、南北の差にきっと驚かれると思 います。駅北側が先行して整備され、続いて南側も2002年から事業が始まる予定でしたが、震災によって延期となりました。その事業も、5年前から再び動 き出しています。住民さんとの協議も進んでいます。総合計画にもあるように、交通機能を高めるため、また、芦屋市らしい南玄関口となるよう事業を進めてい ただきたいと思います。

 その際、教訓として生かさなければならないのは、北側の整備です。駅前としての機能を十分発揮させるには、車や人の流れ、駐輪場に駐車場、商店の配置 に、また北側とのバランス、どれをとっても重要なことばかりです。また、事業を一旦進め出したからといって、足踏みすることをおそれてはなりません。状況 に大きな変化があれば、一旦とまってよく考える、これも大事なことです。事業の推進に当たっては、十分な調査と検討を惜しまず、必ず成功に導く努力をお願 いしたいと思います。

 さて、総括質問はこの場では以上となりますが、私が触れなかったこと以外にも重要なことはまだあります。スポーツ施策、女性の社会参画、教育内容の充実 化、青少年事業や地域福祉の問題、ほかさまざまなことについては、委員会審議の中でほかの議員とも協力し、市の姿勢をただしていきたいと思います。
 以上、1回目の質問を終わります。

○議長(畑中俊彦君) 中島健一議員の総括質問に対する答弁は、会議再開後に求めることとして、午後1時まで休憩といたします。
     〔午前11時50分 休憩〕
   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
     〔午後0時59分 再開〕

○議長(畑中俊彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きします。
 総括質問を続行します。
 中島健一議員の総括質問に対する答弁を求めます。
 山中市長。

◎市長(山中健君) =登壇=中島健一議員の御質問にお答えいたします。
 初めに、創生総合戦略は、本市における将来の人口減少対策として策定したもので、住環境及び子育て環境の充実を2つの柱とし、これまで培ってきた芦屋市 の魅力をさらに高め、広く発信したいと考えております。戦略を実行することで、市外からもより一層居住地として選んでいただき、子供を産み、育ててもらえ る町になるとともに、推進に当たって、市民各種団体、事業者、学校等と広く連携して取り組むことで、町全体の活性化にもつなげてまいります。

 夢を持って選ばれる、世界でも特別な町とは、恵まれた自然環境や立地条件などを生かし、これまで市民の皆様とともに培ってきた全国的にも知名度の高い芦 屋市の魅力をさらに高め、多くの人から、いつかは芦屋市に住んでみたいと思っていただける憧れの町であり続けることだと考えております。

 スピード感を持って組織横断的に挑戦することとは、地方創生は一斉に国全体が取り組むため、スピード感が必要です。本戦略は複数の担当が総合的に取り組 む必要があること、また、国の交付金も政策間連携が必須要件であることから、役職・年代・所属を超えた幅広い職員で構成するワーキングチームが動き始めた ところです。今後、市民や各種団体とも広く連携しながら、さまざまな経験やつながりを得ることが、職員の大きな財産となると考えております。

 選択と集中の基準は、第4次総合計画後期基本計画及び創生総合戦略において重点施策を掲げており、それらを優先して取り組んでいくことだと考えております。
 芦屋市の将来像のおけるきずなとは、総合計画基本構想の中で、「人と人とのつながり」、「人とまちとのつながり」、「市民と行政とのつながり」と捉え、 それらを4つのまちづくりの基本方針に展開し、そのもとで取り組むべき各施策を展開しており、施政方針もそれに沿って申し上げたところです。

 次に、市民の自治意識の向上には、町への関心を高めることが重要であり、そのための行政の発信力の充実が必要であると考えております。新年度からは、広 報あしやを全戸配布するほか、総合戦略の中でさまざまな媒体を活用してまいりますので、若い世代への町の魅力発信にもつながると考えております。

 私の国際文化住宅都市のイメージは、これまで市民の皆様の協力を得ながら取り組んできた芦屋市らしい景観を守り、安全で安心なまちづくりを進めることに よって、市民の皆様はもとより、初めて芦屋市を訪れた皆様にも、安らぎが感じられる町であると考えております。また、特別法につきましては、本市のあらゆ る施策の基本理念であり、町の個性の一つとして定着していると考えております。

 景観施策では、御提案の表彰制度を含め、より多くの市民や事業者がかかわれる手法も検討し、世界においても最高の位置を占めたいと考えております。
 緑の保全につきましては、保護樹林の新たな指定を行うほか、自然と調和し、洗練された庭園都市として、公園、緑道、街路樹などを緑のネットワークとした町のコンセプトを描き、新たな都市公園の配置及び規模などを盛り込んだ方針を策定してまいります。

 次に、ご当地ナンバープレートは、徴税管理上交付するもので、地方自治法第227条における特定の個人のための事務でないものは手数料を徴収することが できない規定に該当しますことから、軽自動車税に手数料相当分を上乗せすることはできません。なお、デザイン選定に当たっては、一般部門と中学生以下部門 の2部門で公募し、広く市民に納税意識の向上を図ってまいります。

 また、債権管理課を設置するなど徴収強化に努め、平成25年度には、兵庫県下市町において、現年徴収率が1位となるなど高い徴収率を維持するとともに、 昨年度からはコンビニエンスストアでの収納等を導入し、納税者の利便性の向上を図ったところでございます。今後も税負担の公平公正な賦課徴収により、財源 確保に取り組んでまいります。

 ふるさと寄附は、昨年11月16日より、寄附者に記念品を贈呈するふるさと寄附推進事業を開始し、約1カ月半の間に462件、2,300万円を超える御 寄附がございました。これは、実施前、3年の年度平均に比べても、既に件数で約25倍、金額で約6倍でございます。具体的な事業への寄附としまして、まず は本年3月1日から、旧山邑家住宅保存工事補助事業に対する寄附を募集してまいります。

 芦屋市の魅力発信を強化することにつきましては、本年4月から、観光協会フェイスブックを通じ情報発信することに加え、総合戦略推進の過程において、観光協会だけでなく、各種団体等との連携も視野に入れております。

 自然災害への備えの啓発、意識づけでは、新年度から取り組む地区防災計画の策定においては、地域が主体となって危険箇所等を検証した防災マップを作成し てまいります。また、若い世代が参加しやすく、楽しみながら災害時の対応を学ぶことができる防災訓練を行い、個別避難支援計画における支援者にもなってい ただけるよう取り組んでまいります。

 消防団員の入団促進は、従来の広報や啓発活動に加え、公益財団法人兵庫県消防協会と連携し、消防団員応援事業所モデル事業を市内各所に広げてまいります。

 いじめ防止に取り組みは、今年度は親子で考えるいじめ防止の標語を募集し、学校内や市役所などでの優秀作品の展示や、街頭キャンペーンを行うなど、広く市民に向けての啓発を行いました。引き続き、教育委員会と連携して進めてまいります。

 JR芦屋駅南地区の整備では、地域住民の皆様と検討会を開催しながら、まちづくり計画について合意形成を図り、都市計画決定に向けた取り組みを行うとともに、本市の南玄関としてふさわしい町並みと、安全で安心な都市空間の形成を目指してまいります。
 その他の御質問につきましては、教育長及び病院事業管理者からお答えをいたします。

○議長(畑中俊彦君) 福岡教育長。

◎教育長(福岡憲助君) =登壇=中島健一議員の御質問にお答えいたします。
 初めに、読書活動の取り組みとしての自動車文庫の復活につきましては、現時点では考えておりませんが、今後も子供から高齢者まで、あらゆる年代の方が本に親しめる環境整備に向けて、利用者のニーズを踏まえ、可能なことから取り組んでまいります。

 次に、芦屋市立中学校生徒海外派遣事業の派遣先をモンテベロ市としたことにつきましては、モンテベロ市が本市と姉妹都市関係にあること、これまで芦屋市 国際交流協会が主催する学生親善大使の交換学生事業が継続して行われており、教育委員会の事業としても、平成11年度まで中学生を派遣した実績があるこ と、また、モンテベロ市はスペイン系の方々をはじめ、さまざまな国をルーツとする人々が生活する多文化共生の町であり、これからのグローバル社会を生きる 中学生にとって貴重な体験になると考え、派遣先としてふさわしいと判断したところでございます。今後の派遣先につきましては、派遣の成果と課題を分析して いく中で判断してまいりたいと考えております。

 次に、いじめの未然防止、早期発見、早期対応の取り組みにつきましては、子供同士の問題を担任1人で抱え込むことなく、学校全体で組織的な取り組みを推 進するとともに、命を大切にする教育や、道徳教育の充実に取り組み、子供たち自身がいじめについて深く考える機会を積極的に設けてまいります。

 また、日ごろから子供たちの変化を見逃さないよう、丁寧な観察や情報収集を行うとともに、いじめに関するアンケートや個人懇談を定期的に実施し、早期発見、早期対応に努めてまいります。

 また、家庭や地域の方々から情報を丁寧に受けとめ、懇談会や愛護委員会など、保護者や地域の方々が集まるさまざまな機会を捉え、いじめ防止に向けた啓発 の取り組みをさらに進めてまいります。さらに、学校だけでは解決が困難を伴う事例につきましては、関係機関とも連携し、学校の取り組みを支援してまいりま す。

 次に、朝鮮人学校の就学補助金につきましては、これまで制度のあり方の検討を行うため、国・県の動向や、近隣各市の状況の調査・研究を行ってきたところ です。今後、教育委員会としましては、補助制度の公平性や制度拡大の必要性などを総合的に判断し、一定の考え方をまとめる必要があると考えております。
 以上でございます。

◎教育長(福岡憲助君) 訂正させていただきます。
 中学生がモンテベロ市に行く理由の中で、国際交流協会が主催する「学生親善使節」と言うべきところを、「学生親善大使」と申し上げました。訂正させていただきます。
 以上です。

○議長(畑中俊彦君) 佐治病院事業管理者。

◎病院事業管理者(佐治文隆君) =登壇=中島健一議員の御質問にお答えいたします。
 初めに、現在の収支状況における今後の対応につきましては、当院は平成26年度から5年間の市立芦屋病院中期経営計画を策定し、年度ごとに設定目標の見直しを行いながら、目標の実現に向けて取り組んでいるところでございます。

 また、総務省からは、平成28年度中に新公立病院改革プランを策定し、さらなる病院事業経営の改革に取り組むように要請されております。

 当院といたしましては、現在の中期経営計画を軸に、新病院改革プランを策定する予定です。新病院改革プランにおきましても、現中期経営計画と同様に、生 活の質−−クオリティー・オブ・ライフの維持・向上をモットーに、医療の質を落とすことなく、健全な経営とのバランスを保つことを目標としてまいります。

 経営改善策につきましては、平成26年度の診療報酬のマイナス改定と消費税の増税は、当院のみならず、多くの病院の経営を圧迫しました。また、先日明ら かになりました平成28年度診療報酬改定では、当院のように手厚い看護を行っている病院を標的に、診療報酬削減を意図しております。

 今後は、さらなる消費税増税も予定されているところから、議員御指摘のとおり、当院に限らず、病院経営は厳しさを増す一方です。
 抜本的な経営改善方法としましては、地方独立行政法人化、あるいは指定管理者制度の導入が考えられます。

 ちなみに、全国自治体病院協議会の調査によりますと、平成25年度4月現在における自治体病院の経営形態の状況は、地方公営企業法全部適用が195事業、350病院、地方独立行政法人化が34法人、66病院、指定管理者制度導入が66事業、68病院となっております。

 当院といたしましては、地方独立行政法人や指定管理者制度にはそれぞれ長所・短所がございますので、当院の今後の方向性として拙速に取り入れるべきではないと考えております。

 当面の対策といたしましては、医師を中心に人材の導入によって、診療機能の充実を図ってまいります。平成28年4月からは麻酔科医を増員し、下部消化管 専門の外科医も着任いたします。また、同年度下半期になりますが、整形外科医の増員も予定しております。現在不足しております緩和ケア内科医師につきまし ては、引き続き補充に努める一方で、院内医師の有資格者により緩和ケア病棟の体制を整備したいと考えております。

 次に、県立西宮病院と西宮市立中央病院の統合再編に伴う当院との連携関係につきましては、現在3病院間において、兵庫県の健康福祉事務所を加えてネットワーク会議を開催し、周産期医療をはじめ、連携を深めております。

 将来的に県立西宮病院と西宮市立中央病院の統合が行われますと、統合病院は大規模な基幹病院になると予測されます。小規模自治体病院である当院は、統合 病院とは機能分化を推進するとともに、連携強化も必要となると考えております。当院といたしましては、市民に親近感を持っていただける病院として、市民の 健康の砦となるように引き続き努力してまいります。
 以上でございます。

○議長(畑中俊彦君) 中島健一議員。

◆14番(中島健一君) 御答弁ありがとうございました。
 細かなことは委員会の審査を通じてただしていきたいと思いますけれども、「創造・発信するまち、あしや」を目指して、ともに頑張っていきたいと思っております。

 ただ、1点気になるのは、創意工夫をやはりこなしていくためには、一人一人が努力をしていくことがなければ、なかなかできないことだと思うんですね。その点、職員を叱咤激励しながら頑張っていってほしいと思います。

 ご当地ナンバーで手数料のことを例えばということで指摘して、手数料を上乗せするなら通常はできないというふうになっておりますけれども、今回の私の趣 旨は、例えば今回ナンバープレートがいいものになるから、仮に幾らか取っても、それを払ってくれる人が多いだろうと。ですから手数料ということを言ったん ですけれども、例えば税のほうでも取ろうと思ったら取れると思うんですよね。地方税法の第444条には、1.5倍まで自治体独自に課税することができると いうふうになっているんですよ。そういうふうないろんなことを調査すれば、できることは必ずあると思うんですね。例えばナンバープレートでいったら、いい ものを今度交付してもらう人には少しいただいて、もとのままの人たちにはまた還付をして、今と変わらない税制ということでやろうと思ったらできると思うの で、そういった創意工夫を凝らしていく努力を今後も続けて、いい町並みを一緒につくっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 質問を終わります。

○議長(畑中俊彦君) 以上で、中島健一議員の総括質問を終了いたします。


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