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2012年(平24) 9月 一般質問



○副議長(平野貞雄君) 次に、教育行政について、不法駐輪の回収行政について、以上2件について、中島健一議員の発言をお許しいたします。
 本質問は、一問一答方式により行われます。
 15番、中島健一議員。

◆15番(中島健一君) =登壇=通告に沿って、一般質問を行います。
 今回は教育行政について、そして、不法駐輪の回収行政についての2点について、質問をします。

 まず初めに、教育行政について、その中でも昨今、深刻な問題となっているいじめに関連する事項について、質問します。大津でのいじめ自殺事件は、いろん な点において、社会的に大きな衝撃を与えました。学校、そして教育委員会の対応、警察の初動のあり方など、また、暴漢に教育長が襲われるなど、さまざまな 問題点も見えてきたところかと思います。

 大津の件は解明に向け、まだ現在進行中ですが、わかってきていることなど、そのことを真摯に受けとめ、芦屋だったらどう対応できたのか、対応すべきか、やはり考察をしていかなければならないでしょう。その観点から質問を進めていきたいと思います。

 まず、現状について、各学校におけるいじめ対策と教育委員会の対応はどうなっているのかお聞かせください。

 次に、大津の件では学校と教育委員会の連携、情報の共有がなされていないことが露呈し、批判されました。また、学校長や教育委員会委員長がしばらくの 間、表に出てくることがなく、教育長が前面に出ての対応について、学校や教育委員会に対しての批判もされたところです。通常対応の範疇を超える事件や事故 が起こった場合の対応、まさに危機管理対応ができていなかったのではないかと思うところです。

 そこで、各学校と教育委員会の危機管理対応について、お聞きしたいと思うのですが、危機管理対応について現在どうなっているのか、いざというときに対応できるようになっているのか、お聞かせください。

 さて、この件を契機に、また教育委員会不要論が出てきています。純粋に制度論をしていくのは必要なことではありますが、そもそも教育委員会のあり方につ いて、教育委員会自身はどう捉えているのか、問題点や改善点があると認識しておられるのなら、その点を率直にお伺いしたいと思います。

 次に、2点目の不法駐輪の回収行政について、お伺いします。駅前などにおける不法駐輪、放置自転車は、一時期に比べ少なくなってきてはいますが、後を絶たないのが現状かと思います。まず、この放置自転車対策に対する現状はどうなっているのか、お伺いしたいと思います。

 次に、放置自転車に対しては警告などをした上で回収し、保管することになります。そして、所有者などに連絡をし、費用を払ってもらった上で返却すること になります。現在、原付は5,000円、自転車は3,000円です。この費用ですが、持ち主が不法駐輪、放置していたならば問題は起こってこないのかもし れませんが、例えば、盗難に遭っていた場合、その責任は持ち主、所有者にありません。このときの返還金、費用については、どのような取り扱いになっている のか、お答えいただきたいと思います。
 以上で1回目の質問を終わります。

○副議長(平野貞雄君) 答弁を求めます。
 山中市長。

◎市長(山中健君) =登壇=中島健一議員の御質問にお答えいたします。
 初めに、自転車等放置禁止区域の対策の現状につきましては、まず、駅周辺の自転車放置禁止区域では、芦屋市自転車等の駐車秩序に関する条例に基づき、放 置してある自転車と原動機付自転車について、定期的に移送作業を行っております。移送台数につきましては、平成22年度には2,565台、平成23年度で は2,052台で、20%減少しております。

 そうした自転車等につきましては、車体番号や防犯登録番号等から所有者を調べ、所有者に対して返還の通知を行っており、返還率は約60%となっておりま す。告示後1カ月を経過しても引き取りがない場合は、芦屋市移送保管自転車等処分要綱に基づき、売却処分をしております。また、盗難に遭った自転車等につ きましては、移送日の前日までに警察署へ盗難届が受理されていることを確認した上で、盗難車と判断し、無償で返還しております。

 次に、駅周辺以外の路上放置自転車につきましては、特に啓発等は行っておりませんが、平成22年度は118台、平成23年度は117台の撤去を行ってお ります。撤去するまでの手順といたしましては、市民からの通報により現地調査を行い、道路上に放置されている場合は、まず警告ステッカーを張り、同時に芦 屋警察署へ盗難届等の有無を照会いたします。盗難届等により、所有者が判明した場合には、芦屋警察署が引き取り、所有者へ返還されます。また、盗難届等が 出ていない場合は、ステッカーを張ってから2週間後に市において撤去、仮置きし、告示して3カ月経過後、再度芦屋警察署へ盗難届等の有無を確認し、なけれ ば処分しております。
 その他の御質問につきましては、教育委員会からお答えいたします。

○副議長(平野貞雄君) 小石教育委員。

◎教育委員(小石寛文君) =登壇=中島健一議員の御質問にお答えいたします。
 教育委員会のあり方につきましては、教育委員会は5人の教育委員による会議を通じて意思決定を行い、教育行政を推進していく合議制の執行機関であり、会 議において基本的な方針を決定し、その方針に基づき教育委員の一人でもあり、教育の専門家でもある教育長が事務局を指揮監督して、芦屋の教育を推進してい くこととなっております。

 教育委員会制度は、教育行政の中立性、安定性、継続性を確保する上からも必要な制度であり、私も教育委員の一人として、幅広い分野にわたる芦屋市の教育行政を一体的に推進していく役割を担っていると受けとめております。

 その上で、私たち教育委員が日ごろから事務局に指示しておりますことは、事務局が学校園をはじめとする教育現場と常に連携を密にし、情報のやりとりを十 分に行うとともに、的確な情報を迅速に私たち教育委員に伝えるようにということでございます。そのことは今、本市においては実行できておりますし、また、 私たち教育委員自身もその情報から的確な判断を行うことができるよう、ふだんから学校行事や校園長研修会などを通じて、教育現場をよく知り、また、教育 トークの場で、市民の皆様の声も直接お聞きしながら、さらには社会教育委員の皆様とも意見交換を行う中で、教育課題を共有できるように努めているところで あります。

 また、定期的な教育委員の会議においても、単なる議案の審査のみにとどまらず、関連する幅広い事項について、事務局から説明を求め議論を深めているところでございます。

 したがいまして、現在のところ、特に問題点は感じておりませんが、今後もこうした日ごろの連携を積み重ね、万が一、何か事が起こったときにも、教育委員会として迅速かつ適切に対応していけるように努めてまいります。
 その他の御質問につきましては、教育長からお答えいたします。

○副議長(平野貞雄君) 福岡教育長。

◎教育長(福岡憲助君) =登壇=ただいま小石委員のほうから教育委員会についての答弁をさせていただきました。私は残りについて、答弁させていただきます。

 初めに、各学校におけるいじめ対策と、教育委員会の対応につきましては、芦屋の教育指針における重点目標に、「いじめ対策の充実」を掲げ、取り組みを進めておるところでございます。

 各学校では、「いじめはどこにでも起こり得る」という認識のもと、未然防止、早期発見、早期対応に努めております。具体的には、アンケート調査や定期的 な面接などを通して、児童生徒の内面理解を進めること。また、保護者や地域との連携から、多面的な情報収集を行うこと。そして、管理職及び生徒指導部を中 心とした組織的な対応がとれるよう体制づくりをしております。

 教育委員会では、関係機関との連携、研修会の開催や啓発等を通して、未然防止に努めるとともに、各学校がいじめを把握したときは学校だけで事案を抱えることなく、教育委員会が連携し、迅速な対応と支援を行う体制づくりをしております。

 次に、各学校と教育委員会の危機管理対応につきましては、夏季校園長研修会において、いじめに関する危機管理研修を実施しております。マスコミ等への広 報を含めた危機管理マニュアルとしては、文部科学省発行の手引きを使用しておりますが、今後は市の危機管理指針も利用して研修を深めてまいります。

 教育委員会といたしましては、学校現場において危機が起きてから慌ててしまうことがないよう、危機発生時には早期に適切な対応がとれるよう、今後も指導してまいります。
 以上でございます。

○副議長(平野貞雄君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) 答弁ありがとうございます。
 最初に、自転車の件に関して再質問をしていきたいと思います。放置自転車が減ってきているということは非常によいことだと思います。この放置自転車を減 らすために、これからもまだ啓発に努めていかなければいけないと思うんですけれども、その中にあっても、やはりなかなかなくならないと思うんですね。た だ、そのなくならない人たちに自転車を回収して、とりに来てもらった場合にはお金を払ってもらう。これは私はすごく当然だと思うんですけれども、でも自分 の責任でない場合に、どう市が対応していくのかというのが、今回の質問の主眼であります。

 つまり、最初に質問しましたけれども、自転車をとられて、それが回収されて、その連絡を受けて、とりにいったらお金をくださいと。何でとられた被害者なのにお金を取られないといけないのかというところなんですね。

 今、市長の答弁の中では、とりに来られたときに、移送日の前日までにそれが盗難であるということが確認できたならば、お金は取ってはいないということ だったんですけども、具体的にこれはどういうことでしょうか。どういった手続を踏んでいたら、その方にはお金をもらわずに返還されるんでしょうか。

○副議長(平野貞雄君) 北田都市環境部長。

◎都市環境部長(北田恵三君) 議員のほうから御指摘の盗難被害に遭われた場合等がございます。これにつきましては、先ほど市長のほうから答弁させていた だきましたが、移送日の前日までに、警察のほうに盗難届が出されてるということが条件になってございまして、私どものほうは移送日に警察のほうに照会をさ せていただいて、その時点でその自転車が盗難に遭ってるかどうか、そういうふうな確認をさせていただいた上で、そういうふうに盗難に遭ってるということが 確認された場合につきましては、所有者の方に連絡をさせていただいて無償で返還をさせていただくということの手続を踏んでるということでございます。

○副議長(平野貞雄君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) 今の答弁では、つまりとられた人が、とられたことを発見したら、すぐ盗難届を警察に届けていればいいんですけども、実際問題とし て、とられてしまったな、残念だなと思ってるときに市のほうから連絡が来て、「自転車預かってますよ。」と。それで喜んでとりにいったらお金を取られると いう場合も多いかと思うんですね。その場合に、市の対応としては、「いや、実はお金ちゃんと届けを確認できたら、移送日の前日までに盗難届を出されていた ら、お金は要りませんよ。」というふうに説明をするのかもしれませんけれども、実際、すぐ盗難届を出される人は少ないかと思うんですね。

 事例としては少ないのかもしれませんけれども、そこを改善していけないのかなと思うんですよ。なぜかといえば、その人には責任ないのに、なぜお金を取ら れるのかというのは、やはりそもそもあると思うんですね。ですから、そこは移送日までに警察の届け出が出されていたらということではなくて、移送日の後で あっても警察への盗難届が確認できたら、これは返還金を徴収しないとか、そういった柔軟な対応はできないんでしょうか。

○副議長(平野貞雄君) 北田部長。

◎都市環境部長(北田恵三君) やはり、そのあたりが、私どもは、正直に盗難があったということで申し出られると思うんですけれども、それを例えば悪用さ れるとか、故意に盗難に遭ったんだということで届けをされるということになりますと、その確認ができないということもございますので、やはりそういった故 意にさかのぼって盗難届を出されるということは、やはり私どものほうでそういうふうな見分けといいますか、そういうことができませんので、そういう方法を とられますと、やはり根本的に崩れてしまうということもございますので、やはり大変申しわけないですけれども、今の基準といいますか、盗難届を速やかに出 していただくようにしていただきたいということでございます。

○副議長(平野貞雄君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) 市民の方が心配してるのは、実際は自分が置いたけれども移送されてしまって、これは盗難されたから私は関係ないからというふうに 言う市民が出てくるんじゃないかなということを心配されてるんだと思いますが、そんな性悪説に立ったら、私はいかんと思うんですよね。やっぱり市民の方を 信用していただきたいと思いますし、もし窓口で「盗難されたんです。」というふうに言われるんだったら、「じゃあ警察に行って盗難届を出して証明をもらっ てきてください。」と言って、その方がそこまで手続をすれば、実際とられたということも証明にもなるじゃないですか。もう少し柔軟な対応を求めたいと思い ますが、再度お答えをいただきたいと思います。

○副議長(平野貞雄君) 北田部長。

◎都市環境部長(北田恵三君) 私どものほうは、あくまでその自転車が盗難にあったかどうかというところは、盗難に遭われた方と、それから芦屋警察のほう で判断をしていただいて、私どものほうは芦屋警察のほうからこれは盗難に遭ってるというようなことを証明していただければ、私どもは警察のほうの情報をも とに、対応させていただくということになりますので、やはり被害に遭われた方と警察との話というのは、きちっとその段階でしていただきたいと思っておりま す。

○副議長(平野貞雄君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) つまり警察に盗難届を出して警察が認めてくれたら、移送日という基準日にこだわらず認めてくれるということを今、答弁されたということでよろしいでしょうか。

○副議長(平野貞雄君) 北田部長。

◎都市環境部長(北田恵三君) あくまで盗難届というのが警察のほうで証明されたということが条件でございますので、そのあたりが警察のほうからきちっと 私どものほうに証明していただければいいということになるんですけれども、ただ、今の条例といいますか、基準はやはり、先ほど申し上げましたように前日に 盗難届が出てるということが条件になってございますので、あくまでその基準で行っていきたいというふうに考えてございます。

○副議長(平野貞雄君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) 条例にはそんな基準はありませんし、それは内部のものだと思うんですね。内部のものについては市民は知らないことですし、内部が柔軟な対応をしていけば抑止はできることかと思います。

 今のお話でしたら、そこは柔軟に対応してくれるようですし、条例にも「関係行政機関等で協議し、また協力を要請することができる。」ともありますし、その辺も十分活用しながら今の答弁を前向きにしていっていただきたいと思います。要望しておきます。

 それでは、教育委員会の教育行政について再質問をさせていただきたいと思います。
 この夏の新聞報道は大津のいじめ事件ばっかりで、すごい何ていうか心を痛めてたんですけども、その後に国のほうも動き出して、これは平成24年9月6日 ですけども朝日新聞に載ってましたが、重大ないじめについては、国指導で対応していくとか、文部科学省が方針を出しました。教育委員会に指導、助言をす る。あるいは文部科学省の調査で、これはつい最近ですけど、いじめが昨年度7万件を超えていたと。ただ、この7万件についても、自治体においてはその数の 把握が難しくて、ばらつきがあるというふうな記事がありました。また、小中高生の自殺増が200人にということで、本当に悲しいことですね。これやっぱ り、どうなくしていかなければいけないかというところに、芦屋の教育委員会の大きな課題があるかと思うんです。

 そういったことを受けて、いじめ対策の試みが次々と行われているということで、市民が相談員になったり、全校訪問調査したり、あるいは第三者の調査委員 会を設置したりとか、各地域で取り組みが進んでいます。県内の公立学校でも5年連続いじめの認知数は減ってるといいますけど、暴力の件数は全国平均より上 だというふうな報道もされています。県の教育委員会は、対応マニュアルを改訂していくというふうに言っています。こんな流れがありまして、芦屋市の教育委 員会でもいろんな相談とかしながら今、対応策を進めていることかと思います。

 答弁の中で、指針に沿っていじめ対策を進めているというようなお話がありました。未然防止、早期発見、早期対応、アンケートとか面接、また、多面的な情 報、組織的な対応、こういったことをしていくと言っています。私は、それを進めていってほしいですし、本当にこんな事件が、あるいは、いじめそのものがな くなるような対応を進めていっていただきたいと思いますが、ただ、やはり不安な点もありますので、そこをもう少し詰めてお聞きしたいと思います。

 教育振興基本計画、この中に、「いじめ、不登校等の課題に適切に対応するため、子どもたちの『心』を支えるシステムやネットワークの充実に取り組みま す。」それでいろいろ施策が載っています。この方針に沿って今、芦屋市の教育委員会は進められていると思うんですけども、教育委員会の事務の点検及び評価 報告書というのがありますね。

 これはもう毎年最近出されてるんですが、その分を見てみますと、例えばこれは平成23年度分ですが、いじめのことについて、こう書いてあります。「今後 も、児童生徒のいじめの予防につながる問題行動を、事前に把握するため、体制を確立することや、前年度の成果を情報開示することが重要である。」と。つま り、体制を確立することや、情報開示が重要であると言ってるんですね。つまり、まだ平成22年度の時点で体制は確立してなかったのかなというふうに思った んですね。

 それで、これはつい最近いただいた平成23年度分の事業評価報告書ですけども、その中もやはり同じことが書いてあるんですよ。「児童生徒のいじめ予防に つながる問題行動を事前に把握するため体制を確立しておくこと」これが芦屋市教育委員会が選ばれた識者のお二人の方が出してる感想みたいなところだと思う んですけども、こういうふうに「体制を確立すること」「体制を確立すること」と2年続けて書いてありますし、もうお一方も、「問題行動やいじめの認知件数 の把握と、教育委員会内部の体制づくり、素早いアクションをお願いします。」と書いてあるんですね。こういうふうに評価されてるということは、今現在、本 当に体制きちんとできてるのかなというふうに不安に思ったんですけど、その点はいかがでしょうか。

○副議長(平野貞雄君) 丹下学校教育部長。

◎学校教育部長(丹下秀夫君) 議員の御指摘のとおり、この教育委員会の事務の点検及び評価報告書には、先ほどの御指摘のとおりのことがあるんですが、体 制づくりができてないという意味ではございません。ですので、まず、学校のほうは先ほどの答弁にもありましたように、各生徒指導を中心にしまして、学校で 起きている子供たちの事案を集約いたしまして、その中で、例えばいじめ事案が発生したときには、先日の校園長会でも確認をしたわけですけれども、速やかに 教育委員会のほうに情報を上げてくださいと。

 当然、学校のほうはそれに関係する児童生徒、保護者に対する指導といいますか、話し合いも含めて指導していきます。これは事案によりますと、短時間で終 息する場合と、それから長期化する場合がございますので、その情報の収集は徹底させるということと、学校の指導に対して、教育委員会も一緒に支援をしなが ら指導していくと。この体制については、できていると考えております。
 以上でございます。

○副議長(平野貞雄君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) 体制はできているということを聞いて、少し安心をしたところです。ただ、大津の事件、そこの中学校を見ていますと、この中学校で は平成21年度、平成22年度は、文部科学省の道徳教育実践研究事業指定校となっていました。いじめのない学校づくりを宣言していました。にもかかわら ず、こういった大きな事件が起こったということで、体制だけがあれば安心できるというものではありません。その点では、日ごろからの教育委員会の働きか け、そして学校内部での働きかけが大切になってくると思います。

 それと、もう1点指摘をしたいんですけども、これもつい最近の新聞なんですが、いじめの認知数、兵庫は全国の3分の1、しかし潜在化の懸念もという指摘 があります。つまり、どういったことかといいますと、兵庫県においては、いじめの認知件数は全国平均の3分の1だったと。それでも兵庫県教育委員会は、い じめが潜在化し、実態を反映できていない可能性があると指摘をしてるんですね。学校現場ではいじめを見抜く教師の力を問う声も上がっていると。こういった 声に、どういうふうにこたえていくかというとこなんですけども、先ほど学校園長の研修会があったというふうにお話がありましたが、それだけで大丈夫なのか という疑問もわいてくるんですけども、その点には、どう教育委員会としてはこたえていこうと思われてますか。

○副議長(平野貞雄君) 丹下学校教育部長。

◎学校教育部長(丹下秀夫君) 先ほどの、この夏に学校園長の研修の中に、いじめ問題にかかわる研修を盛り込んだわけですが、それが十分だということを 思っておるわけではないわけです。例えばその中では、私たちが持っています文部科学省、それから県から出ておりますマニュアルの確認、それから、危機対応 にかかわる事例研究、そして、重ねまして先ほどの答弁にもありましたように、9月から一斉実施をするということで、内容については学校のほうで若干、それ ぞれの学校の実態に合わせて修正というか校正を重ねながらやるわけですが、9月から10月初旬にかけて、小中学校でいじめ事案にかかわるアンケートを実施 するということをやります。この実施をしたときに何をするかというと、子供たちが出してきた反応につきまして、まず学校は分析をしまして、当然、教育委員 会のほうにもその報告をもらいまして、委員会と学校とで相互で実態を把握するということです。

 重ねて言いますと、毎月、実は生徒指導の報告ということで、学校から報告をもらっておりまして、今年度の1学期にも若干ではございますが、いじめ件数と いう数値は上がっております。それにつきましては、上がりましたものにつきまして、継続性がないのか、いわゆる終結をきっちりしているのか、あるいは、再 発がないのかというようなことも分析をしております。

 また、少し長くなりますが、いじめを防止するその環境づくりとしまして、今回、広報紙に教育委員長名で発信をしたわけですが、その中には、やっぱりふだ んの子供たちの授業も含めまして、子供たちの気持ちというか、発言が素直にできやすい学習環境をつくることが一番大事じゃないかということで、安心・安全 な環境づくりをつくっていこうということを確認しておるところでございます。
 以上でございます。

○副議長(平野貞雄君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) お答えを聞いてて本当に心強いなと思いますが、それが現場の一人一人の先生にまで同じ気持ちになるように、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 今、アンケートのお話がありましたけども、確かにアンケートは大切なんですけれども、これはある教育評論家の方がおっしゃってたんですが、いじめのアン ケートをやってる学校は多いと。しかし、ほとんど役に立ってないというふうにおっしゃっています。それで、何でかなというふうにちょっと読み進めていった ら、「アンケートに、『いじめられていたら書いてください。』というような項目がある。ほとんどの子は『ない』と書く。

 もし、クラスの中で誰かがいじめられたことを長々と書いたらどうなるだろう。クラスの中の子供が長々と書いてる子を注目する。あいつは何を書いてるんだろうということになる。つまり、いじめられてる子はアンケートに書けないのである。」こういった見方もあるんですね。

 ですから、アンケートは単にアンケートで書いてもらうということでなくて、そこには書いてもらう生徒がそれを書くことによって、また何らかのいじめを受 けない、そういった細心の注意も必要かと思うです。ですから、アンケートをとれば十分ということではなくて、そのアンケートにも細心の心遣いをしながらも 進めていっていただきたいということを指摘しておきます。

 それで、第1回目の教育長の答弁の中に、教育指針というお話がありました。これに沿って進めてるということだったんですけども、教育指針の中に、いじめ の早期発見対応の視点、これは平成24年度も、平成23年度も載っていますけれども、これっていうのは現場で活用されているんでしょうか。

○副議長(平野貞雄君) 丹下部長。

◎学校教育部長(丹下秀夫君) 活用しております。でき上がりました段階で、教職員の人数分を配布いたしまして、また重ねまして、校園長会から研修をして、周知徹底を図るということをさせていただいてます。
 以上でございます。

○副議長(平野貞雄君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) わかりました。
 それではもう1点、重ねてちょっとお伺いしたいんですけども、その教育指針の中に、平成23年度全国学力学習状況調査の質問紙調査からということで、いじめはどんな理由があってもいけないことだと思うと回答した児童生徒の割合、数字が出ております。

 この中に、小学校と中学校に分けて書いてあるんですけども、小学校でいえば平成22年度は、いけないと思う人は74.4%になってるんですけども、平成 23年度は65.4%に減ってます。中学校でも63.4%だったのが61.2%に減ってます。この点はどういうふうに見ればよろしいんでしょうか。

○副議長(平野貞雄君) 丹下部長。

◎学校教育部長(丹下秀夫君) おっしゃる通りの数値が残っておりまして、この数値につきましては、もう真摯に受けとめまして、子供たちが、いじめは絶対 に許さないという強い意識を育成するように、教育活動全体で取り組むことを意識して、再認識しておるところでございます。重ねまして、きのうも答弁で申し ましたように、今年度の数値は出ておりませんので、出ましたらすぐに分析をいたしまして、広報いたしたいと考えております。
 以上でございます。

○副議長(平野貞雄君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) 1回目の答弁にありましたように、未然の防止、早期発見、早期対応、アンケートや面接を通しての多面的な情報収集、組織的な対応、これにこれからも十分取り組んでいっていただきたいと思います。

 そしてまた、命のとうとさも生徒たちに訴えていっていただきたいと思います。今、自殺防止対策予防週間ですか、そういった中でもありますから、この命の大切さも忘れることなく伝えていっていただきたいと思います。

 それで、2点目の危機管理の対応について、もう少しお聞きしたいと思います。これも大津の事件を引きながら、芦屋市の教育委員会は大丈夫かということを お聞きしたいと思うんですけれども、その危機管理の対応がなっていなかったのか、それとも連携がうまくいっていなかったのか、それは報道でしか知ることは できませんけれども、例えば大津の事件となった中学校では、事件の直後に生徒へのいじめを見聞きしたかどうかを教職員約60人に確認をしてるんですね。と ころが、聞き取った内容を記録に残していなかったんです。残していなかったことが判明したのが、事件から約8カ月たった後ですか。遺族にはその調査したこ とさえ知らせていなかったということなんですね。

 その後に、全校生徒に1回目の文書アンケートを実施しています。8割の生徒が回答しました。自由記述部分に約300人ほどが書いていたということなんで すけども、学校側は不要と判断して市教育委員会に提出していなかったんですね。それから1カ月たって2回目のアンケートを実施してますけれども、この2回 目のアンケートもしたことすら公にしてませんでした。これも教育委員会は知らされていなかったということなんですね。188件、このときアンケートを回収 できたそうなんですけども、学校が確認したのは3件のみだったそうです。もう余りにもちょっとひどいなというふうに思っていたんですけれども、その後、学 校の校長先生は、校内放送で「自殺の練習はもともとうそだ。」とか、「報道はうそだ。」とか、泣きながら生徒に訴えています。これは本当に危機管理対応が なっていないなというふうに思ったところですが、芦屋ではこんなことはないと思うんですけども、ただ実際、事件が起こったときにどう対応できるかというの は、そのときにならないとわからないことですし、ふだんからそういった危機管理について十分研修とか積んでなかったら、なかなか対応しにくいかと思うんで すね。

 もう一つ、これは指摘じゃなくてこんなことがあったということを御紹介しておきたいんですけども、この事件が公になったのは平成24年2月に裁判になっ て、それが報道されるようになって知られてくるようになったんですけども、最初は市のほうはこの裁判を闘うということで第1回目の口頭弁論で原告側にいじ めのあった日時や場所を特定するように求めたりしてたんですけども、このマスコミがそれを報道することによって、また問題が明らかになってくることによっ て、大津市の市長は和解を示唆したんですけども、実際は教育委員側がその因果関係を否定して、立場を変えなくて、教育委員会と市のほうが意見が合わないと いうことも出てきております。

 また、加害者の一人が担任の女性教諭を平成24年5月に暴行して、暴行事件を起こしてるんですけれども、そのときには、暴行があったことを訴訟への影響 を懸念して、県警に相談しなかったこととか、最初は手指の骨を折っただけだというふうに言ってたんですけども、実際は全治1カ月の重傷の診断を受けていた ということが後々明らかになっています。

 これはもうちょっと余り例にはならないかと思いますけども、危機管理ができていなかったらこういうことが起こり得るという一つの事例だと思うんですね。これを芦屋市でどう受けとめていくかというのが大切だと思います。

 教育長の答弁の中に、研修会とかでこれもやってるというふうなお言葉がありましたが、実際起こった場合にどう対応していくのか、マニュアルとかそういうものは準備できているんでしょうか。

○副議長(平野貞雄君) 丹下部長。

◎学校教育部長(丹下秀夫君) 先ほどの教育長の答弁を少し補足いたしますと、夏の校長の研修で使いましたときに、これ危機管理のマニュアルという、その 危機管理対応というのは、さまざまな場面があろうと思いますが、今回、大津のその悲しい事件を受けまして、文部科学省がつくっております子供の自殺が実際 に発生したときに、どんなふうに対応するのかといったところまでのマニュアルができておりまして、この中には、報道機関への対応をするといったところまで のマニュアルがあります。あるいは、そのそれぞれの御家庭に対して何日以内にどういった形の動きをとらなければいけないというようなことですね。だから、 従来の私どもというか、学校現場も含めましてやっております事実が発生しましたときに、事実の真意を細かく聞き取って調査をいたしまして、教育委員会のほ うに報告を上げていくという、こういった筋道を当たり前のものと思わずに、緊張感を持って当たりましょうと。あるいは、これはあってはならないことですけ ども、万が一そういった子供の事故が発生した、あるいは事案が発生したときには対応してまいりましょうといったことです。

 先ほどの答弁の中に、市のほうにも危機管理マニュアルというのもありまして、これにも別の視点で細かな対応のものがありますので、これは重ねて先日の校 園長会で提示をしながら、そういったものを提示をしましたときには、学校の生徒指導部のほうに連携を持って、派生をして、学校のほうに周知徹底を図るとい うシステムを持っております。芦屋市のマニュアルという、その芦屋市の生徒指導のマニュアルをつくっているという意味ではございません。

○副議長(平野貞雄君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) いや、いろいろ適切な答弁が返ってくるので、非常にありがたいなと思いますけれども、ただ、マニュアルがあれば安心ということで はありませんから、日常ふだんからきちんと対応できるような心構えと、芦屋市も危機管理指針というのをつくってますから、これを日常ふだんに現場の職員の 方がきちんと見るように、そういったことも教育委員会として適切な指導をしていただきたいと思います。

 最後に、教育委員会のあり方について、再度お伺いしていきたいと思います。この間のこういった事件を受けて、教育委員会は本当に要るのか、市長に任せて しまったらどうか、こんな話が出ています。私は、教育委員会はやはり教育委員会として存続し、教育行政の中心を、大切な役割を担っていってほしいと思って います。ただ、市民から見ればどんなふうに見えているのか、あるいは、生徒から見たらどんなふうに見えているのかといったら、また違う意見も出てくるかと 思うんですね。

 これは新聞のある論説委員が書いてることなんですけども、「戦後、教育委員会制度が導入された。地方自治体の長から独立し、教育の中立性と民主制を維持 するのがねらいだった。その後、教育委員の公選制を廃止するなどさまざまな改革がなされてきたが、基本的には教育行政の最高決定機関という地位は維持され 続けた。だが、教育委員は単なる名誉職という側面が強く、ほとんど形骸化した。」こんなふうに言われているんですよ。私はこれを読んで、本当に悲しいなと いうふうに思いましたが、でもそんなふうに見てる人もいるんだなというふうに思ったところです。

 しかし、ひも解いていくと、1986年、昭和61年には、もうそのようなことが書かれてるんですね。臨時教育審議会の第2答申に、教育委員会の現状につ いてこんな指摘があります。「近年の校内暴力、陰湿ないじめ、いわゆる問題教師など、一連の教育荒廃への各教育委員会の対応を見ると、各地域の教育行政に 責任を持つ合議制の執行機関としての自覚と責任感、使命感、教育の地方分権の精神についての理解、主体性に欠け、21世紀の展望と改革への意欲が不足して いると言わざるを得ないような状態の教育委員会が少なくないと思われる。」こんなふうに指摘をされています。

 私は、芦屋ではそんなことないと思いますが、教育委員会不要論を退けるため、芦屋としてもやっぱりしっかりやってるんですよというのを見せていかないといけないと思いますが、その点では今後どのような努力をされていかれますでしょうか。

○副議長(平野貞雄君) 福岡教育長。

◎教育長(福岡憲助君) 私、教育長として、また、教育委員としての立場として、いろんな会に行きますときに、「教育委員長の福岡です。」とか、「教育長 の福岡です。」とか、いろんな紹介をされることがあります。まさに今、議員御指摘のように、教育委員長と教育長の違いが認識されていないという実例ではな いかと思います。やはり私ども教育委員、今回、小石委員が御答弁に立たせていただきましたように、目に見えるもの、今、丹下部長のほうからいじめの案件の ことでいろいろ御説明差し上げましたが、教育委員会が学校との連携の中で、いかに教育委員が見えるか、今回特に私どもが気をつけましたのは、やはり大津の いじめから、教育委員が、また、教育委員会が市民に対しての発信、こういう考えをしてますよということが、いろんな折々につけて出せること、そしてまた、 教育委員会と事務局が、ある意味じゃ緊張関係にないといけないと思っております。

 そういうことから、今、議員御指摘のようなことも受けたんではないでしょうか。やはりそのことが、さらに機能を発揮するためには、私が教育委員という立 場と、また、事務局を統括するという立場の者が、より機能して、よく教育委員会から指示をいただいています情報を常に伝える。そして教育するということの 重要性がさらにさらに大事になって、また、私自身が肝に銘じてやっていかなければならないというふうに感じておりますので、これからもそういう意味で、私 ども事務局と教育委員の会が、緊張感を持ちつつ、といいつつも、やはり芦屋の子供たちを健やかに育成するというキーワードは全く一緒ですので、そういうこ とでより市民の皆様に見える形でやっていきたいと思っております。
 どこまで答えになりましたかどうか自信ありませんが、そういう意味で申し上げました。
 以上です。

○副議長(平野貞雄君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) 教育長のそういった答弁がありましたので、今後そごが生じないように、教育委員会としての取り組みを強めていっていただきたいと思います。

 それで、今回は、いじめ、大津のことを取り上げていろいろ質問させていただきました。文部科学省が「すべての学校・教育委員会関係者の皆様へ」というこ とで、平成24年7月13日に通知を出されています。世間ではこのいじめのことが大きく報道されたんですけども、教育委員会の中で何か議論をされたんで しょうか。

○副議長(平野貞雄君) 教育長。

◎教育長(福岡憲助君) 教育委員会としまして5人のメンバーが、教育委員会の定例会議というのは月に1回、2回のものでございますが、すぐに俊敏に電子 メール等が来まして、委員長のほうからも、これはどうだろうかということで、そういう国からの通知、そして県のほうの通知も来ましたし、じゃあそれだけで はだめだということで、芦屋市教育委員会として、9月1日のその市民の皆様への、その以前に校長の研修会にぜひ私たちも出て、一緒になってその場の議論を 聞いて、また勉強させていただきたいという思いで動いているというのが現状でございます。

○副議長(平野貞雄君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) 今のお話でしたら、きちんと教育委員の皆さん方に、この文部科学大臣の談話とか資料とか渡されて、議論はされてるということでよろしいんですね。

 はい、ありがとうございます。じゃあ、教育委員会はきちんと機能しているということを伺って、本当に安心しました。ただ、実際教育委員の皆様方はお仕事 を持ちながら会議に参加をしてるんで、なかなか専門的なことがわからない。あるいは事務方から提供しないと、あるいは資料を提供していかないといけないと いう場合が多々あると思います。そこはやはり教育長、責任が重いと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それで最後になりますが、いじめ問題の取り組みについて、文部科学省がいろいろ資料を出されています。例えば、平成23年1月20日には、「各学校や教 育委員会において、下記の事項に御留意の上、いじめの問題への取組の更なる徹底を図るようお願いします。」という文書が出て、教育委員会の取り組みとして 11項目が出されています。

 こういった資料とか、あるいは平成18年に出された「いじめ問題への取組の徹底について」、これは通知ですけれども、これもいじめの早期発見、早期対応 について、あるいはチェックポイント、いろいろ今に生かされてるだろうことも掲げて書いてあります。こういった資料も、ぜひ教育委員会の皆様方に資料とし て、知識として、これからの活動に生かしていっていただけるよう、事務方の配慮、あるいはいじめ問題にかかわらず、教育委員会としての権限というのは19 項目にわたっていろいろ挙げてあります。そういうのを全てにわたって、やはり見識が広まるようにしていっていただきたいと思いますので、今後の活動に期待 したいと思いますが、もし一言何かあれば御答弁お願いします。

○副議長(平野貞雄君) 小石教育委員。

◎教育委員(小石寛文君) 今、中島(健)議員もおっしゃいましたように、我々教育委員というのはある意味、教育の素人といいますか、教育現場に直接おる ものではございません。そういう意味では、きちんと事務局のほうからいろんな資料をいただくということは必要なわけですけれども、でも、ある意味また一旦 市民の立場の目で、そこを検証していくというような役割も担っているんだというふうに自覚しております。その辺、きちんと連携をとり合って、我々も緊張感 を持って、今後とも対応していきたいと思っております。
 以上です。

○副議長(平野貞雄君) 以上で中島健一議員の一般質問を終了いたします。


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