[バックナンバーINDEX] [HOME]


議会一般質問のロゴ
2012年(平24) 6月 一般質問



○議長(長野良三君) 次に、財政運営の健全化について、適切な行政執行について、以上2件について中島健一議員の発言をお許しいたします。
 本質問は一問一答方式により行われます。
 15番、中島健一議員。

◆15番(中島健一君) =登壇=通告に沿って、一般質問を行います。
 今回は、財政運営の健全化について、そして、適切な行政執行についての2点について質問します。

 財政運営の健全化についてはこの5月に明らかにされた行政改革基本方針の中でも、安定、効率的で持続可能な行財政運営の項目が挙げられ、今後、この計画に沿って進められていくと認識しているところです。

 行政改革基本方針の推進には総論的な支持をし、当局の今後の執行に期待を寄せているところです。しかし、その項目の中で気になる点もあり、今回はその一 つである、財政健全化への取り組みとして挙げられている平成26年度末までに市債残高500億円以下を目指すことについて質問をします。

 まず前提として、市債残高を減らしていくことは必要なことであり、その努力を惜しんではならないと私も思います。ところが、今回のこの目標については、唐突な感じを受けているところです。

 それはなぜかと言うならば、この平成26年度末までに市債残高500億円以下の目標が提示されるわずか2カ月半ほど前に、行政当局は市議会の行財政調査 特別委員会で、長期財政収支見込みの説明をしました。その説明では、市債残高について、平成26年度末には556億円、500億円以下になるのは平成28 年度末としていました。

 ところが、わずかその数カ月後に提示した行政改革実施計画には平成26年度末に500億円以下とし、特別委員会で示した数字と約60億円の乖離があるの です。これについては、なぜそうなったのか、この間、明確な説明がありませんので、なぜ目標が変わったのか当局の説明を求めたいと思います。

 また、約60億円の乖離を埋めるためにはそれなりの案を持っているものと推察しますが、達成目標の根拠を教えてください。あわせて、当局内部での合意はあるのか、そして、何よりも市民に負担をかけずにできるのか、お答えいただきたいと思います。

 次に2点目の、適切な行政執行について質問します。

 行政が事務を遂行するに当たって、その根拠となるものは法令になります。つまり、法治主義です。しかし、法令がすべてを定めているわけではありません し、法令が一定の判断余地を行政に与えている場合もあります。これは、行政裁量と呼ばれているものですが、行政を円滑に執行するためには、この行政裁量は 欠くことのできないものと認識しているところです。

 しかし、行政裁量は重要な役割を果たしている反面、その行為自体が問題となることもあります。例えば、社会通念上の諸原則である信義則や平等原則、比例原則等に反する場合は裁量権の範囲を逸脱、あるいは裁量権の乱用と考えています。

 また、判断過程において考慮すべきことを考慮せず、逆に考慮すべきでないことを考慮することで認識や評価を誤り、合理性を持つものとして許容される限度を超えた考慮をした場合には違法との判断も出されています。

 では、芦屋市ではどうでしょうか。行政執行は法令に基づいて行っているのか、裁量の範囲はどうあるべきと認識しているのか、まずお答えいただきたいと思います。

 さて、法令に基づいた行政執行と裁量権について、これを踏まえた上で一例として市営住宅等における滞納問題の対応について少し詳しく見ていきたいと思います。

 市営住宅等の使用料の徴収については、市の定める条例第20条の2項において、使用料はその月分を毎月5日までに納付しなければならないとあります。そ して、第40条では、使用料を3月以上滞納したとき入居者に対しての住宅明け渡しを請求することができるとなっています。これが条例で定められていますか ら、原則となります。

 ただし、すべて原則では事が進みませんし、裁量の範囲で柔軟に対応しているところです。しかし、なるべく原則に近づけていかなければ条例で定めている意味がありません。

 そもそも市営住宅等は住宅に困窮する者を入居させるものです。使用料も市場相場に比べて安く、入居希望者も多数あり、しかも倍率も高く、なかなか簡単に 入れない状況にあります。そんな中にあって、いわゆる悪質と言われる滞納者に対しては毅然とした対応をし、困っている市民を入居させていくのが筋だと考え ます。

 条例では、3月以上の滞納で明け渡し請求ができるのですが、実際には明け渡しを求めるまでにはかなりの時間がかかっているのが現実です。なぜかと言う と、「市営住宅等使用料の滞納整理事務処理要領」において、明け渡し請求するのは十二月以上滞納し、または滞納使用料の総額が100万円以上になったとき に請求することになっているからです。

 要領が定められる以前に比べればこれでもまだよくなったほうだとは思います。しかし、別の言葉に言いかえるならば、条例において3月以上の滞納で明け渡 しを請求することができるにもかかわらず、条例でもなく規則でもない、また要綱ですらない内部規定の処理要領で1年以上の滞納をしても、場合によっては、 滞納総額が100万円を超えるまで明け渡しを請求されないということだと思うのです。

 ここでまずお聞きしたいのですが、滞納整理事務処理要領は行政裁量の範囲内なのでしょうか。また、ほかの自治体では事務処理要領は要綱として定め、公表もしているところですが、なぜ芦屋市においては要綱でなく要領なのでしょうか。

 あわせて、現状を知るためにも数字を明らかにしていただきたいと思います。現在の市営住宅等における滞納件数と金額、そのうち十二月以上の滞納件数と総額、うち100万円以上の件数と総額をお願いします。

 また、滞納者に対して相談、合意の上、分割納付も行われていますが、その分割納付の現状、そして、その人たちへの対応もお願いいたします。

 そして、最後の質問として、入居の際には保証人が必要となってきますが、滞納者の保証人に対して、現在どのような対応をしているのかも、あわせてお答えいただきたいと思います。
 以上、1回目の質問を終わります。

○議長(長野良三君) 答弁を求めます。
 山中市長。

◎市長(山中健君) =登壇=中島健一議員の御質問にお答えいたします。
 初めに、行政改革実施計画における市債残高削減目標が本年2月に作成いたしました長期財政収支見込みにおける市債残高からなぜ変わったのか、また、その 達成目標の根拠につきましては、長期財政収支見込みは一定の前提条件のもとで今後の歳入歳出を予算ベースで見込み、10年間の収支予測を行っているもので ございます。その中で、公債費につきましては、通常の計画償還として計上しており、その結果、平成26年度末の市債残高見込みは556億円となっておりま す。

 一方、行政改革実施計画における市債残高削減目標につきましては、私が掲げました「任期中に市債残高を400億円台にする」という選挙公約を行政改革実 施計画の項目として掲げたもので、これは数値が変わったというものではなく、新たに目標を設定したものでございます。今回の行政改革実施計画につきまして は、内部での合意形成として、庁内の議論を経て策定しております。

 また、市民への負担につきましては、本市の財政状況が厳しくなっております大きな要因は、震災復旧・復興事業の財源として借り入れた市債の公債費負担が 大きいことによるものですので、市債残高を早期に減少させることは後年度の利子負担を軽減することになり、結果的には市の財政にとってプラスになるものと 考えております。

 具体的に市債残高を減少させる方法としましては、借り入れ抑制と繰上償還が考えられますが、これを実現するためには長期財政収支見込みにおける市債残高見込みから56億円以上の削減を行う必要があり、その財源をいかに捻出するかが課題となってまいります。

 今後、財政状況を見ながら、新たな市民負担を生じさせないよう慎重に判断してまいりたいと考えております。

 次に、適切な行政執行につきましては、行政の執行は基本的には法令に基づいて行うものですが、法令の規定が行政に裁量を認めている場合は、法令の趣旨、 目的を考慮の上、裁量の範囲を逸脱することのないよう、常に全体の利益、公益性等を考慮して執行すべきものと認識しております。

 これらのことから、市営住宅における使用料滞納の対応につきましても、市営住宅の明け渡しは3月以上滞納したときに請求できるという条例の規定は、公営 住宅法第32条を踏まえたものであり、最小限の範囲を示したもので、必ずしも三月という数値だけで判断するものではなく、言いかえますと、一つの判断基準 であり、住宅に困窮する諸事情を考えますと、十二月で明け渡し請求を開始する事務処理要領は裁量の範囲内と考えております。

 また、要綱として公表することで、市民が処理基準を把握することができるという長所は、一方で、「基準に達するまでは許容される」と受け取られるなどの短所もありますので、いずれの方法によるかは、これも行政の裁量の範囲内と考えております。

 市営住宅等の使用料に係る現時点での滞納額は入居者全体で133件、約7,180万円のうち、十二月以上もしくは100万円以上は54件、約6,310 万円で、そのうち100万円以上のものは30件、約5,140万円。また、入居者全体の133件、約7,180万円に対し、分割納付を誓約されている方は 113件、約6,460万円ですので、差し引き20件、約720万円が明け渡し請求の対象になり得る滞納分で、実際にこのうちの3件、約450万円につい て明け渡しの事務を進めているところでございます。

 なお、分割納付を誓約し、徴収を猶予されている入居者が誓約内容を履行されなかった場合は、明け渡し対象となる滞納へ取り扱いを変更しております。

 滞納者の保証人に対しましては、事務処理要領にのっとり、3月以上の滞納で催告を行った入居者の保証人に対し納付指導通知を送付しております。

○議長(長野良三君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) 最初に、財政運営の健全化について、特に市債残高の件について再度お尋ねしたいと思います。

 本来なら、3月末までに計画が発表される予定であった芦屋市行政改革が5月にずれ込んで、その中の実施計画の中で財政健全化への取り組みというのが挙げ られてます。平成26年度末時点での市債残高500億円以下を目指すため、財政状況を見きわめながら可能な限り借り入れ抑制や繰上償還を行うと。実際に は、2月の中ごろに行われた行財政調査特別委員会の資料では、平成26年度末では先ほども数字を述べましたが、556億円になってるんですね。

 今、市長が答弁にありましたように、市長公約を新たに目標を設定するために、これが別に数字とのずれはないというふうなお答えだったんですけれども、そ れでは、市長公約というのは大分前からあった話ですから、大分前というか、この任期中にという話は以前からも聞いてた話ですから、長期収支財政見込みの中 でもそういった数字を反映させてやはり委員会に報告すべきではなかったのかなというふうに思います。

 仮に、この長期収支財政見込みが特別委員会後に、この実施計画に基づいて500億円以下にするということにするならば、改めてこの根拠を委員会に、議会のほうに報告をして説明をするべきではなかったのかと思うのですが、その点ではいかがでしょうか。

○議長(長野良三君) 山中市長。

◎市長(山中健君) 500億円を切るというのは、以前からあったというお話でございましたが、この選挙の直前でございましたか、ちょうど、この2月前後でございます。議会の説明は、2月ごろに、長期財政収支見込みを立てたときに御説明させていただいていると思います。

 ただ、行政の執行者としての立場と、選挙を打つ候補者としての立場から申し上げますと、市債残高を減少しますという抽象的なことでは責任を持って選挙を する、いわゆる行政に当たるということはなかなか、ちょっと無責任的なところがあるかな。ある程度、具体的な数字を示して選挙をすべきだし、そして、それ に向かって努力をするというのが当然のことだと思いますので、全くだれでも実現できそうな数字ではなくて、ちょっと高い目標ということで500億円を切る ということの目標を設定させていただいたんでございます。

○議長(長野良三君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) 市長の公約はわかりますし、私が聞きたいのは、2月の半ばに長期財政収支見込みが発表されて、その中では平成26年度末にはまだ556億円が残りますよというふうに説明を受けました。

 その後、数カ月たって、この行政改革の計画が出されて、実施計画の中では平成26年度末までに市債残高を500億円以下の達成を目指すというふうに報告があったんですね。

 数カ月で変わるには、それなりの根拠があったのではないかと。ですから、その根拠をきちんと説明すべきではないのかということをお尋ねしてるんですけども。

○議長(長野良三君) 山中市長。

◎市長(山中健君) 当然、御説明ないといけませんでしたが、御説明する機会があったのかどうか、ちょっと今あれでございますが、529億円から556億 円にふえた要因は、それぞれ実施予定の事業が追加された。例えば、旧消防庁舎の改修とか、あるいは学校園の施設整備等がありましたのでふえたのが実情でご ざいます。

○議長(長野良三君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) ちょっとそごがあるようで、私の求めてるのとは違うんですけれども、実施計画で500億円以下にするというのは、これはこれで受 けとめるんですけれども、長期財政収支見込みではそうはなっていなくて、乖離があると、その乖離の分については借り入れを抑制する、繰上償還をしてという ふうに答弁もありましたけども、実際にそれだけしていくのはかなり難しいだろうし、当局としては具体的な根拠を持って実施計画をつくったんだと思うんです ね。その根拠について当局の考えを教えていただきたいということなんですけど。

○議長(長野良三君) 岡本副市長。

◎副市長(岡本威君) 長期財政収支見込みの556億円に対しまして、今回の行政改革実施計画で500億円とした数値目標を達成するという今、明確な根拠はございません。

 これは、今後の財政執行の中で500億円の達成を目指していくということでございますので、特にこういうことをして500億円になるという明確なものは、今持っておりません。
 以上でございます。

○議長(長野良三君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) 明確なものを持っていないというのが、すごい腑に落ちないんですけども、行政改革のこの基本方針実施計画というのは、これに向け て努力はしていくけれども、それに向けて根拠があるからこそ、何かをしていくからこそ達成できるというものがあるんで実施計画としてやっていくんだろう と、私はちょっと理解してたんですけれども、根拠がなくても実施計画というのはつくることはできるんですか。

○議長(長野良三君) 岡本副市長。

◎副市長(岡本威君) 数値的な根拠がないということでございまして、例えば500億円に達成するために、今後、いわゆる事業の見直しでありますとか、あるいは、余剰な歳入を充てて500億円に持っていくという考えでございます。

○議長(長野良三君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) 私の理解不足ということにしておきますけれども、実際にそれだけの56億円を、長期財政収支見込みからすると、56億円を削ると いうのは大変なことだと思うんですね。その大変なことを実現していくためにはどうしていくのか、根拠はないというふうに言われると、私は、それで本当に やっていけるのか、当局、大丈夫なのかと不安になってしまうんですよ。

 この収支見込みを見ていますと、平成25年度には実質収支としてマイナス21億円、平成26年度にはマイナス15億円という数字が挙がってますよね。 トータルで36億円の財源不足が見込まれてるんです。ですから、この長期収支財政見込みで見ると、財源不足である36億円プラス56億円以上のお金を削っ ていくということになるかと思うんですね。もう平成24年度始まってますから、2年と少しの間でこれだけのことをやっていこうと思うからには、何がしかの 根拠がなければ難しいのかな。単なる努力しますということだけでは達成できないだろうと思うんで、今、考えお持ちでしたら、根拠がないと言われたんでお持 ちじゃないのかもしれませんけども、もう少し教えていただけますか。

○議長(長野良三君) 山中市長。

◎市長(山中健君) 56億円という金額、確かに大変な数字でございますけれども、何としても達成するためには、例えば借り入れ抑制、それから繰上償還、 あるいは予算があるから全部使ってしまえというようなことじゃなくて、切り詰めて切り詰めて不用額を出す。あるいは、特別交付税等のプラス要素と申します か、56億円を減らす要素はそこら辺に努力をしていきたいと思ってます。

○議長(長野良三君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) 借り入れ抑制と繰上償還だけではなかなか難しいと思いますので、これから市のほうから提示される考えもまた後日そういう場があるだろうと思いますので、そのときにまた具体的にお聞きしていきたいとは思います。

 ただ、市民に負担をかけずにやっていきたいというふうにおっしゃってましたけども、本当に市民の方も今、大変な生活をしておられますから、市民に負担をかけない形での目標達成という形で頑張っていただきたいと思います。

 二つ目の大きな質問のところに移っていきますけれども、当然、行政の事務執行というのは法令に基づいて行われていると思います。今回は、その裁量の範囲はどうあるべきと認識しているのかという質問に対して、逸脱することのないように執行してるという答弁がございました。

 その点から言うと、この今の市営住宅等の滞納問題についての市の対応は、その裁量の範囲内にあるのかどうかという点で少し疑問に思って質問を取り上げたわけです。

 今回の条例では3月の滞納で明け渡し請求ができるにもかかわらず、そうなっていない。そうなっていない理由としては、事務処理要領というのがあって、そ の事務処理要領の中で処理がされているからというふうに指摘をし、それが行政裁量の範囲内かというふうにお尋ねしました。

 市長のほうは、それは行政裁量の範囲内だというふうに御答弁がありました。私は、それはそれで受けとめますけれども、いつまでも事務処理要領のままでいいのかといったら、やはり問題があるかと思うところです。

 昨年、このことが委員会の中でも指摘をされまして、当局の方は今後の検討事項として考えておりますけれども、現時点では、今の十二月、それから100万 円以上ということで取り組んでいこうというふうな答弁がありましたので、今はこうだけども、将来的にはよくしていきたいという、条例に近づけていきたいと いう意向があるのかと思っているところです。

 その点で、今の事務処理要領をなるべく条例に近づけていく、そういった考えはないのか。つまり、十二月以上を少ない月に、100万円以上の基準をもう少し少ない金額にしていく考えはないのか、その点をお尋ねしたいと思います。

○議長(長野良三君) 林都市計画担当部長。

◎都市計画担当部長(林茂晴君) ただいまの御質問にお答えいたします。
 まず、市長答弁がありましたように、今回の事務処理要領が裁量であるというところの根拠についてでございます。

 公営住宅法の逐条解説を少し説明させていただきます。逐条解説によりますと、明け渡しにつきましては、法第32条第1項第2号で、家賃を3月以上滞納し た場合、明け渡しが請求できると規定されておりますが、公営住宅の公共的性格から、入居者が契約に基づく義務を誠実に履行することを何らかの手段で保障 し、かつ、その義務に違反した場合に、単なる契約解除権だけでなく、法律上、積極的な手段が取り得るようにする必要があることから事業主体に明け渡し請求 権を認める場合を明示されたものでございます。

 法第32条第1項に該当する場合は、民事法上の規定によっても貸し主と入居者との間に契約関係を取り消すことができること。また、債務不履行による解約 理由が十分になり立つ場合に該当することから、公営住宅法において、特に明け渡し請求の理由とされたものと解説されてございます。民間住宅と比較して、最 低基準を定めたものと理解しております。

 しかしながら、例えば使用料を3カ月滞納したときでも、その理由が失業などの理由により収入が著しく低額になること、病気等の理由により生活が著しく困 難な状況に陥った場合など、特段の事情があり、市と入居者の間に信頼関係を破棄すると認めがたい場合は明け渡しを請求することができないということが過去 の判例でも出てございます。

 民間賃貸住宅と違いまして、公営住宅という住宅困窮者に低廉な家賃で住宅を保障し、社会福祉の増進に寄与するという性格から、行政として一定の裁量を設けているのが現状でございます。

 今後につきましては、議員御指摘の使用料滞納者に対する明け渡し請求の最終通告の条件につきまして、本市としましても滞納処理の迅速化、滞納者に滞納額 が多額にならない時点で早く自覚を促す観点からも、滞納期間や滞納額の条件を条例に近づけていく方向で検討しているところでございます。

 具体的には、入居者が滞納に至った原因、過去にも滞納を繰り返しているなどの滞納状況、催促に対し支払いの意思があるかどうかを総合的に考慮いたしまし て、信頼関係が破棄された場合におきましては明け渡しの請求を行ってまいりたいと考えておりますので、他市の状況も踏まえながら、早急に事務処理要領を見 直してまいりたいと考えておるところでございます。

○議長(長野良三君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) 事務処理要領の見直しの言葉が出ましたので、ぜひ、その方向で努力をしていただきたいと思います。

 なぜかと言いますと、各市でも、やはりこのことは大きな問題になってまして、条例ではそうなっているのに、なぜ内部の規定とか要綱とかで、言葉は悪いんですけども緩く見ているんだというふうな声があるところです。

 滞納問題を解決するためには、それではいけないだろうということで、今、各市で取り組みが始まってます。これは、資料は当局のほうにもお渡ししましたけ ども、宮城県では「県営住宅滞納家賃等の縮減に向けて」という提言がされてます。これは県のことですけども、内容はほとんど市とも変わりませんので、これ をちょっと参考にしていただきたいと思ってるんですけども、入居を希望しながら入居できないでいる者と入居している者との間の公平性の確保、これが必要だ という観点から、この滞納問題にも提言がされてます。

 具体的には、明け渡し訴訟対象者の選定基準の改正を行う必要があると。現行基準の十二月以上、かつ、宮城県は50万円なんですけども、50万円以上の滞 納者からの選定を六月以上、かつ30万円以上の選定者からの選定と見直すことなども考えられるが、条例で規定している3カ月以上に合わせて、早期の対応を 図ることが重要であり、金額には過度にこだわるべきではないというふうな提言をされています。

 こういった提言があって、ほかの自治体でも取り組みが始まっています。お隣の西宮市さんですら、この住宅等契約解除通知及び滞納家賃の支払い請求のとこ ろでは、六月以上または滞納金を30万円以上の者に住宅等の契約解除を通知し、というふうに取り組みを行っているところです。

 これから比べると、今の芦屋市というのはやはり十二月以上100万円の基準をなるべく条例に近づける形で取り組んでいく必要があると考えているところです。

 それがなぜいいかと言うと、それはだれにとってもメリットがあると思うんですね。三月以上たまってしまっても、今、通知とかしていますが、実際には十二月以上100万円の基準があれば、そこまで大丈夫なんだなという安心感が生まれてしまうと思います。

 先ほど、私はなぜ要綱でなく要領なのかと聞きましたところ、それは裁量の範囲内で実際に要綱にすることによって、それまでためてしまう方がいるかもしれ ないかのような答弁がありましたけども、実際、この要領を要綱にすることによって、基準を明らかにして、なおかつ、この基準金額、月数を短くしていくこと が滞納者にとって、早く納めなければいけないな、早く納めることによって行政執行側の負担も減るし、市民の方にとっては市民の負担が減っていく、こういっ た双方いいところばかりだと思うんですね。

 ですから、その点でも住宅処理要領にある基準をなるべく条例に近づけていくことを今後も強くしていっていただきたいと思います。

 今、要領で実施している、要綱は裁量の範囲内だと言ってますけれども、やはり要綱にして、市民にこういった基準で今、行政は執行していますと明らかにしていく必要があると思いますが、再度、要領を要綱に書きかえていくつもりはないのかお聞きしたいと思います。

○議長(長野良三君) 林都市計画担当部長。

◎都市計画担当部長(林茂晴君) 1回目の答弁で市長が答弁したとおりで、要綱にしますと、明らかになるんですけども、まず、そこまで滞納しても大丈夫な んだなと言われるような欠点もございますので、現在のところは、入居者に対しまして、新規登録申し込みの際に、滞納についてはこういう取り扱いをするとい うことを明記して、わかりやすくするようにしたいというふうに現時点では考えております。

○議長(長野良三君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) でも、実際には基準というのはこうやってやりとりもしてますし、明らかになってきてるんですから、要領を要綱にしていくことが行 政事務執行に当たっては全然問題ないだろうと、私は思います。ですから、現在の要領を要綱にしていくことを再度求めておきたいと思います。

 1回目の質問の中で、分割納付の現状についてお尋ねして、現在、113件、6,460万円がそういった形で分割納付されているというお話がありました。

 分割納付というのは、何年か滞納してる分を何回かに分けて払っていくものだと思いますけれども、施行規則の中で、徴収猶予の期間は1年以内というふうになっているんですね。実際はそうなっていないのじゃないかなと思うんですけども、現状をおっしゃっていただけますか。

○議長(長野良三君) 林都市計画担当部長。

◎都市計画担当部長(林茂晴君) 今の質問ですけども、確かに分割納付の誓約の時点でいろいろな具体的な生活事情などをお聞きした上で納付額を決定しているような状況でございます。

 事情によりましては、1年以内に納まらない場合もございます。例えば分割の支払額が非常に少額なこととか、病気の方もおられますので、そういうような事情も勘案しますと、1年で全部が整理できてるかというのは、現状はそうはなってないところもございます。

 本来であれば、猶予期間を厳守すべきだという考えは市としても当然持っておりますけども、期間の1年を機械的に適用することではなく、同規定中にただし書きがございますので、「市長が特別の事情があると認めたとき」を該当する取り扱いと現時点ではしております。
 以上です。

○議長(長野良三君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) それぞれ個々のケースがありますから、なかなか1年以内となっててもうまくいかない状況もあるかと思います。それは理解します が、だからといって、あくまでもずっと先延ばししてもらっては、これは困りますので、その点は滞納者とも相談しながら、なるべく早く返してもらうように努 力をしていただきたいと思います。

 あと、分割納付を誓約して支払いが始まった場合に、実際、それがとまってしまうことも多々あるかと思うんですね。そのときの不履行者への対応というのはどうなってるんでしょうか。

○議長(長野良三君) 林都市計画担当部長。

◎都市計画担当部長(林茂晴君) 納付誓約不履行になった場合につきましては、要領の第6条に基づきまして、まずは出頭通知を行っております。
 区分といたしましては、明け渡し対象となり得る不履行者としての取り扱いに変更させていただいております。

○議長(長野良三君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) これも隣の西宮市では、徴収猶予の承認取り消しをしています。これは要綱ですけれども、次のいずれかに該当した場合、徴収猶予の 承認を取り消す。前条の規定した必要金額を当該期日までに支払わないときには、徴収猶予の承認を取り消して、明け渡し請求の通知等を行うというふうになっ てるんですね。

 ですから、お隣の西宮と比べてもその辺の対応がまだ甘いのではないかなと思いますので、この辺の改善もお願いしていきたいと思いますが、答弁があればお願いしたいと思います。
 続けて、保証人への対応を強めていくことも必要だと思います。今、事務処理要領に沿った対応がされていますが、この保証人、連帯保証人に変えることはできないんでしょうか。

○議長(長野良三君) 林都市計画担当部長。

◎都市計画担当部長(林茂晴君) まず、お隣の西宮市さんの状況についても、我々もいろいろ聞き取りも行きまして、状況はわかっております。

 尼崎市さんにもお聞きしたんですが、尼崎市さんにつきましては、今の段階では要領もないということで、どう言うんですか、市の判断でやられてるようなところでございます。

 今後につきましては、我々といたしましても議員御指摘のように、住まれて、当然、家賃を支払ってる方との平等性、公平性の観点からもできるだけ早く、 待ってる方もおられますので、入居者がすぐに入れるような、と言いますか、待ちの方が入れるような形で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 それから、保証人の関係でございますが、現在、芦屋市の条例において、入居に際しまして必要な書類として誓約書の提出を求めてございます。その誓約書の中で資格を有する保証人の連署の提出を求めている状況でございます。

 連帯保証人ということでございますが、議員御提案の連帯保証人につきましては、債権を担保する人的担保という取り扱いになりますので、今の最低限の社会 保障である住宅の確保におきまして連帯保証人制度をするかどうかということが市民の意見が大勢かどうかということをまず見きわめる必要があると考えており ます。

 それから、この昨今の情勢の中で、連帯保証のなり手がいるかどうかというところについても今少し研究が要るのかなというふうに考えております。
 以上でございます。

○議長(長野良三君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) 保証人への対応はぜひ強めていっていただきたいと思いますが、保証人から連帯保証人に変えることについても検討はぜひしていってください。

 実際、市営住宅入居の際に連帯保証人を取っている自治体も数多くあるかと思います。現在の芦屋市が保証人ですから、それを保証人から連帯保証人に変えるにはいろいろ問題もあるかと思います。その辺をクリアするための研究もぜひあわせてしていただきたいと思います。

 西宮の状況も承知しているということでしたけども、尼崎の例も出されましたが、要領もない自治体と比べるんじゃなくて、やはり、芦屋市が独自の判断で、 なおかつ芦屋市よりもよいものがあれば、それを見倣っていく、あるいは、それをまねしていく、また独自に改善していくという必要があるかと思いますので、 その点は余り出さないほうがよろしいかと思いますので、よろしくお願いします。

 総論的に、一つの例として市営住宅のことを取り上げましたけども、行政執行するに当たって、裁量というのはかなりの範囲になるかと思います。その裁量を どう扱うかというのは、やっぱりその担当部署の考え方によるかと思いますが、それは独善的にならないように、常にほかの自治体との比較をしながら、これは 正しいのかというふうに振り返りながらやっていくことが必要かと思います。その点を強く指摘をして、私の質問を終わりたいと思います。

○議長(長野良三君) 以上で、中島健一議員の一般質問を終了いたします。


バックナンバーINDEXへ


議会レポ | たがも | プロフィール | めざすもの | ご支援を! | 活動予定
HOME