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2012年(平24)3月 総括(会派代表)質問



○議長(畑中俊彦君) 日程第2。ただいまから、通告による総括質問に入ります。
 初めに、市政の基本方針について問う、行財政改革の推進について、快適で住みよいまち・芦屋の創造について、教育と文化について、広聴広報活動について、以上5件について中島健一議員の発言をお許しいたします。
 15番、中島健一議員。

◆15番(中島健一君) =登壇=通告に沿って、会派イーブンあしやを代表し、新年度予算に対して総括質問を行います。
 芦屋を住みよい自治体にするために、与えらえた職責に邁進する毎日でありますが、一自治体でできることには、やはり限度があることを痛感する日々でもあ ります。地方分権が名実ともに進められ、その基盤が盤石な体制になるまでには、まだまだ時間がかかりそうですが、私どもは一地方の市議会議員であると同時 に市民であり、日本国の国民でもあります。与えられた職責の中にとどまらず、合意できるものがあれば芦屋市だけでなく国政においても物申す機会を持たなけ ればならないと思うところです。これは、市長も同じだと思いますし、そう信じているところです。

 昨年の選挙後、今回初めての予算となります。市長をはじめとする行政担当者が行政改革の中にあっても市民の声にこたえられる予算編成にと努力しているところは認めつつ、市長の見解を明らかにしながら、さらによいものができるよう質問をしたいと思います。

 質問は、大きく施政方針説明に沿う形で行っていきたいと思います。限られた時間の中ですので、簡潔明瞭な答弁をいただき、後日の委員会審査につなげていきたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。

 さて、市長の施政方針説明が先日行われました。市長の思いが端々に出ていると感じたところではありますが、違和感を覚えたことが1つありました。それ は、説明の中で国際文化住宅都市について一言も言及がなかったことです。施政方針説明の中で、国際文化住宅都市について触れていないのはなぜでしょうか。 芦屋市といえば国際文化住宅都市です。日本でたった一つの国際文化住宅都市。その役割を終えたとも思えませんが、なぜ一言も触れられなかったのか、私は残 念でなりません。

 昭和26年3月3日に制定された芦屋国際文化住宅都市建設法という芦屋にしか適用されない法律、この法律は、憲法第95条の一つの地方公共団体にのみ適 用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票において、その過半数の同意を得なければ国会はこれを制定することができない という規定に基づいて住民投票で制定されました。そのとき、国会で趣旨説明をしたのは、あの衆院議長をされた原健三郎さんです。このような特別法を制定し た自治体は、昭和24年から昭和26年にかけて10ありました。それは、長崎、別府、伊東、熱海、奈良、京都、松江、松山、軽井沢、これらの自治体はすべ て国際文化観光を名乗り、観光都市を建設して経済復興を果たそうという目的を持っていました。その中にあって、住宅都市を建設して地域経済の復興を図ると いう目的は芦屋だけでした。

 昭和26年は、朝鮮戦争が勃発してから1年たって、日本経済に一筋の光明が見出されたころでしたが、このときに従来の都市のあり方を改造して、みずから の手で快適で文化的な住宅都市を建設して経済復興を果たそうという都市の改造宣言をしたことは、まさしく地方自治のお手本であり、この法律制定は芦屋市民 の心意気、芦屋スピリットの原点、芦屋市民のプライドでもあったはずです。にもかかわらず、なぜ触れていないのでしょうか。

 芦屋を紹介するガイドブックには、このように書かれています。「芦屋市は、今もこの国際文化住宅都市建設法に基づき、さまざまな施策を実施しています。 現在も国際文化住宅都市建設法は芦屋にとって憲法のようなものです。」こういうふうに書かれています。ぜひ市長の見解をお聞きしたいと思います。

 さて、施政方針説明を聞きながら、市長の思いが出てると述べましたが、よく見えてこなかったのが、市長がこれから果たそうとしなければいけないはずのリーダーシップについてです。市長はどのようにリーダーシップを果たそうと考えているのでしょうか。

 首長のリーダーシップといえば、今は大阪市の橋下さんが大きく注目を浴びています。私はあのやり方の是非について、ここで述べようとは思いませんが、市 長が何をやりたいのか、やろうとしているのか、もちろんマスコミの力もありますが、施策全部がわからないまでも、大阪市民にとどまらず関係のない住民に も、その一端が伝わってきています。もちろん市長が情報発信に努めていることは知っていますが、リーダーシップの点では今後どのように果たそうとしている のか、市長の思いを聞かせていただきたいと思うのです。

 リーダーシップの5原則というのがあります。相手個人ではなく事実に焦点を当てて話す、相手の自信と自尊心を尊重する、周囲との建設的な関係を大切にす る、改革・改善のためのイニシアチブを発揮する、みずから実践して模範を示す、特に重要なのが、改革・改善のためのイニシアチブを発揮することにあると思 います。改革や改善が必要でないのであれば、リーダーは不要です。人や組織は変わることを嫌がります。だからリーダーが求められるのです。リーダーの仕事 とは改善、改革を行うことで、リーダーが先頭に立って改善や改革に対して熱い情熱を持ってビジョンを語り、改善や改革の提案を行い、改善や改革を先頭で実 行していく。そうすることで本当の改革や改善が行われるのではないでしょうか。

 リーダーは芦屋市でいえば市長です。改善や改革に対して自分なりのビジョンを持ち、それを語りかけることがリーダーシップです。改革ビジョンに共鳴して 人が集まってきます。そして、この人についていこうという気持ちが沸き起こってくるわけです。改善や改革への熱いビジョンがない人にリーダーシップなどが あるはずがないと言っても過言ではありません。その点で、市長はどうその力を発揮していかれるのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
 さて、施政方針では、市政の基本方針、3つの重要課題を述べられ、その後4つの芦屋のまちづくりの基本方針を提起されました。私は3つの重要課題に沿う形で少し詳しく質問したいと思います。

 まずは1つ目の、確実な財政再建を図り、諸課題を解決するための行政改革の推進についてです。

 来年度の予算は、一般会計、特別会計、企業会計、財産区会計、合わせて約710億円です。同じ人口規模の自治体に比べると財政規模は大きくなりますが、 財政規模が大きいからお金がある、財政に余裕があるわけではありません。あの震災からまちを復興させるため、かなりの借金を抱え込むことになりました。そ の借金もようやく半分ほどに減ったとはいえ、まだまだ返し続けていかなければなりません。つまり、ごく簡単に言えば、自由に使えるお金は少ないということ です。少なければどうするのか、収入をふやす必要が出てくるわけです。ところが、頼みの市税もふえるどころか減ってきているのが現状です。

 さて芦屋市は、歳入をふやすためにどのような努力をしているのでしょうか。収入がふえない中、行革という名のもとに経費削減を続け、無駄を削り、努力を してきましたが、こちらもそろそろ限界に来てるのではないでしょうか。行政改革といえば削ることが主眼のようにとらえがちですが、そうではありません。財 政再建、行政改革で収入をふやすことが必要です。そんな中、債権管理を一元化し、徴収率の引き上げに取り組み始めたことなどは大きく評価できるところで す。引き続き公平性の観点からも取り組みを強めていただきたいと思います。また、各所管においても滞納をなくす、滞納を解消するなどの手だてを強化してい ただきたいと思います。

 さて、歳入をふやすためにはどんな方法が考えられるでしょうか。私なりに考えてみました。まず、ふるさと納税、この取り組みを強めることも必要だと思い ます。各自治体では、住民、出身者等に対してPRを積極的に行うなど寄附を呼びかける取り組みを行っています。その一方で、取り組みにおくれが出ている自 治体もあります。両者の間には寄附による収入の差ができつつあるとも言われています。芦屋市においても呼びかけなどが行われたようですが、その後はどうで しょうか。寄附金のうち5,000円を超える部分について個人住民税所得割のおおむね1割を上限として所得税と合わせて全額が控除できるという利点を生か し、まだまだ積極的なPRの努力が必要だと感じるところです。

 募集方法についても、広報活動による呼びかけで届いているのだろうかと疑問にも感じますが、その呼びかけ対象を具体的に絞り込むのも一方法だと思いま す。芦屋というブランドを生かし、高額所得者への呼びかけや税の控除にとどまらず寄附に対する特典、特典といっても儀礼的なものになっている礼状にとどま らないものを与えていくのも考えられることだと思います。単なる寄附の呼びかけだけでなく、名目別に、例えば市長の推進している庭園都市に貢献できる緑に 対してや文化住宅都市など方法を考えることも必要かと思います。

 そして、寄附だけでなく、自治体による独自課税も考えられますが、新たに課税制度を設けることは税の公平性の観点から問題を抱え込む場合も多く、これは やはり少々無理があるようです。しかしながら、超過課税の取り組みを強めることや、法定外普通税、法定外目的税を実施している団体もありますから、これら も参考にしながら、例えばバーベキューや駐車・駐輪、基準を設けて、ある一定以下の狭小住宅を建てることなどに対して課税することも考えられます。

 また、最近注目されているのが、庁舎や市の関連施設における自動販売機に対して、市がどうかかわるかで収入をふやしているところもあります。そのほか広 告としてホームページにバナーを張るなどしていますが、大きな金額は望めませんが、まだまだ広告料を取る方法も考えられますし、市としてメールマガジンな どを発行し、そこから収入を得る方法もあると考えるわけです。そして、以前取り上げた御当地ナンバーも一つの方法ではないでしょうか。

 私が指摘するまでもなく、行政内部でいろいろ検討されているかとは思いますが、収入、歳入をふやすためにどのような努力をしているのかお答えいただきたいと思います。

 さて、他市に比べて予算規模は大きいけれども、自由に使えるお金は少ないと述べました。そこで改めて聞きたいのですが、芦屋市にとって自由に使える財源 はどれほどあるのでしょうか。平成24年度の地方財政計画の規模は前年度比マイナス0.9%ですが、地方交付税交付金と臨時財政対策債は、ほぼ前年度並み となっています。しかし、芦屋市の来年度当初予算案を見ると、地方交付税は2億円の減となっているところです。こういう状況を知るにつけ、芦屋市が自由に 使える一般財源は一体幾らなのかが気になるところです。自由に使えるお金があれば、新たな事業や来年度予算、「市民の健康と安全を守る予算」と市は表現し ていますが、これをさらにグレードアップできますし、後ほど触れる中学校給食の実施についても財政面の面からハードルが低くなるわけです。

 一般財源は特定財源と違い、使い道が特定されず自治体の裁量で自由に使えます。この一般財源の余裕度を見る指標として経常収支比率があるわけですが、実 はこの数字は余り芳しくなく、107.5%と硬直している現状です。これは阪神・淡路大震災の復旧復興事業による公債負担が依然として大きいことに加え、 生活保護をはじめとする扶助費の増大、子育て関連の経費の増加によるものです。

 一方、歳入では、景気の低迷による市民税の落ち込み、固定資産税の評価がえによる減収など厳しい状況です。それに加えて本市では、病院に対する貸付金と 国保をはじめとする特別会計への基準外繰出金が多いということもあります。では一体、自由に使えるお金、一般財源は幾らになるのか、この点を市長のほうか らお答えいただきたいと思います。

 次に、各種団体への補助金のあり方について、質問いたします。つい先日、大阪市で自治会組織が助成金を不正に受領、受け取ったとして、市が刑事告訴する ことがありました。言われるまでもなく、各種団体等への補助金のあり方については、芦屋市においても見直しがされていますが、さらにもう一歩踏み込むこと が必要かと思うところです。補助金の申請についてはチェックもされていますが、補助金を出すことによっての効果、成果が果たして市民に見えているのでしょ うか。「透明性のある仕組みを」と以前から主張してきましたが、型通りの見直しに終わっている感があるのを否めません。

 やはり補助の必要性や公益性などの観点から、補助金として継続して交付することの適否を検証することが必要ですし、継続する補助金については効率的、効果的なものとなるよう、そしてそれが市民にとっても見えるように改善されなければなりません。

 具体的には事業費補助については、効率性・効果性を高めることをし、それを客観的に第三者が判断する。また、運営費補助については補助団体の自立を促進 することです。そしてあいまいなまま継続をせずに、補助目的を達成した、あるいは公益性・必要性が薄れ、補助を継続する必要がないと判断するならば、しっ かり補助事業を終了させなければなりません。

 これは各種団体の補助金などだけにとどまるものではありません。事業運営すべてにわたって言えることでもあります。常に効果を検証し、効果が認められな いというものに関しては、これまでの積み重ねがあったとしても打ち切るべきでしょう。そういった根本的な見直しが必要と考えますが、各種団体への補助金の あり方について市長の見解をお伺いしたいと思います。

 次に、人事のあり方についてお伺いします。初めに、再任用のことについてお伺いします。報道によりますと、政府は2月28日、国家公務員の定年につい て、60歳から65歳への延長を当面見送り、再任用の拡充で対応する方針を固めたそうです。これは2013年度から始まる年金共済の支給開始年齢引き上げ に伴い、定年後の公務員が無収入とならないよう人事院が定年延長を求めていましたが、民間企業の多くが定年引き上げに慎重な中、公務員が先行して延長する ことは困難と判断したとのことです。岡田副総理は、同日の記者会見で、有識者の意見を踏まえ3月末にも再任用に関する基本的な方針を決め、この秋想定され る臨時国会への関連法案提出を目指すそうです。つまり、再任用の制度を拡充することは、この流れからも明らかになってきています。

 この再任用制度については、当局から詳しく説明を求めたいと思うのですが、概要的には2002年度4月からスタートしたということと、年金制度が改正さ れ、これまで年金支給開始年齢が60歳だったのが、段階的に65歳に引き上げられ、その結果、無年金状態が生じる。この定年退職と年金支給開始の時間的 ギャップを埋め合わせるために退職した教職員や公務員を再雇用する制度と認識しているところです。

 この制度をうまく活用すれば、経験豊かな人的資源の有効活用になるはずなのですが、一部には効率的な活用が図られていない現状があるのではないかと感じ るところです。ほかの自治体でも言われているところですが、再任用の職員は、正規職員より短い勤務時間、短時間勤務なのですが、定数内の職員として配属さ れるため、正規職員は配置されず、現実には職員の業務負担がふえているということです。実際に業務の担当はしていますが、間違いがあってもこれまで上司 だったため指摘しにくい、勤務時間が短いため急ぎの書類を任せられない、パソコンがうまく使えないため業務をやりとりする際、無駄な時間がかかる、周りの 職員が気をつかうという厄介な事柄が現実問題として、ほかの自治体では聞こえてくるそうです。果たして芦屋市はどうでしょうか。

 定年退職者といえば、長年さまざまな業務をこなしてきたベテランの知識人です。その経験と人的資源を無駄にしない。再任用がマイナスのイメージにつなが らないよう、つまり、再任用職員の方が引っ張りだことなるようにする必要があります。再任用制度に関する発想の転換をし、やる気を盛り上げ、やりがいのあ る業務体制を構築し、人的資源の有効活用について真剣に取り組むことが求められていると思います。

 雇用する側、つまり芦屋市が、再任用制度を前向きにとらえ、希望者の配置等、十分に考慮し、経験豊かな人的資源の有効活用に真剣に取り組んでいただきたいと思いますが、現在の市の取り組みはいかがでしょうか。

 次に、女性の登用について、お伺いします。政府は、地方公共団体の政策・方針決定過程の女性の参加の拡大が重要であるとして、第3次男女共同参画基本計 画において、地方公務員試験における女性の採用の促進、各地方公共団体における採用及び管理職への登用についての具体的な中間目標の設定、ロールモデルの 発掘、メンター制度の導入促進、仕事と生活の調和の推進などを盛り込むとともに、これらの施策を総合的に実施することを推進しています。

 当然、これを受ける形で市によっても女性職員の参画を推進する必要があります。市民の目に見える形での女性の登用が進むことで、より一層男女共同参画社会の形成が進むことが期待されることから、能力や適性においての登用が必要になってくるわけです。

 しかし、女性だから登用するのではなく、一番大事なのは人材育成にも言えることですが、性別にとらわれない公正で客観的な能力評価を行うことです。その ためには人事評価制度がやはり求められており、早期にしっかりとした体制をつくることも必要です。そうはいっても、女性管理職の比率が全職員に対する女性 職員の比率と同じぐらいになければ問題です。また、審議会等の附属機関における女性比率についても数字を上げていくために、さらなる努力が求められてると 考えていますが、市において女性の登用問題をどのようにとらえているのかお聞かせいただきたいと思います。

 次に、外部登用に取り組むべきではという点についてお伺いします。総合研究開発機構の行った調査に、このようなものがありました。最近、一部で国や自治 体の幹部ポストへの民間人の登用がみられるようになっています。「民間人の登用をもっと大規模に進めるべきであると思いますか」という質問に対して、「は い」と答えた人が72.5%に上りました。この結果を見るならば、行政幹部への民間人登用をもっと大規模に進めるべきというのが大勢だと思います。また、 市民の声も同じではないかと思います。また、別の質問項目では、「もし地元の国の機関や自治体で、あなたの専門性が生かせる分野の局長または部長のポスト が2年から3年の任期で公募をされた場合、現在の給与や現職への復帰の保障を含め、勤務条件が整えば応募を考えてみたいと思いますか」との問いに、「は い」と答えた人は56.5%で、過半数を超えています。つまり、過半数の−−この総合研究開発機構の行った調査のシンクタンクの研究員は、行政官ポストへ の応募に前向きで考えてるわけです。

 さて、大阪市では市長がかわってから、外部登用にも取り組みが始まっています。大阪市では市内24行政区長の公募をしましたが、締め切り日の夕方の時点 で711人の応募があり、最終的には1,460人の応募がありました。任期付職員でありながら身分保障もありません。成果を出さなければ罷免もあるわけで す。それでもこれだけ多くの人が応募をしました。職業別でいえば民間企業の管理職が多く、ほかの自治体の公務員や議員経験者、国家公務員の応募もあったと のことです。調査の数字や大阪での状況などを見ると、一概に言えないかもしれませんが、住民の役に立つ自分の知識、経験を生かせるならば中途であっても自 治体は公募をすれば人材が集まる可能性は大いにあるということです。

 実は、民間企業から公務員になりたいと考えている人は近年増加しています。その理由はいろいろあるようですが、この傾向は今後ますますふえていくと考え られています。しかしながら、現実には採用は数名のところが多く、狭き門であり、希望を持ちながらもその望みをかなえられない人がいるわけです。これを芦 屋市がどう見てるのか。また、活用を図るために一歩を踏み出すのか、大きな関心があるところです。

 自治体の業務に民間のノウハウ、人材の活用を図ることは組織における活性化の意味からしても必要です。国や県などの行政機関で民間人材を活用している事 例としては、厚生労働省や財務省、神奈川県、茨城県などがあります。また、地方自治体でも横浜市、神戸市、町田市、明石市など、多くの自治体では広報担当 部局の管理職としての民間登用が行われてもいます。そのほかにも首長のもとに危機管理部門を設置して、災害対応のスペシャリストを外部登用する自治体もふ えてきているところです。

 地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律により、自治体における外部人材の登用は可能になっています。市長の政治理念を的確に行財政運営に 反映できる人材、また、専門のノウハウを持っている人材を登用することが政策実現と行政の活性化につながるはずです。例えば組織運営でいえば、IT関係で いえば、芦屋ブランドのシステム設計とか、また、芦屋ブランドの浸透とか、文化の分野においても活用することが可能だと思います。また、働き盛りの職員を 国や県からも積極的に受け入れることも考えられます。どのような方法で、期限をつけるのかどうするのか、いざ現実に実施をするならば、さまざまな課題が出 てくるとは思いますが、それを乗り越えていくだけの価値をやはり見出さずにはいられません。外部登用を推進し、民間からの活力を得る、この点について、市 の考えを明らかにしていただきたいと思います。

 次に、消防長と消防署長の兼職について、お伺いしたいと思います。消防が市町村の重要な仕事として警察から制度上も完全に分かれ、自治体消防制度、市町 村消防制度として出発したのは皆さんもよく御存じかと思います。しかし、東京、大阪などの大都市の消防の場合は、組織・人材・財政面で、ある程度整備さ れ、隔離されたとはいえ、ほかの大部分の市町村の消防では、財政面や人事面、組織面でも大きな問題点を持ってるところが多いところです。

 例えば、この日進月歩の中で、消防や救急機器が最新の状態にあるのか、また、備品がそろっていたとしても、それを使う消防署員は足りているかなどです。 この消防が持ってる問題点を改善し、消防行政を本当に近代化し、住民の生活の安全を保障するにふさわしい行政にしていくには、直接にそこの市町村の消防行 政の最高の責任者である消防長が、どのような消防行政に対する姿勢を持つかに大きくかかわっているところです。

 消防には、消防本部と消防署があります。消防本部の長が消防長であり、消防署のトップが消防署長になります。組織的には消防本部は消防事務を統括する機 関であり、消防署は消防活動を第一線において行う機関とされています。消防長は法律的には市町村長から任命され、消防事務のすべてを統括します。そして、 消防職員の人事権を持ち、指揮監督をすることになっています。そして、消防行政の方針、基準、手順、手続、計画などを職員に命令し、住民に対する規制にま で及ぶ権限が与えられているわけです。

 消防長はこのような重要な役職ですから、常勤の職員が当たらなければならないと定められているところであり、芦屋市においてもそのようになっています。 しかし、その消防長が例えば市町村の首長や助役−−今でいう副市長が兼務していたり、消防団長が兼務していたりするケースが以前は大変多かったので、事実 上、消防長は職務の性格と重要性にかんがみ、速やかに選任者を任命する必要があるという指示を出しているのを御存じでしょうか。芦屋市においても、消防長 を市長などが兼務するなどは行われていませんが、もう数年にわたって消防署長を兼務している実態があります。なぜ兼務する状況になっているのでしょうか。 これは人がいないからなのでしょうか、それとも、消防長と消防署長を兼務することは問題なしと判断してるからでしょうか。

 先ほども紹介しましたが、消防長と消防署長の役割は違いますし、消防本部の中の課長職との兼務とは別次元の問題であり、消防事務を統括する機関の長と、 消防活動を第一線において行う機関の長の兼任は、大いに疑問を持つところです。市民の安全を守るのであれば、きちんと消防長と消防署長の兼任をやめ、それ ぞれがそれぞれの役割を果たすようにすることが必要だと思いますが、見解をお伺いしたいと思います。

 大きな2点目の、快適で住みよいまち・芦屋の創造について、お伺いします。
 最初に、市長の目指す庭園都市とはということをお伺いしたいと思います。国際文化住宅都市について、施政方針で触れられていないことを一番初めに質問し ました。市長の中で、国際文化住宅都市から、そして庭園都市を目指していくため、都市宣言も行い、重点が移ってきているのかなとも思うところです。

 庭園都市、私も趣旨には賛同するところですし、その宣言のもと多様な取り組みが行われてもいます。施政方針の中でも、オープンガーデンのことや花と緑の コンクール、緑化推進に触れられています。しかし、ここに進められている事業や施策はいろいろありますが、最終的にどのようなものを目指しているのかがよ く見えない、よくわからないところなのです。

 市長は言われます、「世界の人々が『一度は日本の芦屋というまちへ行ってみたい』と言われるような庭園都市を」と。確かに緑豊かな美しいまちのたたずま いを守り育ててきたのは市民の願いからでもあります。市民憲章にも「自然の風物を愛し、まちを緑と花でつつみましょう」と掲げています。1971年には全 市公園化構想のもと、先進的な条例として、「緑ゆたかな美しいまちづくり条例」もつくられてきました。緑化推進に励み、緑の基本計画もつくりました。それ でもと思うのは、市長の言われる、世界の人々が一度は日本の芦屋というまちへ行ってみたいと思わせるのは、庭園都市だからだけではなく、歴史や教育、景 観、さまざまな要因が醸し出し、つくり出される複合的なものの相対にあると思うからです。

 今さら何を言うんだと思われるかもしれませんが、市長の目指している庭園都市について、改めて見解をお聞きしたいと思います。

 さて、来年度予算では、JR南側をどのようにしていくか調査研究をする予算がついております。この場所の整備をしていく必要性は大いに理解はしますが、 進めていくからには目指している庭園都市との整合性をも考えなければならないでしょう。それは単に南側を整備するだけにとどまらず、芦屋の顔にもなる大変 重要な場所でもあるからです。この点についてもあわせてお答えいただきたいと思います。

 次に、バリアフリー化と交通安全対策はどう解消しようとしているのかについて、お伺いします。高齢者、障がい者等の移動などの円滑化の促進に関する法 律、いわゆるバリア新法が施行され6年が過ぎようとしています。芦屋市においてもすべての人に優しいユニバーサルデザインのまちづくりを進めていくため に、阪神芦屋駅、市役所周辺を重点整備地区とした交通バリアフリー基本構想を策定し、進めているところです。

 市長が、策定した基本構想に、次のような言葉を載せています。「今後はこの構想に基づき、関係機関とも連携しながら、ハード面だけでなくソフト面のバリ アフリー化事業も充実を図り、すべての人にやさしく、かつ芦屋らしさを持ったまちづくりに取り組んでまいります。」と。芦屋らしさとは何か、気になるとこ ろではありますが、それはさておき、計画に基づいてバリアフリーの改善がなされてきており、評価をするものです。引き続きおくれることなく整備を進めてい ただきたいと思います。

 しかしながら、市民の目線から見れば、生活道路−−基本構想で使われている言葉を使えば生活関連経路となるでしょうか、この道路をバリアフリー化してい くにはさまざまな問題点、例えば幅員が狭いとか勾配がある、歩道に電柱があるなど、クリアしなければならない課題が多い場所もあります。これをどうしてい くのかが、やはり問題となります。

 それとあわせて、考慮していかなければならないのは、自転車通行の安全をどう確保するかという点です。御承知のとおり、自転車事故が増加していたことか ら、道路交通法が改正され、自転車の歩道通行要件の明確化が行われています。この徹底をしても、できる場所はいいのですが、徹底するとかえって危険な状況 をつくってしまう場所があるわけです。こういった現状をどうしていくのか、施政方針ではまだまだ言葉足らずではないかと感じるところなので、市長の見解を お伺いしたいと思います。

 また、それに加えて、バリアフリー化を完全に実現することは、これはこれでまた困難なことです。それならば、それを補完するためには、やはり啓発が欠かせません。この啓発についても、今後どのように進めていくのかお答えいただきたいと思います。

 次に、市民病院について、お伺いします。芦屋病院、いわゆる自治体病院の役割とは何でしょうか。全国自治体病院開設者協議会の言葉を借りると、「その地 域に不足している医療に積極的に取り組むとともに、地域の医療機関や行政機関等との連携を図りながら、公平・公正な医療を提供し、地域住民の健康の維持・ 増進を図り、地域の発展に貢献することを使命として」とあります。つまり、住民のニーズに対応した適切な医療を提供し、さらには医療従事者の研修の場とし ての役割を果たし、地域医療水準の向上や地域住民が安心して医療を受けられる環境整備にあるといえるでしょう。まさに、地方公営企業法で求められている公 共の福祉の増進です。

 一方、合理的かつ功利的な病院運営をしなければ赤字運営となり、かえって市民に負担を強いることになります。これは地方公営企業法で言う、企業の経済性 を発揮しなければなりません。公共の福祉を増進させるけれども、企業の経済性も発揮しなければならない。場合によっては、相反する2つの課題を実現しなけ ればならないのですから大変です。しかし、この課題をこなすからこそ、自治体病院の存在意義があり、私立の病院との違いがあるわけです。この努力を怠れ ば、公的病院である芦屋病院が医療において積極的な役割・機能を果たしているのか、あるいは、私的病院との違いがあるのかという疑問を生み出してしまいま す。

 さらに、経営が芳しくない状況が長く続けば、芦屋病院に期待される役割・機能を果たす上で、解消できない行動的なものなのかを検証しなければなりませんし、また、その期待されるものに対して、自治体病院でなければ担えないのかという疑念をも生み出してしまうところです。

 近年では、「民間でできることはできるだけ民間に」というスローガンのもと、行政改革は進められています。民間活用は競争が働くことによりサービス内容 が向上するなど、行政から見て効率的、効果的であるだけでなく、民間にお金を回すことによって地域経済の活性化や雇用の創出につながっていくという効果も 期待できます。これは医療においても同様です。同じ自治体病院といっても千差万別で、求められる役割や機能も異なります。だからこそ芦屋には何が必要で、 どうすれば経営的にもよい状況を維持できるのかが大切になってくるわけです。

 医療費適正化や自治体財政の効率化が求められる中で、財源が大幅に増加することを見込むことは困難です。一方で、住民のニーズは多様化しており、限られ た財源で住民のすべてのニーズに応答することは無理があります。それならば近年推進されている自治体病院のネットワーク化、サテライト化、及び公私含めた 医療機関間の地域連携の推進は、地域資源の有効活用といった観点から積極的に評価していかなければなりません。

 幸いにも病院改革プランが策定され、そして新しい事業管理者を迎え、病院も建てかえが進められ、ハードもソフトも着々と新しくなりつつあります。しか し、ソフトやハードがそろっても職員の士気も大切な事柄です。これらの点についてどうなんでしょうか、見解をお願いしたいと思います。

 さて、地方公営企業法に定められているように、独立採算制の原則が適用されているわけですが、受益者負担原則では回収できないものや、現実的に受益者負 担だけでは回収困難であるため、病院事業に負担させることは不適切であると判断された経費、これらについては繰り入れが認められています。建前は独立採算 であっても一般会計等が負担する金額がかなりあるのが現実です。これはこれで解決していかなければなりませんが、そもそも予算の立て方が適正なのか、この 点をお尋ねしたいと思います。

 それはなぜかといいますと、年度当初に予算を決め、その執行途中で補正予算が出てきますが、その補正予算は必ず減額の補正となっているわけです。ここ数 年どころか長い期間その繰り返しです。つまり、当初見込みが甘かったというわけです。新病院収支計画も出されていますが、収支のあり方、予算の立て方は適 正なのかについて、お答えいただきたいと思います。

 次に、危機管理について、お尋ねいたします。マグニチュード7級の首都直下型地震が今後4年以内に約70%の確率で発生するという試算を、東京大学地震 研究所の研究チームがまとめました。余りにもその反響が大きかったため、後日一つの研究結果ということで、政府はその切迫性を否定はしましたが、昨年3月 11日の東日本大震災をきっかけに、首都圏では地震活動が活発化し、気象庁の観測によりますと、12月までにマグニチュード3から6の地震が、平均で1日 当たり1.48回発生しています。震災前の約5倍に上ってるわけです。これを考え合わせると、いつ起こってもいいようにしておくのが本当に肝心だと言えま す。

 これは首都の話とはいえ、大きな地震のおそれがあるこの地域にとっても人ごとではありません。国が対策を急いでいる東海・東南海・南海地震について、東 日本大震災の発生メカニズムを参考にし、3つの地震の震源域を九州側に延伸して、新たな震源域を加えた4連動地震を想定した津波モデルを想定した場合、 20メートル級の大津波が予想される。このことから抜本的な対策の見直しが進められてるところでもあります。これらを考え合わせるならば、最悪の事態を想 定し、いつ何が起こっても対処できるようにしておく危機管理は本当に重要なことだと思います。

 さて、昨年、津波想定避難訓練が行われました。訓練内容としては、国道43号線以南を対象に、防災行政無線のスピーカーからサイレンや訓練放送を流し、 そのサイレンを合図に避難するというものです。事前に周知していたこともあり、また、津波警報発生が午前10時で、到達予想時間が午前11時だという設定 だったこともあり、参加者も予想していた数よりふえて約3,600人という、うれしい誤算もありました。その参加者からアンケートをとり集計が報告されて いますが、そこから見えてくるもの、これを今後にしっかりと生かしていかなければなりません。

 例えば、防災行政無線について言えば、屋外ではほぼ全域でサイレンや音声を認識できたも
のの、建物等に遮られることや、都市部の生活音、建物の気密性などから内容の把握や屋内での認識については限界があると判断せざるを得ない結果があったと いうふうになっています。また、各避難施設における収容スペースが不十分であったことや、当日、参加者の皆さんへの説明及び啓発が不足していたこと、訓練 参加者と一般通行者とを判別する目印が必要であること、地域の自主防災組織や防災士の方々とのより一層の連携が不可欠であることなどが指摘されています。 こういった声に対して、芦屋市はどう対応していくのか、これらについてお答えいただきたいと思います。

 さて、弱者の避難対策についてはどうでしょうか。少子高齢化や核家族化の影響で、阪神大震災以降、近年の大規模災害では自力避難が困難な高齢者や障がい 者の犠牲が目立ちます。災害弱者とは、地震や台風など、災害時避難場所への移動が難しく、助けを必要とする人たちを指し、ひとり暮らしのお年寄りや障がい 者、乳幼児や外国人などが該当します。災害時要援護者とも呼ばれています。

 2004年に各地で起きた豪雨災害で、犠牲者の多くが高齢者だったため、国は2005年、災害弱者対策の指針として、災害時要援護者の避難支援ガイドラ インを作成しています。そして、自治体に体制の整備を求めています。しかし、支援対象者ごとの個別支援プランの作成、ここまではできていないのが実情で す。その原因としては、個人情報保護との関係で対象者名簿の整備が難航したり、地域のつながりが薄れ、支援者の確保が困難なケースもあるためです。では、 どうするのか。当然、被災を減らす事前の工夫や避難所生活、生活再建までも含めたトータルな仕組みづくりが必要になりますが、具体的に現在はどのような状 況にあるのか、このこともあわせてお答えいただきたいと思います。また、マニュアルがあるだけで大丈夫なのかということもあわせてお聞きしたいと思いま す。

 危機管理について、施政方針ではマニュアルの見直しを図るとあります。マニュアルを検討、見直しをすることも大切でしょう。しかし、マニュアル化だけで 大丈夫でしょうか。危機においては臨機応変が重要であり、マニュアルは基準でしかありませんし、どう行動し判断するかの力を養わなければ危機に対応できま せん。その点の考え方を明らかにしていただきたいと思います。

 次に3点目の、子供たちが心豊かに健やかに成長するための基盤整備について、お伺いします。

 まず最初は、教育委員会のあり方についてです。教育委員会のあり方については、昨今大きく取り上げられていますが、そのあり方というのは、今に始まった ことではなく、随分前からたびたび議論になってきているところです。その議論は教育行政の観点だけでなく、地方分権などの観点からも議論がなされてきてい ます。平成11年にその地方分権の推進の観点から改正が行われ、平成13年には教育委員会活性化のために教育委員会会議の原則公開、委員構成の多様化−− 具体的には親の参加や年齢・性別など、また、教育行政に関する相談体制整備等の改正が行われました。さらに平成16年には、学校運営に地域住民や保護者の 意見を取り入れることを目的として、各教育委員会は教育委員会規則で定めるところにより、指定する学校の運営に関して協議するための機関、学校運営協議会 を設置できることになりました。

 しかし、これまでのその取り組みは全くなかったかのように、教育委員会のあり方を全国的に耳目を集めさせたのは、やはり大阪でしょう。大阪での内容は別にして、教育委員会というものに光を当てた、その貢献度は大きかったと思います。

 さて、この教育委員会、合議体の執行機関とされていて、行政委員会です。皆さんも御承知と思いますが、教育委員会は原則として5人の委員をもって組織さ れていて、委員の選任については政治的確執を伴いやすい公選制が改められ、首長の任命制となりました。しかし、任命ができるとはいえ、首長の任命が教育委 員会の中性な立場を損なわないよう、議会の同意を必要とし、委員の過半数が同一の政党に所属してはならないと定められているところでもあります。また、政 治団体の役員となることや、積極的な政治活動も禁止され、公務員との兼職も広い範囲で禁止されています。

 さて、教育委員会が所管する事務を執行するために条例や予算を必要とする場合は、事実上、教育委員会が希望する案を首長に申し入れ、議案としての提出を 求めることになります。反対に、首長が教育委員会の所管する事務に関係する予算案や、そのほかの議案を議会に提案する場合には、教育委員会の意見を聞かな ければならないこととされていますが、この制度の実効性については教育委員会の関係者の方には否定的な人が多いと言われているところでもあります。首長か らの独立性は、行政委員会の一つとして独立した機関を置き、教育行政を担当させることにより、首長への権限の集中を防止し、中立的な専門的な行政運営を担 保することにあります。また、合議制も多様な属性を持った複数の委員により合議によりさまざまな意見や立場を集約し、中立的な意思決定を行うことになりま す。

 しかし、やはり教育委員会には、いろいろ問題点があるということで指摘をされています。教育委員が地域の各階層の代表者として地域のさまざまな喫緊の教 育要求や課題を集約して、政策や行政運営に反映させたり、教育長、事務局の仕事をチェック、是正するようなことはできていない場合が大半との指摘がありま す。また、教育委員会の所管事項は、学校教育以外に図書館、文化財、スポーツ、社会教育、青少年問題など多岐にわたっており、委員がそのすべてについて対 応することは大変困難です。

 地方教育行政については、権限と責任の所在があいまいであり、住民、保護者に対し、最終的な責任を負う首長に権限がないことも問題となっています。そう いった中、教育委員会を廃止して教育行政を市長部局に一元化すべきであるという意見、教育委員会制度の趣旨について一定の評価をし、弾力的な運用、再編に より、教育委員会の活性化を主張する意見、そのほか、教育委員会の権限を縮小し、学校の権限強化を主張する意見などが出てきているところです。

 市長は、教育のまち芦屋をつくろうとしています。その市長にとって、この教育委員会という組織に対しての考え方はどのようなものをお持ちなのでしょうか、市長の見解をお聞かせいただきたいと思います。

 次に、中学校給食の実施を求めていきますが、これについての市長の見解を求めたいと思います。市においても、中学校給食を求めることは、十年一昔という 言葉を使えば、一昔も二昔も前から挙がっていました。ようやくその声にこたえて一歩を踏み出そうとしてきた感があります。市長は、現在設置されている懇話 会での見解をもって対応を決めるという状況ですが、会派としては、懇話会の結論を待つまでもなく、市長が実施するという決意を固めてほしいところです。

 学校給食は教育の一環であり、学校給食の主人公は子供たちです。私たちは自校方式の学校給食を求めているところです。自校方式での給食は、温かいものを 温かいうちに食べられる、給食をつくる人と食べる子供たちのお互いの顔が見え信頼できる給食環境が生まれます。各校の行事や子供たちの状況に応じてつくれ るなど、子供たちの健全な発達と食生活の改善のために大きな役割を果たすと考えているからです。また、災害時においても、学校が地域の避難所となり、調理 施設があれば重要な役割を果たします。そういう意味でも、教育としての学校給食をさらに充実させ、より安全で安心な学校給食を提供するために、自校方式の 学校給食の実施を強く求めたいと思いますが、市長の考えはいかがでしょうか。

 さて、文化行政について、何に重点を置き推進しようとしているのかをお聞かせいただきたいと思います。施政方針では、文化施策について、文化振興基本計 画に基づき、総合的に推進していくことや、「適切な進行管理と点検、見直しを図ってまいります。」とあります。確かに進行管理と点検、見直しは大切なこと ではありますが、芦屋の文化行政をどのように推進していきたいのか見えてきません。

 例えば、「市の役割及び責務」の項目にはこうあります。「市が実施する施策について、ソフト、ハード両面に、美しさ、ゆとり、潤い、安らぎなどといった 文化の視点を取り入れるよう努めます。文化の視点を取り入れることは、景観や町並み、風情などまちづくりにおいて魅力を向上させる一つの要素となるととも に、教育、福祉などの面でも、教養豊かな人格の形成や創造的人材の育成、また、暮らしの実現に寄与するものとなります。」とあります。つまり、市の果たす 役割は、市が実施する施策について、文化の視点を取り入れることだというのです。その文化の視点とは何か、それは美しさ、ゆとり、潤い、安らぎというわけ です。市の役割や責務というのは、文化の視点を取り入れることなのでしょうか。私には、市が一体何をしたいのかよくわかりません。

 市の果たすべき役割は、活動の場を提供することであり、活動できる環境を整えることではないでしょうか。文化の視点とは、行政側の視点であって、行政は 文化の中身を決めつけるのではなく、文化の育つ環境を整備することが役割なはずです。芦屋市文化基本条例でも、確かに「文化の視点」という文言があります が、それ以前に、基本理念には条文にある「市は、文化の振興に関する施策を推進するために必要な体制を整備するよう努めるとともに、財政上の措置を講ずる よう努めなければならない」という箇所を重視しなければならないはずです。そこを履き違えてはおかしな方向に行くと心配をするところです。

 基本的な施策の中では、いろいろな取り組みをして行くことが触れられています。これは振興の基本計画ですから多方面にわたって触れなければならないという点はわかりますが、では何に重点を置いて推進しようとしているのか、この点についてお答えいただきたいと思います。

 次に、武道の必修化について、質問をします。今回、武道の必修化が行われます。その武道、何を選択するかは、各校の自由となっていますが、全国の公立中 学校約9,800校のうち、合わせて約6,500校が柔道の選択をすると見られ、公立中学校66%が柔道を選択します。この芦屋市においても、3中学とも 柔道を教えることになります。この柔道を教えるに当たって、一番の課題は、良質の指導者の確保と安全対策です。体育の先生は大学で柔道や剣道の講義を受け てはいますが、指導経験がない場合が多いのが実情です。芦屋においても中学校に柔道部があるのは1校のみで、指導者の確保と安全対策に不安を覚えるところ です。

 この不安に対して、芦屋市はどのようにこたえていくのか。近く国から安全対策の指針が示されるとのことですが、指針が出されれば、すぐに指針に沿った対 策を講じることを求めていきたいと思います。また、環境整備の点では、岡山ではヘッドギアを配布したり、あるいは生徒自身にチェックシートを配って授業前 にチェックをさせ、準備運動を十分させるとか、そういった努力や取り組みが行われています。このような取り組みを環境整備の点で芦屋市も行っていくべきで はないのかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

 また、選択科目は柔道でなければならないということはありません。来年度以降、しばらくは仕方がないかもしれませんが、武道にはいろいろなものがあり、 選択には柔軟な対応も必要です。一定期間を置いての見直しについて、どのような見解を持っているのかお聞かせいただきたいと思います。

 さて最後に、広聴広報活動について、お伺いします。地方分権が進み、住民の行政への関心と参加意識が高まる中、自治体が、行政が、住民との間にどのよう な関係を築いていくかが大切になっています。その大切な役割を果たしているのが、お困りです課と広報課だと考えます。多様化、個別具体化している住民の行 政ニーズや要望に対応し、行政が住民と信頼協働体制を築くためには、行政情報を住民に進んで知らせる双方の情報共有に基づく相互理解、コミュニケーション が必要になってきます。その重要な役割を2つの課が果たしていると思うところです。

 ただ単に声を聞き、知らせる活動に終わるだけでなく、市民の参加を得る、行政の意図するところを的確に市民が知り、理解するための行政による情報の提 供、十分な説明並びに双方間での情報の共有化、これは必要不可欠です。これこそが市の行政広報、情報発信力強化にほかならないと考えるところです。

 そのためには、現在の声を聞く活動が行政に生かせているのか、広報活動が紙媒体、ホームページ、ケーブルテレビなどの広報番組などにとどまらず、さらに 世論を喚起する手段や戦略を必要としているのではないか、つまり、いかなる手法で行政広報、PRを実現したら実効性が得られるのかを検討しなければなりま せん。現在、インターネットを利用するように、行政情報へのアクセスも容易になってきています。しかし、情報発信にとどまらず、住民の意思や要求を行政の 施策に反映させるフィードバック機能や、パブリックリレーション構築をし始めてるところもあります。

 ITを利用した最大の広報メリットは、行政情報の提供範囲の拡大に伴う住民参加範囲の拡大でしょう。行政がインターネットをさらに活用すれば、市民がこ れまで以上に地域の課題を認識し、公共への関心を寄せる可能性は高まります。かつては、情報弱者とされた高齢者層も、今後増大する団塊世代を含め、必ずし も弱者とは言えなくなってきていますが、それでも依然存在するIT未利用者層に対しては、紙媒体、視覚媒体などの振りかえ補完媒体をきめ細かく配備、整備 することが必要になります。

 行政情報が住民感覚で把握され、住民の意向やアイデアが生かされて、かつ住民にわかりやすい情報提供をもっと研究していかなければなりません。施政方針 では広報活動について、「マスコミへの情報提供を積極的に行うなど、さまざまな媒体を通じて、行政情報の発信や本市のPRを行います。」とあります。で は、どのようにしていくのか、この点について市長のお考えをお伺いしたいと思います。

 PRとは、広報活動、インフォメーションと広聴活動、インテリジェンスを車の両輪とするツーウェイコミュニケーション、双方的な意思疎通であり、行政に おいては住民との相互の理解と信頼を深める太いパイプの役割を果たすものです。行政と住民とのコミュニケーションは不可欠で、市民との協働のもとでのまち づくりを目指すのであれば、今こそPRの意を再認識し、この双方的な意思疎通、ツーウェイコミュニケーションを図る必要があります。それは能動的な住民を 生み出し、市民参加型の地域を構築する一歩となるはずです。広報、広聴が一体化した行政PRこそが行政広報の意義とも考えるところですが、広聴広報活動の 一体化については、どう考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。

 1回目の質問を終わります。

○議長(畑中俊彦君) 答弁を求めます。
 山中市長。

◎市長(山中健君) =登壇=中島健一議員の御質問にお答えいたします。
 初めに、施政方針における国際文化住宅都市の位置づけにつきましては、施政方針では第4次芦屋市総合計画に沿って、新たな年度に臨む市政の具体的な考え 方をお示ししております。総合計画は、まちづくりの基本方針を定めるもので、国際文化住宅都市であることを大切なまちの個性と位置づけておりますので、あ えて施政方針の中で取り上げるまでもないと判断したものでございます。

 次に、私のリーダーシップにつきましては、就任当時の危機的な財政状況から立ち直ること、将来の自治体としてあるべき姿を構築することを主な柱に取り組 んだ平成15年行革は、私が先頭に立ち、市民の皆様をはじめ議員、職員の協力を求めてきました。まさに芦屋のピンチをチャンスに変えられたと思います。

 また、この町を世界一の町にするんだという強い気持ちを持って、中島(健)議員御指摘のように自分なりのビジョンを持ち、それを市民の皆様や職員にあら ゆる機会を通して直接語りかけてきました。今後もこの流れをとめることなく、リーダーとしての役割と責任を果たしてまいりたいと考えております。

 次に、歳入をふやすための取り組みにつきましては、私が市長就任以降、教育や環境、福祉等の施策の充実を図り、魅力あるまちづくりに取り組んでまいりま したことは、人口の増加にもつながり、そのことは市税収入の増加にもつながっていると考えています。また、国・県に対し、普通交付税や特別交付税などの財 政支援を求めてきたほか、処分可能な土地の売却や未利用地の民間運営駐車場等への一時活用を積極的に行ってまいりました。

 滞納処分を強化する取り組みとしては、平成17年度から差し押さえした動産や不動産についてのインターネット公売の実施、平成23年度には債権管理課を 新設し、債権の一元化、効率化を図るほか、市税滞納者への電話催告や市営住宅等使用料の徴収を民間へ委託することなど、徴収率の向上にも取り組んでおりま す。さらには、印刷物への広告掲載や職員の通勤車両の施設内駐車に対する使用料の徴収などの歳入の増加にも取り組んでまいりました。歳入をふやす方策につ きましては、平成24年度から実施する新行政改革においても引き続き検討してまいります。

 次に、自由に使える財源につきましては、平成24年度予算における一般財源総額は、臨時的なもの、経常的なものを合わせまして、約287億円でございま す。平成24年度予算での経常収支比率は、107.5%であり、これは市の経常的収入で経常的支出を賄えないことを示しており、その不足分は基金の取り崩 しなど、臨時的な財源で賄っているところです。経常的支出の中では、公債費や人件費など義務的な支出が大きく、財政運営が硬直化しており、余裕のある状況 にはありません。震災前の平成5年度では、同比率は70.0%でしたので、震災復興に係る公債費負担の大きさが財政を硬直化させている要素となっていま す。着実な公債費の償還を行うとともに、常に事務事業経費の見直しを行い、文字どおり自由に使える財源が捻出できるよう、安定した財政運営を目指してまい りたいと考えております。

 次に、団体等への補助金の見直しにつきましては、平成15年の行政改革の中で、各団体における会員数を基本に、交付額を決定するよう、交付基準を見直し ており、現在のところ、この基準のさらなる見直しは考えておりません。各補助金につきましては、申請時、実績報告時には、各団体から活動内容のほか、財務 状況等も報告していただき、それぞれ適正な補助金の活用が行われているか検証し、過払い等があれば返還していただくなどの措置もとっているところです。

 次に、再任用制度の課題とその解消策につきましては、再任用職員の有効活用を図るため、幅広い任用形態から本人の生活に見合った勤務を選択させ、その豊 富な知識、経験を後進の職員に継承するよう指導してまいりましたが、職員が一人の職場や業務の種類によっては短時間勤務では対応できない場合等があります ので、おのずと配置先には限界があります。引き続き再任用の有効活用を図るため、業務内容を精査するとともに、任用形態についても見直してまいります。

 次に、女性職員の管理職への登用につきましては、平成23年4月1日現在の病院を除いた事務職員及び技術職員全体に対する女性職員の割合は、30.5% ですが、主査級以上の管理職、監督職員では24.6%、課長級以上の管理職員では14.6%となっております。管理職への登用は、職員の年齢構成や男女の 構成割合に大きく影響を受けますが、管理職員には性別にかかわりなく、その持つ能力、意欲、適性等から判断し任命することが、組織を最大限機能させると考 えております。また、本市の附属機関等における女性委員の登用につきましては、任期の切りかわる時期等をとらえ、女性の附属機関等への参画の意義を踏まえ 選任するよう指示するとともに、団体推薦を依頼する際は、各団体にもその意義を十分御理解いただいた上で推薦いただくよう依頼し、登用率40%を確保する よう努めているところでございます。

 次に、外部登用につきましては、専門特化した職種や期間が限られた事務事業等についての職員を採用する場合には想定されますが、特化した事務事業での採用は人事異動の対象には難しく、かえって人事が硬直化することも考えられますので、基本的には考えておりません。

 次に、消防長と署長の兼務につきましては、消防組織法上では消防署の活動業務については消防長の指揮監督のもと行うこととなっておりますので、消防長と 消防署長が兼務しても、消防本部の事務と消防署の活動業務に支障がありませんので、組織の簡素化の観点から兼務としているところです。

 次に、庭園都市として目指す姿につきましては、本市の過去からの歴史を踏まえ、町なかの緑とともに芦屋らしい景観を守り、市内を花と緑でいっぱいにする 活動をさらに進め、世界じゅうの人々が一度は訪れてみたいと思う美しい町を市民とともにつくっていくことを目指しております。

 また、JR芦屋駅南地区のまちづくりとのかかわりにつきましては、各施設の計画案を検討する中で、庭園都市にふさわしい緑の創出に努めてまいりたいと考えております。

 次に、バリアフリー化と交通安全対策の取り組みにつきましては、歩道のバリアフリーについて、幅員狭小道路の歩道拡幅は構造的に困難ですが、平成22年 度に実施した歩道調査に基づき、現況に則した歩道の段差切り下げや、点字ブロックの設置等を年次的に進めてまいります。また、歩道での自転車通行の安全対 策については、引き続き自転車歩行者道に自転車通行帯の明示や、自転車マークの表示を行うとともに、安全運行を促す啓発注意看板等を設置し、歩行者及び自 転車の通行の安全確保を図ってまいります。議員御指摘のとおり、自転車事故増加に伴い、道路交通法が改正され、現在、国において自転車の歩道での一方通行 化や車道通行化、及び3メートル未満の歩道の自転車通行を許可しない等の見直しが検討されていることから、現在のところは県公安委員会や芦屋警察署からの 情報収集などに努めているところです。

 また、交通安全の啓発につきましては、引き続き時間帯や場所に応じた街頭指導や子供や高齢者を対象とした交通安全教室などを推進するとともに、特に自転 車の交通ルール順守とマナー向上へ向け、新たに保護者等を対象とした自転車交通安全教室の実施などを検討してまいります。

 次に、昨年実施いたしました津波想定避難訓練から得た教訓と、今後につきましては、災害時における確実な情報伝達の方法、避難施設の充実、自助・共助の 重要性についてのさらなる啓発などが課題として挙げられます。これらの解決策としまして、防災行政無線屋外スピーカーの増設や携帯電話メール機能を活用す る芦屋防災ネットへの加入促進を図るとともに、一時避難施設の追加指定及び主な避難経路上への標高表示板の設置を進めてまいります。

 また、自主防災会等による地域防災訓練への支援や、出前講座等さまざまな機会を活用し、防災意識のさらなる向上に取り組んでまいります。

 次に、災害弱者の避難対策につきましては、現在、災害時要援護者台帳を作成しておりますが、この情報につきましては、個人情報保護の観点から、各関係機関等との合意形成を図りながら、早期に活用できるよう対応してまいります。

 次に、危機管理につきましては、これまでも各課において危機管理マニュアルを作成し、随時見直しを行い充実を図っております。議員御指摘のとおり、マ ニュアルを作成するだけでは危機発生時の対応には十分でないことから、今年度は課長級職員を対象に、事業継続計画と内部統制の研修を、一般職員を対象に困 難クレーム対応研修を行うなど、実態に応じた研修を毎年行っているところでございます。今後とも必要に応じて新たなマニュアルを作成するとともに、危機発 生時における初動対応や収束方法について、演習形式の研修を取り入れるなど、実践的な取り組みを進めてまいります。

 次に、教育委員会のあり方につきましては、平成17年に内閣府の審議会である地方制度調査会から地方公共団体の判断により教育委員会を設置して、教育に 関する事務を行うか、長が行うかを選択できるようにすることが適当であるとの答申が出されておりますが、これを受け、全国市長会や全国町村会から地方行政 全般に責任を持つ地方公共団体の長が、一体的に教育行政に意向を反映させることができるよう、必置規制を緩和し、教育委員会を設置するか、長の責任のもと で行うか選択可能な制度とするよう要望しているところです。私としましては、教育は子供の健全な成長、発達に直接影響を与える営みで、地域住民にとって身 近で関心の高い分野であることから、教育の独立性、合議性、住民による意思決定などの要請にこたえるためにも、本市の教育にとって現在の教育委員会制度は 必要であると考えております。

 次に、中学校給食につきましては、施政方針でも申し上げていますように、現在、教育委員会において中学生にとって望ましい昼食のあり方について懇話会を立ち上げ、議論していただいておりますので、その結論を待って判断してまいります。

 次に、文化行政の推進につきましては、現在策定中の文化振興基本計画では、伝統的な文化の保存、高齢者の生きがいの充足、青少年の文化活動の充実、文化 資源を活用した地域づくりの推進を課題としてとらえております。このため、現在行っている文化事業について、情報提供の見直し、青少年の体験機会の提供、 身近な文化資源の価値の再評価などに取り組むとともに、文化振興審議会で進行管理を行い、充実に努めてまいります。

 また、文化施策については、市民の自主的で多様な文化活動に負うところが大きく、担い手が高齢化し、地域社会のつながりが希薄化する中では、市民と行政 との参画と協働による地域固有の文化活動の育成継承が必要であると考えております。厳しい財政状況ではありますが、今日まで実施してきた文化施策を引き継 ぎ、市民の文化活動が一層活発になり、魅力あるまちづくりにつながるよう教育委員会との連携を図り進めてまいります。

 次に、広聴広報活動の今後のあり方につきましては、市の施策や事業を推進する上で、現在、広報あしやをはじめとするさまざまな媒体により、正確な情報を 迅速に伝えることに心がけ、情報提供と情報発信を行っております。広聴活動としては、窓口や電話、ファクス、郵便、インターネットのEメール、また、ホー ムページからも芦屋市へのメッセージとして市民の皆様からの御意見、御要望などをお聞きしているほか、平成15年度からは毎年、集会所トークを実施し、市 民の声を市政に反映できるよう努めているところでございます。

 また、市民マナーの向上など、地域の課題や問題を積極的に解決していくため、広報番組を活用して市民の皆様に周知する取り組みを行っているところです が、議員御指摘のとおり、情報化の進展に伴い、新たなツールの利用がふえていることから、今後の情報発信のあり方等について行政内部で研究してまいりま す。

 広聴広報の組織の一体化につきましては、市民と行政のパイプ役として、「親切・丁寧・迅速」をモットーに、お困りです課で対応しており、市民の皆様から高い評価をいただいておりますので、現在のところ一体化の考えはございません。
 その他の御質問につきましては、教育長及び病院事業管理者からお答えいたします。

○議長(畑中俊彦君) 福岡教育長。

◎教育長(福岡憲助君) =登壇=おはようございます。
 中島健一議員の御質問にお答えいたします。

 中学校における武道必修化への対応につきましては、現在、市内のすべての中学校では、武道を学校選択とし、本年度も柔道の指導を先行して実施しておりま す。また、その指導に当たっては、保健体育科の教員が県教育委員会が主催する体育実技指導者講習会等に参加し、指導に係る専門的知識や技能について研修を 深めることで進めてきております。

 その中で、学校における指導では、特に生徒の安全確保には細心の注意を払ってきており、今のところ学校内で柔道の授業での事故等は発生しておりません。 しかしながら、教育委員会では、学校における指導の充実や生徒の安全確保のために、指導環境の一層の整備が必要と考え、現在、順次その整備を進めていると ころでございます。

 具体的には、ハード面では、学校の柔道場の畳を衝撃を和らげるウレタン入りの畳に入れかえるとともに、道場の壁面に防護マットを設置する等の対応を行っております。この整備は現在2校まで終えており、他の1校についても授業実施の2学期までに終える予定でございます。

 また、ソフト面では、教員の専門性の向上を図るため、外部から専門の指導者を招聘し、市独自の指導者講習会を実施することで進めてまいります。あわせ て、柔道の授業の中に、専門の指導者が入り、教員との複数体制で指導できる機会が設けられるよう、関係団体等と調整を行っているところでございます。教育 委員会といたしましては、まずはこうした取り組みを通して、学校の柔道の授業の充実と安全確保の徹底を図ってまいります。
 以上でございます。

○議長(畑中俊彦君) 佐治病院事業管理者。

◎病院事業管理者(佐治文隆君) =登壇=おはようございます。
 中島健一議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、他病院との連携、病診連携の取り組みについてのお尋ねでございますが、他病院との連携では、県立西宮病院、市立西宮中央病院と連携し、3病院 ネットワーク協議の場を設け、各病院の問題点について検討を行っております。当院においては、県立西宮病院と周産期ネットワーク医療を実施しております。 また、医療資源の有効活用として、兵庫医大や西宮協立脳神経外科との連携を深め、当院の高度医療の推進を図っているところでございます。一方、小児腎臓専 門医が不足している県立塚口病院へは、当院小児科専門医を派遣するなどの病院間連携も行っているところでございます。

 診療所との連携では、地域の診療所からの紹介患者に対する医療の提供や、当院が持つCTやMRIなどの高度医療機器の共同利用、地域の医療従事者の資質 向上のための医療安全研修会や、緩和ケア研修会を実施するなど、地域の診療所との連携を深めております。また、芦屋市地域医療連絡会において、診療所の先 生方と症例報告会を開催し、地域医療の観点から議論を深めております。

 今後は、外来の地域連携枠の創設、緩和ケアと連動した在宅医療への挑戦、あるいは患者会の設立、さらに外科救急の実施、紹介入院機能への強化を行い、より地域に密着した病院を目指してまいります。

 次に、私が着任以来、収支状況や職員の士気が向上しているのかという御質問につきましては、収支状況では毎年の収支不足を補うため、市からの財政支援と して当院への長期借入金を実施していただいておりますが、この額も経営改善により年々減少しているところでございます。しかしながら、市立芦屋病院改革プ ランの収支見込計画には届いておりませんので、今後も患者数の増加対策を図りながら、収支計画に近づける努力を行ってまいります。

 職員の士気では、当院の医療サービスを受けている患者さんの満足度を上げるために、職員の自発的な参加による宿泊研修や全科で診療マニフェストに取り組 むとともに、全職員参加型の業務改善運動であるトータル・クオリティー・マネジメント活動などを実施し、職員一人一人が自助的な接遇を含めて患者サービス の向上に努めております。また、医療における説明責任を果たすために、インフォームドコンセントの充実を図るなど創意工夫も行っております。これにより毎 年の患者満足度調査等からも「職員の説明や言葉遣いがよくなった」、「診察のための待ち時間が短くなった」などの御意見もいただいているところでございま す。

 新病院では、さらに開かれた病院として、医療情報の提供を積極的に推進する一環として、治療成績等に関する臨床評価指標の開示、電子カルテ利用による市 内の診療所等の連携機関からフリーアクセスを目指すとともに、小規模病院の特性を生かしたチーム医療を心がけ、大規模病院志向に一石を投じる小規模病院な らではの臨床教育モデルを構築して発信いたします。

 次に、予算の立て方につきましては、これまでは当院の改革プランの目標数値に基づいて予算編成を行ってまいりましたが、議員御指摘のように、目標達成に 至らずに毎年度末に減額の補正予算を提案させていただいております。実績を踏まえた予算編成の必要性から、新年度予算においては、平成23年度実績を踏ま え、一般病床稼働率80%として入院収益を計上しております。このため、新年度予算では、減価償却前で約2億円の収支不足が発生する見込みとなりますが、 診療機能が一新された新病棟で、職員一丸となって、この収支不足の改善に向けて取り組んでまいる所存でございます。

 議員各位並びに市民の皆様方におかれましても従来にも増して御支援、御鞭撻を賜りますようお願いを申し上げまして、答弁といたします。

○議長(畑中俊彦君) 中島(健)議員。

◆15番(中島健一君) 御答弁ありがとうございます。
 1回目の質問が思っていたより時間がかかって、後半は質問内容を省略したりもしましたので、趣旨がなかなかわかりづらいところもあったと思いますが、詳しくはまた委員会のほうで質問をさせていただきたいと思います。

 1点だけ最後に確認させていただきたいんですけども、自由に使う財源のことなんですけども、なかなか余裕はないというふうに御答弁がありましたが、こち らで少し試算をしてみたんですけれども、標準財政規模から基準財政需要額を差し引いて、公債費の約半分が交付税措置されるとするならば、約10億円ぐらい お金があるのではないかなというふうに計算しております。ただ、10億円あるといっても、これにまだ繰出金とかいろいろな費用がかかりますから、実際のと ころ自由に使うお金は10億円ぐらいあるのではないかなというふうに試算をしてるんですけども、その点について当局はどのように見てるのかということをお 答えいただきたいなと思います。

○議長(畑中俊彦君) 南雲部長。

◎財務担当部長(南雲直樹君) ただ今のお尋ねについて、お答え申し上げます。
 中島健一議員がおっしゃった地方財政計画でのお見込みというのは、恐らく計画面での一定のシミュレーション上、そういう数字が出てくるのではないかとい う、ある一定の御試算からおっしゃられたことだと思うんですけれども、先ほど市長からも御答弁申し上げましたように、地方財政計画を前提として入ってくる さまざまな財政上の措置、市税等の一般財源を含めました経常的な収入と、経常的な歳出への当たりぐあいにつきまして、経常収支比率を用いて御説明申し上げ ましたように、一定の歳入の性質上の自由度のあるものという見方はできるものが多々あるんですけれども、実際のあて先としての性質ですね、そこからいった ときの経常的なものに当たっていく度合いが非常に大きゅうございますので、自由度としては非常に苦しい、先ほど市長からも御答弁申し上げましたように、名 実ともに自由度の増すような財源捻出がしていかれればということが課題だというふうに思っております。
 以上です。

○議長(畑中俊彦君) 以上で中島健一議員の総括質問を終了いたします。


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