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2010年(平22)9月 一般質問



○副議長  最後に、市長の見解を問う(専決処分のあり方、地方分権と地域主権、外国人参政権、夫婦別姓)本件について、中島健一議員の発言をお許しいたします。
 8番、中島健一議員。

◆8番(中島健一君) =登壇=通告に沿って一般質問を行います。

 今回は、市長の見解を4点にわたってお聞きしたいと思います。

 1点目は専決処分のあり方について、2点目は地方分権と地域主権について、3点目は外国人参政権について、そして4点目は夫婦別姓についてです。

 それではまず初めに、専決処分のあり方について質問します。
 専決処分は、議場にいる皆さんはよく御存じのとおり、本来、議会の議決、決定を得なければならない事柄について、地方公共団体の長、ここ芦屋市では山中市長になりますが、地方自治法の規定に基づいて議会が議決、決定をする前に、みずから処理をすることを言います。

 これは、地方自治法第179条に定めてあるもので、そこにはこうあります。「普通地方公共団体の議会が成立しないとき、第113条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき、普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき、又は議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる。」このようにあります。

 この専決処分による案件は、ここ芦屋市でも議会のたびに多く出されているところです。現実的には、必要な場面もあります。しかし、本来議会が議決するべきものをその前に市長が専決をするものですから、問題が全然ないとは言えません。それでも法令にのっとり、粛々とここ芦屋市では処理がなされています。

 それは何よりも市長をはじめとする行政と議会の信頼関係があってこそと私は理解しているところです。ところが、今話題の阿久根市においては、この専決処分が悪用され、不適法な状態がまかり通っています。

 阿久根の市長は、市議会を招集せず、19回にわたり専決処分を繰り返しています。このため、阿久根の市長は鹿児島県知事から地方自治法第245条の6、「都道府県の執行機関は、市町村の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該市町村に対し、当該自治事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。」。この法律に基づき、是正の勧告を2度にわたり受けています。また総務省も問題視をしているところですが、勧告に従うまでには至っていません。

 そのため、政治不信が市民の中にも渦巻き、市長に対するリコール運動が起こり、本日、解職を求める署名が選挙管理委員会に提出される事態になっているようです。そこまで至る背景には、いろいろ複雑な事情もありますから、ここでは省きますが、法律は使い方次第では独裁的な行政も行うことができるという、典型的な事例となっているのではないでしょうか。

 さて、先ほど芦屋市では市長と議会の信頼関係があると言いました。もちろん何かをつくり出すためには意見の対立が当然あり得ますが、感情的な不毛な議論でなく、また、独善的な行政執行、議会運営ではなく、自治の両輪として互助の精神で前に進めることができる関係が、ここ芦屋市にあると思っているところです。その点からいえば、阿久根市の状況を踏まえ、専決処分のあり方について市長はどう考えを持っているのか、お聞かせいただきたいと思います。

 次に、地方分権と地域主権について質問します。そもそも、今進められている地方分権や地域主権を進めれば、地方自治体は、そして日本という国は、豊かになるのでしょうか。地域主権という言葉の定義もあいまいなまま、勢いだけで法令の改正が進められている気がしてなりません。

 地方に権限を委譲させる最大の目的は、そして、私たちが求めているものは、市民が国民がより豊かな生活を享受するためです。その肝心なところが抜け落ち、国のあり方を論外に置いて、形式や手段に、そしてバラ色しか待っていないような議論に陥っているのではないかと私は感じるところです。

 国の政治においては、与党、野党が入れかわっても政府の方向が決まったとしても芦屋市は芦屋市としてでき得る限り肝心な豊かな生活を享受できるよう、自治を担わなければならないと考えます。そこで市長にお聞きしたいのは、市長の考えている地方分権、地域主権、このことについてできればわかりやすく答弁をいただけたらと思います。

 さて、次に外国人参政権と夫婦別姓について質問します。これについては、さまざまな意見、考えがありますので、ここでその是非を問うものではありません。しかし、個人的には外国人参政権や夫婦別姓について疑問と懸念を持っているところです。また、これが実現すれば地方自治体にも大きな影響を与えるかと思います。この件について市長はどんな見解を持っているのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
 以上で1回目の質問を終わります。

○副議長(幣原みや君) 答弁を求めます。
 市長。

◎市長(山中健君) =登壇=中島健一議員の御質問にお答えします。
 初めに、専決処分のあり方につきましては、地方自治法第179条に規定されている専決処分は、特に緊急を要するため、議会を招集する時間的余裕がないときなどの場合に限り認められているところです。専決処分を行う場合は、議会がその権限により議決するべき事件を一定のやむを得ない場合に限り市長の権限で行うことが認められていますので、議会軽視とならないよう、慎重に対応しなければならないと考えております。したがいまして、専決処分を行うかどうかにつきましては、その都度精査し、対応しておりますし、また、専決処分を行ったときは、直ちに議会に報告しているところです。

 次に地方分権と地域主権につきましては、地域主権は、地域住民が、みずからの判断と責任において、地域の諸課題に取り組むことにありますので、これまで国が決定し、地方公共団体に義務づけてきた基準、施策等をみずからの判断と責任において地域の実情に合った政策運営が求められることになります。権限が委譲されることは、それだけ責任も伴いますので、これまで以上に市民、議会、行政が一体となって自主的、主体的に芦屋にふさわしい行政運営と堅実な財政執行を行い、豊かなまちづくりに取り組むことが求められていくと考えております。

 次に、外国人参政権、夫婦別姓につきましては、市の一般事務とやや視点の方向が違うのではないかと存じますが、中島(健)議員の御見解に理解を示すものであります。

○副議長(幣原みや君) 中島(健)議員。

◆8番(中島健一君) それでは、2回目の質問をさせていただきます。
 項目に上げておりました、最後の2点については、同じ見解をお持ちのようですので、これ以上は質問は避けさせていただきます。

 それでは、最初の専決処分のあり方について、市長のほうから法令にのっとって議会軽視とならないよう、その都度精査し、報告もしながらやっていきたいという答弁をいただきましたので、私もそのことを信じてこれから議会運営、行政に当たっていただきたいと思っているところです。

 せっかくですので、どういったことがこの鹿児島県の阿久根市で問題になっているのか、この場をかりて披露しながら、もう少し聞けるようであれば市長の見解もお聞きしたいと思うところです。

 この阿久根市で専決処分が何度も繰り返される中で、先ほど言いましたように、県知事が是正の勧告処分をしました。県議会も市政運営に抗議をして、改善を求める決議を全会一致でしているところです。
 確かにここの市長は、改革を前面に打ち出して市民が望むものもやっているようなところもあります。しかし、議会に諮らずそれを専決処分だけでやっていくのは、やはり大きな問題があろうかと思います。

 新聞報道などによりますと、例えば既に児童クラブもあるのに、「放課後子ども教室事業」を実施したり、あるいは、花火規制条例、これもいいことだと思いますけども、議会に諮らず専決処分で整理させているところだそうです。結局ここの阿久根市では、つい先月でしたか、議会が開かれました。議会としては、市長が承認を求めた専決処分19件のうち、14件が不承認となっております。しかし、市長のほうは、不承認であってもこれは有効ということで撤回しない方針を示しています。法令上は議会が不承認をしたとしてもそれは有効が残ると言われていますが、例えば人事案件とか、大きな問題が残ろうかと思います。

 まして、この中で私がもう1つ大きく問題視しているのは、この阿久根市議会は、その市政が正常じゃない中で議会を通年議会にしていこうという議案をこの臨時会で提案し、可決しました。ところが、この通年議会条例、市長が公布をしないということで、今公布をされていません。法令では、議会が議決した条例、それを市長が送付を受けた場合に、20日以内に公布をしなければいけないんですけども、公布をしてないんですね。

 これは公布をしないでも罰則規定はないということで、阿久根市長が独断でやってるんですけども、こういうよいことをやろうとしたとしても、市政を行っているこの両輪が、信頼関係をつくっていかなければ本当に市民のために役に立つのかどうかというところが、本当に疑問に感じるところであります。

 ですから、こういう典型的なあしき事例に芦屋市が陥らないように、ぜひ議会と市長が協働してよい町をつくっていきたいと重ねて私は念願すると同時に、再度見解があれば市長の御意見をお聞きしたいと思います。

 次に、地方分権と地域主権についてですが、地域主権というと、本当にいい言葉のように聞こえるんですけど、いろいろな方の意見を聞くと、違う意見がまた聞こえてくるんですね。例えば、地域主権というのは、国家主権の放棄である。このような見解をお持ちの方もいます。また、地域主権という言葉をマスコミがよく使うようになった。この言葉を推測するに、中央集権という言葉の反対語、もしくは、地方分権をもう一歩進めた意味で使っているのであろう。
 しかし、地域経済や地域経営という言葉は学術用語と使えても、地域主権というのはバーチャルの世界の話であり、実態として存在し得ないばかりか、国民に混乱と誤解を招くものである。こんな意見もあります。

 公益財団法人の地方自治総合研究所で中央大学の今村さんという方が、コラムを出しているんですけれども、その方も批判的な意見を出しております。

 少し長くなりますが、紹介しますと、地域主権なる言葉が流通し始めたのは、もはや地方分権が政治的なアピールを失ってしまったからこの言葉に飛びついたのではないかと、国民主権と併記する憲法感覚はどんなものか、そこで具体的にいろいろ書かれているんですけども、今さらながら指摘するまでもなく、国家主権の存在を前提にそれを国内の行政区画で仕切られた各地域に分与することによって、そこに地域主権が成り立つかのように考えているのであれば、それは言語道断の認識と言わなければならない。例え道州制に踏み切ったところで、新しく公益の地方自治体として設置される個別の道や州に地域主権が認められるはずのものでは断じてないからである。

 これは法律の学会の中では、大多数の人がこのような意見を持っているところです。ですから、法の専門家は、この地域主権が、次々と公式の用語で使われていること、あるいは、合意に至ってない言葉を勝手に概念のひとり歩きを始めていることに懸念を表明しているところです。

 私もこういったものを読むにつれて、今の国が目指そうとしている地方分権、地域主権、それは何なのかと、この間ずっといろいろ考えてきました。その中で、「週刊東洋経済」の中に記事があったんですけども、その地域主権というのが、どういうものなのかというのを端的にあらわすものが載っていました。

 国というのは、地方自治体に対して一定の活動を義務づける義務づけや、あるいは手続や基準について枠をはめる枠づけをしています。ところがこの義務づけと枠づけを今、外そうとしているわけです。それは、地方にとっても国にとってもよい方向であれば問題ないんですけれども、その中身がやはり問題になってくるのだろうと思います。

 例えば、改革の第一弾として、法案がいろいろ出されていますが、国が定める障がい者施設の防火防災基準が自治体にとっては遵守義務のない参酌基準に格下げされてきています。
 また、昨年10月第3次勧告で示された案では、バリアフリー法については、住民や施設の利用者である高齢者、障がい者が利害関係者の意見の反映については、従来、国の基準として講ずべき措置であった、つまり利害関係者の意見を聞かなければいけないということになっていたのが、これは廃止または努力義務になってきています。
 また、この第3次勧告の中では、保育園の面積基準や職員配置基準を定めた全国一律の児童福祉施設最低基準を廃止して、これも遵守義務のない標準や参酌基準にとどめるべきだとしています。

 つまり、国が目指しているのは、各自治体がより住民の声を聞いてよりよいものをつくっていけと言っていますけれども、国がこれまで決めていた、最低基準、それを全部取っ払って、最低基準以下でもやっていいんだよというふうな方向を示してるんですね。

 私が考えているのは、地方分権で考えているのは、国が最低ラインを全国的に押さえて、それに上積みをしていくのが地方自治体の仕事だと思っています。ところが、その最低基準を取っ払ってしまって全部自治体に任せる、さらにそれに伴う予算をつけてくるかといったら、先ほども一般質問の中で一括交付金の話がありましたが、予算がついてくるかどうかもわからない。
 つまり予算がなければ、今ある最低基準さえも維持できない地方自治体がどんどん出てくるという可能性があるんですね。私はこれはおかしいかと思います。そして、市長がこれからつくっていく芦屋市政とも相入れないものではないかと思うんです。

 この「週刊東洋経済」の中に最後に、私はいい言葉を書いてるなと思ったんですけども、地域主権の名のもとに、社会保障や教育に対する国の責任をほうり出すとしたら、それこそ本末転倒である。私も本末転倒であると思います。

 地方分権、地域主権、本当に聞こえはいい言葉ですけども、その中身がどうなのか、それをしっかり地方自治体として見きわめていかなければいけないと思うのですが、その点に関して市長の御見解をさらにお伺いしたいと思います。

 あと、議会にとっても気になることが、この改革の中でいろいろ言われているんですけども、骨子案の中では地方自治法を改定して、地方政府基本法の制定を提起しています。この地方政府基本法なんですけども、首長と、市長とですね、議会の対立により、例えば阿久根市のような対立が起こったときに、行政運営に支障が出ないようにするとして、議会の役割を事後の調査、検査に限定する、こういったことも打ち出しています。

 本当に大きな問題を含んでいるかと思います。ですから、これは芦屋市にとって、行政側にとっても議会の側にとっても大きな問題かなと思っていますので、これからさらに研究・検討を続けていかなければいけないかなと思っています。
 ですから、国が出すものがそれがすべて正しいということで受けとめるのではなく、芦屋市にとってどうなのか、そして、さらに声を上げるべきところは声を上げていかなければいけないというふうに私は思うんですが、その点について再度お伺いしたいと思います。

○副議長(幣原みや君) 答弁を求めます。
 市長。

◎市長(山中健君) 中島健一議員の2回目の御質問にお答えをいたします。
 まず、専決処分についてでございますが、阿久根の例を挙げて御説明をいただきました。首長と議会が対立するということになりますと、そこから何も生まれることがありませんで、市民に迷惑がかかることだけでございますので、その辺を考えますと、非常に芦屋市と市議会の関係というのは、今非常に緊張の中にもなれ合いもなく、いい関係が続いていると思っておりますので、ぜひこれからも御協力をいただければと思っております。

 地域主権につきましては、国と地方が対等なパートナーシップへ転換をして地域の自主的判断を尊重しながら活気のある地域社会をつくり出していくという方向で進められておりますけれども、権限だけ委譲されてもなかなかこれも困った話でありまして、財源もついてこないといけませんし、また、お話にもございましたように、社会資本や教育の分野をはじめ、本当に必要なものは十分手当てをしていただくというようなことが、私は非常に大事なことかと思います。

 地方に一括交付金と称して丸投げという形でばらまき的なことになりますと、地方の裁量権も広がり自由度も増すということになれば、うちは大変結構かと思いますけども、全国で1,800ある基礎的自治体が果たしてすべてそれで行動できるかというと、なかなかいろんな状況があると思いますので難しいと思います。ただ、全国市長会を通じて地域主権については、取り組んでおりますので、また要望もしていきたいと思っておるところでございます。
 以上でございます。

○副議長(幣原みや君) 中島(健)議員。

◆8番(中島健一君) 
 市長会を含めた6団体が地域改革、地域主権、それを進めるように国に要望として出しているのは、私も知っています、全国市議会議長会もその中に入っていますから。ただ、今回の問題になっているのは、いいところと悪いところ、メリット、デメリットがあるということで、メリットは進めていけばいいけれども、デメリットはしっかり見ていかなければいけないところだと思います。

 それで、2回目の山中市長の答弁は非常に私も納得するところでありますので、その立場でこれからも頑張っていって、一緒にともに頑張っていきたいと思っているところです。

 原口総務大臣が、地域主権戦略大綱を閣議決定された後に、ある会合でこんな言葉を言っています。「地域主権を進めれば、地域格差はかえって広がるとおっしゃる人がいますが、私はそのとおりだと思います。間違ったリーダーを選べばそのつけは選んだ地域の人に来る」と言い放っています。確かに選んだ側にも責任がありますが、間違った人を選んでも最低基準の生活が送れないような自治体は、それは間違いですし、それを進める地域主権、あるいは地方分権というのは、やはり見直していかなければいけないだろうと思うところです。

 国民に対して地域主権というときに、よい点ばかり挙げて本当に未来がバラ色に見える、そういうふうな言葉だけでだまされないことが私たちは大切かと思います。地域主権の影の部分というのは、やはりありますし、そして、議論の前提条件が何なのか、つまり地域主権が何を意味しているのか、そこのところを私たちはともに見ていかなければいけないと思いますし、市民の方にもこういった問題があるんですよということを、私は働きかけていくとともに、行政、そして議会と皆さんと一緒に芦屋市をよりよい住みやすまちにしていくために頑張っていきたいこと決意を表明しまして、第3回目の質問を終わりたいと思います。

○副議長(幣原みや君) 以上をもちまして、本日の日程は終わりましたので、これをもって、散会いたします。


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