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2009年(平21)12月 一般質問



○議長(都筑省三君) 直ちに日程に入ります。
 日程第1。昨日に引き続き、一般質問を続行いたします。
 初めに、美術博物館の今後について、本件について、中島健一議員の発言をお許しいたします。
 8番中島議員。

◆8番(中島健一君) =登壇=おはようございます。
 芦屋市立美術博物館の今後について、通告した内容に沿って一般質問を行います。
 初めに、美術博物館の運営方針についてです。

 ことしの10月に、半年ほど時間をかけて新たに美術博物館の運営方針が決まりました。その前に作成されたものは平成14年ですから、約7年前のものを新 たにつくり直したわけです。

 つくり直すにはそれなりの理由があってのことと思いますが、何はともあれ、新しく定めた運営基本方針に沿って、美術博物館のさらなる活動・発展を願って やまないところです。その点においては、美術博物館の関係者、そして教育委員会の担当者の奮闘を改めてお願いしたいと思います。

 さて、その運営基本方針、読んでいて少し腑に落ちない点がありますので、この点をまずお尋ねします。

 方針では、初めに、基本方針を改めて策定する理由に触れ、次に、美術博物館の使命と目的を明らかにし、それを踏まえた上で、美術部門(美術館)と、歴史 部門(博物館)、そして、管理運営の方針を明示する形になっています。そこまでは、個別の内容はおくにしても、よく理解できるのですが、それに続いて、今 後の課題というものが書かれてあります。

 この課題の中では、リピーターの確保であるとか、高齢者、障がい者への取り組み、あるいは交通アクセスの改善、ボランティア制度の導入など、いろいろ書 かれてあります。書かれてある内容はもっともなことばかりなのですが、運営基本方針に載せるものとしては、いささか合点のいかない点もあります。

 そこで、お尋ねしたいのですが、今回の運営基本方針の中で、今後の課題というものはどのような意図で設けられたのか、また、達成期限、いつまでにやり遂 げようとしているものなのか、そのあたりをわかりやすく説明をしていただきたいと思います。

 さて、ここから、運営方針を策定していく中で議論のあった点などを少し中身に触れながら質問を進めたいと思います。

 まず、コレクションの活用についてです。
 美術部門の方針、基本目標の中に、収蔵しているコレクションを通じて海外とのつながりを深めるとあります。私も、海外とのつながりを深めていくことはよ いことだと思いますし、収蔵している美術品の内容を考えるならば、そうあるべきだろうと思います。しかし、これまでも展示活用はしてきていることですか ら、具体的なイメージがもうひとつつかみにくいのも事実です。コレクションの活用を通じて海外とのつながりを深める、これは、収蔵コレクションを海外にも 積極的に貸し出し、具体美術、ひいては芦屋美術博物館を知らしめていく方針だと受けとめていいのでしょうか。これについてお答えいただきたいと思います。

 次に、館長の役割についてお尋ねします。
 議論の中で、教育長は、第1回目の博物館協議会の中で教育長が言われている言葉なんですけども、美術博物館全体を見通す指揮者が不十分だった、市民にわ かって楽しんでもらおうという努力が足りなかった、我々に欠けていたと述べられていました。

 美術博物館の使命・目的に照らして、館長である教育長の役割についてどのようにお考えなのか、できましたら披露していただきたいと思います。

 さて、次に、集客の点からPRのあり方について少しお尋ねしたいと思います。
 美術博物館の来館者数は年2万人から3万人、多いと見るか、少ないと見るかは難しいところですが、震災前には4万人に近い数字までいったこともあり、 減っているというのは事実かと思います。しかし、現在の人数が少ないかといえば、ほかの都市の美術館も、大規模なものを除けば、似たような数字と言えま す。だからといって、そこに甘んじてはいけませんし、館の方もPRが不十分という点では、十分、認識をされていることと思います。

 集客を上げる、これが単なる目的化してしまうと、運営基本方針にある使命・目的から大きく逸脱することにもなりかねませんから、イベントをやりつつも、 認知度を高めていく、種をまいていく地道な活動が極めて大切になってきます。その点からいえば、幼稚園、保育園、そして小中学校との連携は、とても重要な 要素と言えます。現在も取り組みは進められていますが、さらなる連携は不可欠です。

 まず必要なのは、教育現場の先生方と意思疎通を図ること、単に美術博物館のチラシを配ってもらうだけでなく、そこに一言あるか、ないかで、子供の興味・ 関心が変わってきます。そして、来館したときの館側の対応、単に見せるだけでなく、学校では経験できないものを感じ取らせる、そして好奇心を引き出す、そ ういったうまい手だてが必要になってきます。

 さて、方針では、「子どもたちが本物に接し感動する手助けとなる美術館を目指す」、あるいは、「学校教育との連携を図り、市内のすべての学校・園の児童 生徒が来館する仕組みを構築し、未来を担う芦屋の子どもたちに豊かな地域の歴史・文化に触れる機会を提供する」とありますが、どのように具体的にお考えな のか、お尋ねしたいと思います。

 次に、美術品収集についてですが、美術品を取得する基金は2億円ありましたが、現在は、もうほとんど使い切っている状態だと聞いています。しかし、美術 博物館が収集をやめてしまったら、それは機能を停止する行為にも匹敵します。美術品や、それにまつわる資料等を収集することは、美術博物館の最初の活動と も言えるからです。

 では、基金が底をつき、市からの支援も現状では期待できない中で、どうすべきなのか。私は、広く寄附を募っていくべきかと思うのですが、その点について お考えを明らかにしていただきたいと思います。

 さて、運営基本方針の議論の中で、委員から出てきていました美博検定と巡回展の実施について、現状、どのような状況にあるのか、また、どのようなお考え を持っているのか、お聞かせいただきたいと思います。

 さて、芦屋市にとっては貴重な文化の拠点施設である美術博物館を今後も維持・発展させていくこと、これは大切なことだと思うところです。そのために、指 定管理者という制度利用も含めて議論をしてきているところだと思いますが、現時点での市の考え方を改めてお聞きしたいと思います。
 以上で1回目の質問を終わります。

○議長(都筑省三君) 答弁を求めます。
 市長。

◎市長(山中健君) =登壇=おはようございます。
 中島健一議員の御質問に、先に私の方からお答えをさせていただきますが、美術博物館を今後も維持・発展させていくことにつきましては、平成18年度から 業務委託をしておりますが、美術博物館の運営には企画力や事業内容の充実が求められると考えています。このため、単年度ごとの契約では十分な成果が得られ ませんので、企画や事業運営に能力のある事業者を指定管理者として選定し、安定的な運営ができるよう検討しているところでございます。
 その他の御質問につきましては、教育長からお答えをいたします。

○議長(都筑省三君) 教育長。

◎教育長(藤原周三君) =登壇=おはようございます。
 中島議員の御質問にお答えいたします。

 美術博物館の運営基本方針に記載しております今後の課題について、どのような意図で設けられたのか、いつまでにやり遂げようとしているのかについてのお 尋ねでございますが、この今後の課題を設けた意図は、運営基本方針の見直しを検討する中で、十分、議論できなかったものを、今後、取り組むべき検討課題と して方向性を示唆したもので、実現可能なものから、順次、取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、美術博物館のコレクションの活用につきましては、本館所有のコレクションは、国内外の美術館から高い評価を得て貸し出し依頼があるものもあり、芦 屋市のPRにもなるような展示については積極的に貸し出しを行っており、今後もそのように努めてまいります。

 また、館長の役割につきましては、館長は、美術博物館を統括するとともに、美術博物館協議会を招集して意見を求めるなど、芦屋の文化を発信する最前線基 地として美術博物館の運営に重要な役割を担っております。

 私としましては、美術博物館が芦屋の貴重な文化遺産を継承し次世代に伝え、市民に対して地域文化を発信するとともに、交流する場を提供できるよう努め、 さらに芦屋の文化推進の原動力となるべきであると考えております。

 現在、私が館長事務取扱をしておりますが、業務内容等から見て、専任の館長を配置するのが望ましいと考えております。

 学校との連携につきましては、「芦屋の歴史資料展」−一般的に「暮らしと道具展」としておりますが−を開催して、市内の小学生に学校単位で来館してもら い昔遊びを体験してもらう企画や、さらに、幼・小・中の子供たちの作品を展示する造形教育展、幼稚園でのワークショップなどを実施しております。また、隣 接する伊勢幼稚園と、毎年、定期的に交流を行っております。

 今後、学校の先生とのかかわりを積極的に進め、市内のすべての学校が来館する仕組みを構築していきたいと考えております。
 美術品収集のために広く寄附を募ることにつきましては、現在の経済情勢等からかんがみて、美術品収集のための寄附を集めるのは、現実問題としては厳しい のではないかと考えております。

 美博検定につきましては、美術博物館を知っていただくことは大事なことですので、美術博物館の活動を発信し認知度を高める取り組みを今後もふやしていき たいと考えておりますが、美術博物館独自の検定までは、現在のところ、考えておりません。

 次に、巡回展の実施につきましては、館独自で展示をする場合に比べて経費的な負担も少なくて済みますし、広いジャンルの絵画等の展示が可能になりますの で、他の美術館との連携による共同企画展示なども積極的に行うよう努めてまいります。
 以上でございます。

○議長(都筑省三君) 中島議員。

◆8番(中島健一君) それでは、1回目の答弁をいただいた上で、再度質問をさせていただきたいと思います。

 運営基本方針についてですが、今後の課題については、十分議論できなかったものを、順次できるものから取り組んでいくということですので、これは、ぜひ 順次取り組んでいっていただきたいのと同時に、できるものは、もう早目早目に進めていっていただきたいと思います。特に、交通アクセスの改善とか、高齢 者、障がい者への取り組みとか、こういったすぐ取り組めるものもありますし、あるいは、現在あるものも、組織の活用っていうことですか、こういうのもあり ますし、間を置かずに取り組みを強めていっていただきたいと思うところです。

 それで、館長の役割なんですけども、今、教育長の方から、専任の方が望ましいというお話がありました。私もそのように思います。やはり教育長は教育委員 会全体を見る立場ですから、館には館の専任の方がやはり望ましいだろうと思いますので、これは、どういった形で専任を置くのかどうかというのは私の方では まだわかりませんけども、ぜひ置くというのが望ましいというお考えであるならば、ぜひ置いていっていただきたいと思うのですが、具体的にどのような時期に この専任の方に館長をお任せしようとしているのか、そのあたりを、できたら次にお答えいただきたいと思います。

 それで、この基本方針はよくまとまっていると思います。美術博物館の運営協議会……、運営協議会じゃない、博物館協議会の皆さん方が5回にわたってこの 運営方針を議論してきた成果がここに出てきているんですけども、この運営方針に沿って、ぜひ美術博物館をよりよいものにしていっていただきたいと思うので すが、今、美術博物館は全国に5,600館ほどあるというふうに聞いているんですけども、どの美術館もやはり岐路に立たされているというふうに私は聞いて おります。つまり、お客さんはふえているところもありますが、それは一部で、減っているところがほとんどであると、なおかつ行財政が厳しい中で館の財政を 削られていく、その中でどう切り盛りしていくかということで、大変な苦しい運営状況にあるというふうに私は聞いております。

 その中で、館長の役割というのは大変大きな役割がありますから、先ほど言ったように、館長をいつまでにやるかということは、ぜひ明らかにしていっていた だきたいのと、あと、もう一つですね、管理運営の方針の中で、評価システムの構築というものがあるんですけれども、これは博物館法にある第9条、運営の状 況に関する評価等ということで、「博物館は、当該博物館の運営の状況について評価を行うとともに、その結果に基づき博物館の運営の改善を図るため必要な措 置を講ずるよう努めなければならない」というふうに書いてあります。このことがこの評価システムの構築の中に反映されているのだろうと思います。

 それに加えてですね、第9条の2項には、運営の状況に関する情報の提供というものがございます。ここの中には、「事業に関する地域住民その他の関係者の 理解を深めるとともに、これらの者との連携及び協力の推進に資するため、当該博物館の運営の状況に関する情報を積極的に提供するよう努めなければならな い」と。これに関しての具体的なものがちょっと見えないかなというふうに気になってたので、ぜひこの点について、もしこの運営方針、どのあたりに該当する のか、該当する部分があれば、それをお示しいただきたいのと、もしないようであれば、具体的にそれを補う形で、今、述べていただけたらなというふうに思う ところです。

 次に、積極的なPRということで、特に学校との連携が必要だということで、私、質問をさせていただいたんですけども、まあ、小学校、企画があったときに は、学年単位で来てもらったり、あるいは近くの幼稚園の人たちとは、毎年、交流があるというふうな答弁があったところです。

 すべての学校と協力体制ができるように構築したいというふうに、今、お話があったところなんですけども、現在、すべての学校とは連携はできていないんで しょうか。私、すべての学校の人たちが、美術博物館についていろいろな連携ができてるものと思っていたんですけども、その点について、再度、明らかにして いただきたいのと同時に、特に中学校の部分では、まだまだ弱い面があるのではないかなと思いますので、そのあたりについても、再度、お聞かせいただけたら と思うところです。

 あと、コレクションの活動で、活用については、国内外、高い評価を受けていて、貸し出し要請があれば、積極的に貸し出しをしていっているということです ので、これは、ぜひ続けていっていただきたいと思います。

 それで、要請があったら貸し出しをするということではなくて、美術博物館の方からも積極的にこういった具体の美術があるというふうなことをアピールして いって、それを貸し出していくという行動も館の収入向上につながっていくのではないかなと思いますので、その点はよろしくお願いしたいと思います。

 あと、美術品収集のための寄附についてなんですけども、答弁の中では厳しいというお話がありました。確かに厳しい中ではありますけれども、かといって、 それをそのままスルーしてしまったら、今のままでは収集ができないということになってしまいます。美術博物館の大切な役割の1つに、収集活動というものが あります。それで、基金が底をついてる中、どうやって収集活動を補うためのお金を集めていくか、これがやっぱり考えのしどころだと思いますので、その厳し いという中でも、どのような努力をしていこうとしているのか、その点を、再度、御答弁いただけたらなと思うところです。

 次に、巡回展については、これ、ほかの館との連携で積極的に努めていくというお話がありましたが、協議会の運営基本方針を話し合う中で、この巡回展につ いて、教育長がたしかどこかでお話しをしていたと思うんですが、22年度は必ず実施していきたいというふうに議事録の方に載っていたんですけれども、どこ だったかな。ああ、ありましたね。これは、20年度の第1回の博物館協議会の会議の中で、教育長が会長から巡回展はどうかというふうに聞かれて、平成22 年度は必ずというふうに言われてましたので、22年度から順次行っていくのかどうかということは、この場でぜひ述べていただきたいと思います。

 あと、美博検定について、美術博物館を知ってもらうということは大切だけども、独自の検定は考えていないという答弁でした。

 確かに美博検定、芦屋市の美術館だけで美博検定をやるというのは難しいかと思います。でも、芦屋市の美術博物館が中心となって、阪神間あるいは県下の美 術博物館に呼びかけて、独自のそういった検定というものをつくって美術博物館の周知に努めていくっていうことも可能かと思います。ですから、その点では、 芦屋市独自ということに限らず、広範な館に呼びかけて、その中心的な役割を担っていってはどうかなという点ではどうなのかということもお聞かせいただきた いと思います。

 さて、一番最初に御答弁のありました、安定的運営のための体制というところでは、単年度の業務委託では難しいということで、指定管理者で継続的に安定的 に努めていきたいということの答弁がございました。

 それで、思うんですけども、今、美術館の運営に必要なお金が8,000万円から1億円ぐらいで、実際の収入が200万……、800万円ぐらいですか。経 費に対して収入が5%ぐらいしかないということで、大変難しいというか、運営的には厳しいという状況があるのは私も知っております。

 しかし、美術博物館というのは、そもそもお金がもうかるから運営されていくものなのか、黒字であるから存続するべきものなのか、そういう問題ではないと 思うんです。たとえ赤字であろうとも、私は文化の発信拠点として存続させていくべきものだろうと思います。

 博物館法の中にはこのような文言があります。入館料のことについてですね、第23条ですけれども、「公立博物館は、入館料その他持物館資料の利用に対す る対価を徴収してはならない」と。本来ならば、入館料等は徴収してはならないんです。「但し、博物館の維持運営のためにやむを得ない事情のある場合は、必 要な対価を徴収することができる」というふうになっているんです。ですから、美術博物館をつくる時点から赤字運営を覚悟の上で、私はつくってきているもの と思います。

 それで、今回、行政改革の中で経費削減ということが言われて、美術博物館もその対象となってくる中で、指定管理者というものが、今、取りざたされている んですけども、指定管理者というのは、やはり何らかのメリット、利益がなければ受け手がないと思うんです。不安定なとこに任せるよりも、私は、引き続き市 がきちんと責任を持ってやっていくのが筋ではなかろうかなと思います。指定管理者制度そのものを否定しませんけれども、そういう点では確かに不安があると こなんですね。

 ですから、美術博物館、文化に対する市の考え方がここにあらわれてくるのではないかなと思いますので、安定的運営のための体制をどうしていくかというと ころでは、いろいろ議論があるところです。まあ、指定管理者もその1つの方法でありますが、原則的には市が面倒を見ていくということが私はやはり筋がある のではないかなと思うところです。その点で、この指定管理者、今、どういう状況にあるのか、現状をお知らせいただけたらありがたいと思います。
 以上で2回目の質問を終わります。

○議長(都筑省三君) 教育長。

◎教育長(藤原周三君) 私の方からは、小さなことは部長の方に譲りますが、まず、1番目の一番基本になります館の運営または館長の役割、いつごろになっ たら館長をということからお答えをしたいと思いますが、議員御指摘のように、美術博物館というのは、本来、収入が見込める施設では……、余り期待できない だろうと思っています。御指摘のとおり、8,000万円、収入は500万円から800万円というのが、ここ数年の現状ですので、決して収入がふえるわけで はなかろうと思いますが、しかし、今、我々は、収入をふやすということだけが本来の目的ではない、やはり芦屋の美術博物館でなくっちゃいけない。

 ですから、来館者を、今、2万5,000人ほど、年間ですが、一番ボトムになったとき、少なくなったときには1万何がしかだ、最高で3万人レベルなんで すが、入館者をふやすだけであれば、市民に来てもらうために企画をかえれば、ある程度、達成できる可能性があると思いますけども、しかし、やはり芦屋の美 術博物館、市民の文化発信の場所という位置づけを考えると、入館者をふやすだけが能ではなかろうと思っております。

 それで、そういうことを考えますと、本来であれば市直営でやることが望ましいということは私もそのとおりに思っておりますが、しかしながら、現在の望ま しい状態では、市直営でやるのが望ましいといいましても、今の市の財政、それから文化振興財団がやっていましたときは、ある意味で、市直営だったと思って います。

 今後、やはり館がよりよくなるためには、美術博物館がひとつのアカデミックなとりでになってはいけない、専門家が専門的なことを研究する場所としてはい けない、やはり市民に親しんでもらえるようなという基本方針のとおり、今後も、やはりもっと市民に親しんでもらう、そういう館にもっていきたいと思ってい ます。

 そのためには、指定管理で、管理者もより市民にアピールできるような、より経費を節減し、より高い効果を上げられるような取り組みも片方ではぜひ必要だ ろうと思っています。

 そうなってきますと、館の運営が指定管理者に任されてしまって変な方向へ行ったら困るじゃないかという意見も片方ではございます。それで、私たちは、 今、それをコントロールし真の目的を達するために、館長の存在、それから、先ほどから出ています、美術博物館運営協議会、このメンバーの皆さんの広い意見 をいただくことによって美術博物館の運営をコントロールしたいと、そう思っています。

 蛇足になりますけれども、この運営基本方針をつくり直したのも、運営協議会の中でいろいろ議論をする中で、結果としてこういうすばらしいものが私たちは できたんじゃないかと思っておりますので、今後とも、協議会の役割、それからそれを上から十分コントロールし、文化的、それから市の内容も理解した上で芦 屋のなくてはならない美術博物館をつくる最高責任者の館長は、やはりできるだけ早い機会に置く方が望ましいのではないかと考えています。

 それから、先ほどの寄附金のことなんですが、これは、我々も寄附がいただけるような努力はやはりするべきだと思っておりますが、現在、寄附金ではござい ませんけれども、芦屋市民が自分たちの持っているすばらしいコレクションを美術博物館にお貸ししますよということで、もう現在までに既に1回、2回と、そ ういう展示、お借りをして展示をするということもございました。

 それから、さらに大口の寄附ではなくっても、市民が本当にポケットマネーで美術博物館の運営にというそういうものも、やはり、今後、視野に入れて考える べきではないかな、今後、そういう取り組みも考えていきたいと思っています。
 あとのことにつきましては、部長の方から答えます。

○議長(都筑省三君) 社会教育部長。

◎社会教育部長(橋本達広君) 私の方から、まず、学校の連携でございます。
 すべての学校でやっているのかということですが、すべての学校ではできてません。具体的にやっておりますのは、平成20年の実績でいいますと、精道小学 校、潮見中学校、浜風小学校、打出浜小学校、精道中学校、精道幼稚園でございます。特に、山手地域との連携ができてないというところが課題かなというふう に思っております。

 幸いにいたしまして、今回、美術博物館協議会の委員の中で、宮川小学校の美術の教諭の秋山先生、入っていただいてますので、秋山先生等のお力も借りなが ら、何とかどの学校も来ていただけるような仕組みづくりをしていきたいなというふうに思っております。

 それと、館の運営状況の公表につきまして、運営方針のどこに載ってるのかということでございます。それにつきましては、管理運営の方針というところで、 美術部門、歴史部門のとこで共通した管理運営の方針のところの広報活動の充実というところで、企画内容を市民等によりわかりやすく知ってもらうため、こう いう云々出ております。

 まあ、今まで一番PRが非常にまずかったかなということで、館のやはり認識を広く市民にアピールするということをまだまだ取り組まんとだめだなというふ うに思っております。

 それと、評価システムのことでございますけど、まあ、博物館法の第9条の第2項でございますか、私ども、それぞれ企画した事業につきまして、美術博物館 協議会の委員の方々に、開催をやる都度、見ていただいて、大きな企画、そのときの評価もいただきたいなというふうに思っております。

 それと、またアンケート等もですね、なるべく入館者についてのアンケートも実施したいと。それで、来年の1月から文科省のアンケートもしていきたいとい うふうに思っております。

 それと、阪神間に広範に、阪神間、要するに広範に呼びかけて、美術博物館の検定について取り組んではどうやという議員の御提案いただいた、それについて は非常にありがたいアイデアかなというふうに思っております。そういうことができるかどうか、近隣博物館等の話し合いもございますので、一回その辺の話も 出してみようかなというふうに思っております。

 あと、収集活動について、教育長もお答えになりましたけども、収集活動については、当面は、財政的に厳しいということでございますので、先ほど教育長も 答えられたコレクション、市民のコレクションはもとより、寄託とか寄贈について、その辺を中心に収集していかざるを得ないのかなというふうに思っておりま す。
 私の方からは以上です。
 もし答弁漏れがございましたら、御指摘いただきたいと思います。

○議長(都筑省三君) 行政経営担当部長。

◎行政経営担当部長(西本賢史君) 私の方からは、指定管理者の導入につきましての状況を御説明いたします。
 ただいま検討中でございます。美術博物館におきましては、やはり企画という点が非常に重要なウエイトを占めてくるところと考えております。そういった意 味で、複数年にわたる計画ができること、また、リーダーシップのある館長を含め発展に向けた人材、企画力を広く集めることができることから、指定管理者制 度の導入ということを検討しているところでございます。しかしながら、実際にそれだけの能力を持った団体・会社というものがなかなか少ない状況であること も事実でございます。

 これらのことから、市の責任を放棄することなく、引き続き導入の検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○議長(都筑省三君) 中島議員。

◆8番(中島健一君) 3回目の質問をさせていただきます。
 美術博物館の安定的運営のための体制をどうしていくかというのは、やはり悩ましいとこだと思います。

 今、最後に御答弁がありましたけども、市の責任をあいまいにすることなくやっていきたいということの御答弁がありましたので、そこはぜひ守っていただき たいと思います。

 教育長の方からは、市の直営が望ましいがということの前提で、それでもやはり今の状況では指定管理の方がいいだろうというお話がございました。

 指定管理そのものは私も否定はしませんけれども、やはり任せるとなると、それなりの、メリットだけではない、デメリットも発生してくるかと思います。な おかつ、私は、今の現状の中で、人材が不足しているのか、あるいは企画力はないのかということも、そんなふうには思っておりませんので、ぜひとも、できた ら指定管理者で続けていっていただけたらなというふうには思っております。

 それで、積極的なPR、学校との連携のとこに少し戻りますけれども、残念ながら、すべての学校とはまだ連携ができていない、特に山手地域が課題だという ことでした。

 美術館とか博物館というのは、本来は、社会教育施設として、子供を含め、教育や文化の発展に寄与するものであるということは、これは皆さんも御存じかと 思いますけども、実は、2004年度から始まった文部科学省の「子どもの居場所づくり新プラン」においても、この美術館、博物館というのは、その拠点とし て子供たちの文化活動を支援する役割は期待されているところなんです。ですから、山手地域が課題というふうに課題が明確であるからこそ、それをどうクリア していくのかということを、ぜひとも、今後、積極的に解決に向けてやっていっていただきたいと思います。

 美術館をこれから、美術館、博物館をですね、これから芦屋市の中に根づかせていくためには、やはり子供たちに、美術館、博物館のよさ、楽しさ、そういう ものを知らしめていくことが必要だろうと思います。

 といいますのも、小さな子供たちにこそ、そういった文化的なものに触れさせるということが、追い追い大人になってから教養のもとにもなっていきますし、 あるいはまた、おとなになってから、そういった展示物にまた見てみたいなと思いを抱かせる、足を運ばせる原動力になっていくんですね。ですから、学校との 連携というのは種をまく活動だというふうにも思うところです。

 それと、先ほどの山手地域が課題だということでしたが、具体的にその課題をクリアしていくためにどのようにされていくのか、お聞かせいただきたいと思い ます。

 あと、コレクションの活用について、先ほど御答弁なかったんですけれども、国内外、高い評価を得ていて、積極的な貸し出しをしていくということなんです けども、具体的にはどのぐらいの数、貸し出しの要望とかあるんでしょうか。

 それで、今、収蔵作品として1,500点ぐらいある中で、約8割は具体の美術だというふうに聞き及んでいるんですけども、それらは眠らせているのは非常 にもったいないと思いますので、積極的に貸し出しをして収入を上げていくということも必要でしょうし、巡回展などでほかの館との連携も、やはりこれは大切 だろうと思いますので、その点、ぜひお願いしたいと思いますので、御答弁ありましたら、よろしくお願いしたいと思います。

 あと、美術品収集のための寄附というところでは、寄託、寄贈が中心になるだろうというふうなお答えがありました。確かにこれが、今の時点では寄託、寄贈 が中心にならざるを得ないのかもしれませんが、では、美博の方から市民に向けて、美術博物館を安定的に維持運営させるため、あるいは美術品を収集するため に御協力いただけないかというPRがあるのかといえば、私はまだまだ不足しているかなと思うんです。ですから、遠慮することなく積極的に美術品収集のため の寄附を呼びかけていくことも私は必要だろうと思います。

 その点で、今の美術博物館の中でのお考えを再度お聞かせいただけたらありがたいと思います。
 あと、館長の役割というのは、できるだけ早く専任が望ましいということでしたが、お話しを聞いていると、指定管理者になってから専任の館長を置くみたい な感じに聞いているんですけれども、もし何も問題なければ、早い時期に館長を専任の方にお願いするということもできるのではないかなと思うんですが、その 点はいかがなのか、再度お聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

○議長(都筑省三君) 社会教育部長。

◎社会教育部長(橋本達広君) 答弁漏れがございまして、すみませんでした。
 まず、コレクション展の貸し出しについてのことでございます。
 まず、写真等も含めまして20点程度でございます。それと、ほぼ、ほとんどが具体に関係するものでございます。

 それに限らずその他の作品についても、要望等がありましたら積極的に貸し出したいということと、貸し出しだけじゃなくて、それと交換というんですか、で きるような戦略をこちらも、美術博物館等も持って、借りたり、貸したりできるような関係を築いていくことが大変重要であるかなというふうに思っておりま す。

 それと、山手地域との連携でございます。先ほど申し上げましたように、秋山先生を中心として、どういうふうな連携ができるかというのもちょっと検討して いきたいなというふうに思っております、具体的には、今、特にというのはございませんが。

 それと、遠慮せずに市民に寄附をPRしたらどうかということで、確かに企業への、市民だけじゃなくって、企業への寄附というんですか、企業メセナへの働 きかけとかそういうことも考えられるかなと思います。

 それと、まあ、大原美術館におきましては、そういった一口30万円というような形でやっております。ただ、収集についての寄附は募っているところは少な いんじゃないかなと。収集して、館がまた施設の改修等について使うというような形での寄附はあるかなと思いますが、財団法人でございますので、市が直接そ ういう寄附行為を募るいうこと自体がちょっと難しさもあるんかなというふうに、ちょっと個人的には思っております。

 それと、専任の館長というのは、私が答える立場かどうかいうのはちょっとあれなんですけども、先ほど教育長がお答えになられましたように、望ましいの で、そういう条件が整いましたら、できるだけ速やかにということで申し上げる以外はないということで御理解いただきたいと思います。


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