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2004年(平16)9

○議長(来田守君) 次に、条例等の立法指針について、本件について、中島健一議員の発言をお許しいたします。

 11番中島議員。

○11番(中島健一君) =登壇=議席番号11番、中島健一です。ただいまより質問通告に沿って、条例等の立法指針についてを質問していきます。

 表題にある「条例」とは、市の法律です。市長や議員が提案をし、議会で議決され、公布、施行の過程を経て有効なものとなります。条例等の「等」の中には、規則、要綱などが入ります。規則は、市長が定めるもので、条例とほぼ同じものが制定できます。しかし、自治のあり方からいえば、でき得る限り条例にすることが必要ですし、求められているところです。要綱とは、これから進めていく質問の中でも明らかにしていきますが、行政内部の基準のようなものです。今回の質問は、これら条例等を制定する際の指針が必要だということを、幾つかの観点から質問をしていきたいと思います。

 さて、今から4年前の平成12年4月から、「地方分権一括法」が施行されました。地方分権一括法、正式には「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」といいますが、この法律は、地方分権を推進するために、475本の法律改正を一括形式で行われ、平成11年7月8日に国会で成立、7月16日に公布されました。施行は、今から4年前になります。日本には、今、約1,700の法律があると言われていますが、地方分権一括法は、実にその約3分の1の法律を対象とし、改正されました。もちろんこれだけの数の法律が一括で改正されたのは、日本で初めてのことです。当時から、これだけの法律を一度に改正するのは問題があるとの指摘もありましたが、そこは横に置き、前進面を少し見てみたいと思います。

 まず、この改正で、国と地方自治体の役割分担の原則が大きく変わりました。これまで国と地方自治体の役割分担は、必ずしも明確ではありませんでした。今回、地方自治に関する基本的な事項を定める地方自治法の改正で、この点の整理が行われたところです。簡単にいうと、地方分権一括法が施行されて、国と地方の関係は、これまでの上下関係から対等・協力の関係に移行しました。これにより、従来にも増して自治体への条例制定権が拡大し、自治体の自治立法権の拡充が言われるようになったわけです。この転換、これを好機ととらえて、各自治体でいろいろな取り組みが始まっていますが、高知県では、「高知県条例等の立法指針」を策定し、それまで不十分であった法令体系の整備や、政策法務能力の向上を図り、自治立法権の拡充をさらに進めていこうとしているところです。これはすばらしいことだと思います。単に受け身でなく、能動的に活用する。ぜひ芦屋市も見習うべきところです。

 この立法指針、今回は芦屋市独自のものを制定することが必要だと思う。この観点からの質問ですが、まず、それをお尋ねする前に、今の芦屋市の現状がどうなのか、幾つか具体的にお聞きしたいと思います。

 まず初めに、質問の冒頭で述べましたが、自主立法の種類として、法令としては、条例、規則、規程、計画や告示の一部。法令でないものとしては、要綱や通達、指針などがありますが、現在、芦屋市におけるこれらの制定状況を明らかにしてください。

 2点目ですが、現在、芦屋の法令をまとめたものとして、例規集を年度ごとに策定していますが、この例規集には、条例や要綱などをすべて記載してあるのでしょうか。以前同じような質問をしたことがありますが、私が見る限り、記載していないものも見受けられるようです。情報公開の観点からも、本来的にはすべて記載すべきものと考えます。また、現在の条例等以外にも、重要な各種指針も掲載していくことが必要と考えますが、いかがでしょうか。

 3点目は、政策上必要があって「法令」と明文化する場合、条例や規則などはどう使い分け、制定しているのでしょうか、現在の判断基準を明らかにしてください。

 さて、条例、規則以外では、さまざまな行政分野で「要綱」が活用されています。行政内部の事務手続を定めたものから、市民生活にかかわる給付行政、福祉行政などなど多数にわたります。では、この「要綱」とは何か。広辞苑によりますと、「地方公共団体が、行政指導の際の準則として定める内部的規範。住民に対しては、法的拘束力を持たない」とあります。ところが、この法的拘束力を持たない要綱による行政運営が、今なお芦屋市では大きな顔をし、幅をきかせているという現状があります。このことを「要綱行政」といいます。新自治用語辞典にも掲載されているのですから、芦屋市だけではないのでしょう。ちなみに、この新自治用語辞典では、要綱行政の言葉をこう説明しています。「法令、条例等の法規に基づくことなく、行政機関の内部的規定である要綱に基づいて行われる行政指導による行政」。
 私は、この要綱行政をすべて否定するものではありません。要綱の果たす役割は、これからもありますし、必要です。しかし、要綱の必要性も認めつつ、法令の観点からいえば、要綱行政から脱却していく必要があります。つまり、条例や規則で定めることが適当であるにもかかわらず、さまざまな理由で、一番悪い理由としては、議会の関与を避けたいということでしょうが、それも含めて、不適切な要綱行政からは抜け出さなければなりません。そう私は思うところですが、要綱行政に対する現状の問題点をどう認識しているのか、お尋ねしたいと思います。

 さて、その要綱を策定する際の法務的な審査、決裁等はどうなっているのか、これも答えていただきたいと思います。

 また、要綱を制定する際の、要綱を制定・改廃した場合、どう広報をしているのか。特に、市民と密接に関連する要綱は、告示の必要があると考えますが、この点もいかがでしょうか。
 そして、行政にとって車の両輪たる議会には、要綱を制定・改廃した際、どういった対応をとっているのか、お尋ねしたいと思います。私は、昨年の12月議会で、コンプライアンス(法令遵守)の観点で質問しました。その重要性は市長もおわかりかと思います。もとより公務員は法を遵守する義務がありますから、その点から一つ質問をしたいと思います。

 私もつい最近、判決を知ったのですが、2年前に、福岡地裁で、「条例に基づかない附属機関に対する公金支出は違法」の判決が出ました。何が問題になったかですが、そもそも地方自治法203条の5に「報酬、費用弁償及び期末手当の額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければならない」となっています。そして、附属機関の設置については、第138条の4の3項に「条例での設置」が義務づけられています。つまり、条例で設置されている附属機関でなければ、報酬を支払うことは違法ということです。地方自治法は私もよく目を通しますから、条項そのものは知っていましたが、この辺は、いわばグレーゾーンの部分が多く、今回の判決はその部分に光を差したと言えるでしょう。芦屋市にも、現在、規則、要綱等で設置されている附属機関らしきものがたくさん見受けられます。これは、法でいうところの附属機関ではないかと私がこれまで尋ねてきても、「附属機関ではなく、私的諮問機関です」と言い、きょうも同じことを質問しますが、多分同じことを言われるのでしょう。しかし、判決に照らして、そう言い切れる状況に今もあるのかどうか、はなはだ疑問なところです。仮に私的諮問機関としても、予算執行上、現状で違法性はないのか、この点にも疑問が残ります。

 そこで、改めてお尋ねしたいのですが、福岡地裁判決の内容に照らして、芦屋では問題のある点はないのか、お答えいただきたいと思います。

 法令に関して幾つかお尋ねしましたが、やはり根本にあるものは、市として、どのような立法指針で条例等を定めていくかが不明確なところに今の問題があると私は認識しているところです。高知県の指針、ぜひとも参考にして、芦屋市の条例等の立法指針を策定すべきと思いますが、市長の見解をお聞きしたいと思います。

 また、要綱行政からの脱却が急がれるとの認識を私は持っていますので、立法指針制定を待つことなく、要綱については、その制定・活用についての指針がすぐにでも必要と考えます。この点にもお答えください。

 さて、質問の最後は、法制担当者の充実についてです。法令の整備が重要なことは御理解いただけたと思いますが、それを担う担当者の負担は相当なものです。もちろんどの部署も同じだとは思いますが、とりわけ議会との関係でいえば、やはりその充実は私が指摘をしなければならないと思います。法制担当者の充実についてはいかがでしょうか、このことについてもお答えいただきたいと思います。

 以上で1回目の質問を終わります。

○議長(来田守君) 答弁を求めます。

 市長。

○市長(山中健君) =登壇=中島健一議員の御質問にお答えいたします。

 条例等の立法方針についてのお尋ねでございますが、平成16年8月1日現在での本市の制定件数は、議会、行政委員会を含め、条例202件、規則・規程330件、要綱は、内部処理的なものや短期のものを除き284件、その他訓令等74件となっております。
 例規集、要綱集への掲載につきましては、議会、行政委員会を含め、条例、規則、告示、訓令等例規となっているものすべてを掲載しております。

 また、要綱につきましても、内部処理的なものや短期のものを除き、原則すべてを掲載しております。

 また、各種指針等につきましては、掲載する方向で考えてまいります。
 なお、インターネットで公表しております例規集、要綱集は、年4回のデータ更新を行っております。

 条例や規則などの使い分けにつきましては、原則として、「条例で定める」と法令で明示しているものや、市民に義務を課し、または権利を制限するものについては、条例で定め、条例の委任に基づく事項や、長がみずから決定し、処理し得る事項で、条例で規定すべきもの以外のものについては、規則で定めております。

 また、要綱につきましては、法令や条例、規則の解釈や、実施に当たっての細部の取り扱いを規定する場合や、補助金等の交付基準や、給付事務の取り扱い、事務事業執行上の内部的事項を規定する場合などに、要綱で定めております。
 要綱の制定・改廃に伴う決裁権限につきましては、条例、規則と同様の取り扱いをしております。
 また、要綱の告示の必要性及び議会への連絡につきましては、今後、研究してまいりたいと考えております。

 福岡県若宮町をめぐる福岡地裁判決につきましては、要綱で設置している委員会等は、本市では「私的諮問機関」と位置づけており、また、委員に対する報酬は、芦屋市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例に基づき支出しており、違法でないと考えております。しかしながら、福岡地裁判決の事例につきましては、現在、係争中でありますが、条例に基づかない委員会等に対する報酬の支出は違法との判断が示されており、要綱等で設置しております本市の委員会等につきまして、所掌事務等を精査し、条例化すべきものは条例化していく方向で検討をしてまいりたいと考えております。
 条例等の立法指針や要綱制定の指針につきましては、政策法務を推進していく上で必要と考えており、今後研究してまいります。

 なお、法制担当の強化は必要であると考えますが、職員の増員は難しい状況にありますので、アウトソーシングの活用等も含め、業務の充実を図ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(来田守君) 中島議員。

○11番(中島健一君) 答弁をいただきましたので、それに沿って第2質問をしていきたいと思います。」

 要綱の制定・改廃の広報についてですが、これは告示の必要があるのではないかという質問をしたんですけれども、その点が抜けていましたので、再度お尋ねしておきます。

 議会の対応についてですけれども、「今後、研究をしていく」というふうに答弁がありました。制定・改廃の告示の件ですね。「議会については、今後、研究」というふうな答弁がありましたけれども、6月1日に、生活環境部保険年金課の方から、「議員各位」ということで、これ入院給付金要綱の廃止のお知らせがボックスに入っていました。今回こういうのは初めてだったのでね、驚いたんですけれども、こういう形ででも連絡することは、私は十分できるのじゃないかなと思うんです。ですから、「研究」ではなくて、もうすぐにでも対応をしていただきたいと思うのですが、その点はいかがでしょうか。制定・改廃、そういうものがあった場合には、議員にも連絡をする。これは当然必要だと思います。

 それで、例規集についてなんですけれども、すべて掲載しているというお話がありましたが、載ってないのがね、結構あるんじゃないかなと思うんですよ。例えばですね、「スポーツクラブ21ひょうご推進委員会」、これ御存じですかね。平成13年の2月に、設置要綱に基づいて設置をされています。ところが、13年に設置されたにもかかわらず、要綱集、この分厚いやつですね、これにも載ってないし、頻繁に更新がされているホームページの方にもこれは載ってないんですよ。ですから、私は、要綱を見たくても、手に入れることできませんし、このほかにもですね、これは、ことしの5月に設置されているんですけれども、「芦屋市まち・人・くらし活性化推進懇話会」、これも設置要綱に基づいて設置をされています。9月に、9月1日付で発行されたこれには載ってないんです。5月だったら、当然間に合ってしかるべきだと思うんですけれども、前回の質問のときに、教科書選定協議会、選定協議会規程だったかな、それは載ってないということを言ったんですけれども、現在に至ってもそれは載っていないし、もう一度各担当部署から、要綱や規程、漏れがないのか、それを徹底的にチェックしていただきたいと思うのですが、その点はいかがでしょうか。

 もう少し言うとですね、ホームページに附属審議会とかの「附属審議会等」ということで紹介がされていますけれども、そこに載っていない「附属審議会等」というのがたくさんあるんですよ。例えば、芦屋市予防接種健康被害調査委員会とか、景観アドバイザー会議であるとか、あるいは人権啓発推進懇話会設置要綱であるとか、そういったものが載っていませんし、公共事業評価監視委員会、これすらもホームページの方には載っていないんですね。ですから、この例規集、要綱集、で、ホームページの方にもすべて漏れのないようにお願いいたします。これから載せていかれるのかどうか、再度お返事をいただきたいと思います。

 先ほど、指針等は載せていくのを考えているということですね。それはもう大変結構なことですので、ぜひよろしくお願いをいたします。」

 条例、規則の使い分け、判断基準はいろいろお話がありましたけれども、要綱行政についての問題認識、持っておられるのかどうかということは、ちょっと答弁の中になかったのではないかなということで、これは再度御答弁いただきたいと思います。

 指針の方については、これから研究課題だということなんですけれども、「研究」じゃなくて、もうぜひともすぐね、検討、制定に向けて頑張っていっていただきたいと思います。要綱の多用をしながら行政を進めていくというのは、これは非常に大きな問題ですよね。法令でない要綱に基づいて行政を行っていく。これは、だれしもが素直に考えれば、問題が大きいものだとおわかりになっていただけるかと思うんですよ。内閣法制局の参事官を務められた松永さんという方が、この要綱行政について少し言われているんですけれども、「法律による行政の原理という観点から、要綱の法的性格を見た場合には、正規の法規定立手続に従って制定されるものではなく、自治体内部の執行部の限りで策定、改廃されるもので、形式的な合法性は欠ける。したがって、要綱は、法的に見れば、一般事務取り扱いの基準、行政指導の指針を定めたものとしかいえない。要綱自体は、法律的には無であり、法的な拘束力を持つということはない」と、こんなふうにおっしゃっているんですね。ですから、私は、要綱行政を脱却していくために、この立法指針が必要だという観点で、今回、質問させていただきました。

 この立法指針、市長の方はもうごらんになられましたかね。「高知県条例等の立法指針」ということで、すごいいいものができています。立法指針の意義や、あるいは地方分権時代の自主立法の意義など細かくね、書いてあります。要綱行政については非常に問題があると、具体的にどんな問題があるかといいますと、まさに先ほどの本の紹介のとおりに、要綱によって規定された正当性がわかりにくい。二つ目には、体系的な管理が不十分。これ、体系的にね、芦屋市も全然管理されてないみたいですしね、3点目には、公平性・透明性が保障されにくい。これは、芦屋市にとっても、本当に同じことが言えると思うんですよ。実際市民の方は、要綱なんていうものを、存在すらも知らなくて、知らない方が多いんじゃないですかね。そういうことを考えれば、この要綱の問題点を解消していくためにも、要綱行政から脱却していく。そのためには、この立法指針というものが私は必要だと考えます。ですから、この立法指針、「今後の研究」ではなくて、すぐにでも策定に向けて検討をしていくべきではないのか、改めてお尋ねしたいと思います。

 立法指針の必要性については、もう一つの観点からいいますと、先ほどの判決にありました附属機関の観点からいいますと、非常に大きな問題があると思うんですが、現在、芦屋市に附属機関は幾つあるのかな。この前質問したときに、たしか50近くあったんですよね、芦屋市にも、「附属機関等」というものが。実際、条例に基づいて設置してある附属機関、規則・要綱に基づいて設置してある私的諮問機関というものがありますけれども、問題なのは、規則・要綱によって設置されているものが、やはり大きな問題になってこようと思うんですよ。条例によって設置されているものも、それが本当に妥当なのかということもまだありますけれども、今回メインにしたいのは、やはり規則・要綱で設置されている機関が、それが妥当なものであるのかどうかということが、やはり問題だと思います。

 地方自治法で、先ほど質問の中で聞きましたけれども、138条の4には、執行機関の附属機関として、いろいろな機関を置くことができると、こういうふうに定めてありますよね。その行政実例解釈の中には、「附属機関たる性格を有するものは、名称のいかんを問わず、臨時的・速急を要する機関であっても、条例によらなければ設置できない」というふうになっているんですよ。これに照らしてみれば、芦屋市のいわゆる私的諮問機関がどうなのかというのが、本当に問題になってくるところなんですが、そこで一つお尋ねしたいんですけれども、当局のいわれるところの附属機関と私的諮問機関との違いはどこにあるのか、お尋ねしたいと思います。具体的にいうと、どう使い分け、設置をしているのかですね。

 判例をちょっと御紹介しますと、もう市長の方も判例の方はごらんになったかと思いますが、何が問題になったかといいますと、福岡県の若宮町というところなんですが、規則で「まちづくり委員会」というものが設置されました。そのまちづくり委員会で報酬を出したわけなんですね。規則によって設置されていますから、私的諮問機関というふうに行政は言っていますが、報酬を出したから違法だということでいってるんですけれども、この裁判の大きなところは、行政側のいう私的諮問機関の解釈というのは、独自の見解であるというふうに断定をしているんですよ。これは長くなりますからちょっと紹介できないんですけれども、端的にいいますと、2点大きなことが言えるんですね。つまり、1点目は、条例で定める附属機関でないものに報酬を出すのは違法ということなんですよ。2点目には、いわゆる私的諮問機関といえども、この判例に沿っていえば、附属機関と判断しなければならないものが現在たくさんあると、それらは条例で設置をしなければなりませんよと、こういうふうなことが言えると思います。

 この判決に従って芦屋市の各種附属機関をちょっと見てみると、やはり問題がたくさんあるのと違うかなと思うんですね。例えば、「芦屋市まち・人・くらし活性化推進懇話会」、これは、ことしの5月18日、設置要綱で設置をされました。これはね、私はね、私的諮問機関でいいと思うんですよ。復興10年総括本部に意見を述べるようなことが、趣旨が大体書いてあるんですけれども、問題なのはですね、その設置要綱の第6条に、「委員が懇話会に出席したときは、別に定めるところにより、報酬を支給する」、こう明記してあるんですね。私的諮問機関でありながら、報酬を支給するのは、これは明白な違法行為なんですよ。この点について、どういうふうな御認識をお持ちなのか、お聞きしたいと思います。

 判決の中では、委員会が、いわゆる私的諮問機関と言われる組織が、どういう目的で、趣旨で設置されているかということと、その事務局をどこが担っているか。どこが担っているかというところが判断の分かれ目だというふうに書いているんですね。つまり、私的諮問機関であっても、調査研究や審議をし、あるいは市長に提言を述べるとか、そういうものであれば、それはもう附属機関ですよと、また、事務局が、例えば総務部総務課にあったり、教育委員会のどこかに事務局がある場合には、それも附属機関ですよというふうに言っているんですね。それに照らしてみればですね、例えば、最近市長が独自の権限で定められた「入札監視委員会規則」、これは、まさに審議を行って、調査をして、審査を行って、市長にこうなりましたよと報告する形に、形式になっているんですよ。委員会の庶務も「総務部契約検査課において処理する」というふうになっています。私は、これは明白な附属機関だと思うんですね。もう一つは、「指定管理者選定委員会設置要綱」に基づいた、これは議会の中でもいろいろ言われていましたが、これも明確な附属機関だと思うんですね。その点について、当局はどのような認識をもっておられるのか、再度お聞きしたいんですけれども、この「指定管理者選定委員会」、もう一つ、規則によって制定された「入札監視委員会」、この二つは私的諮問機関なんですか、その点をもう一度お尋ねしたいと思います。

 それで、法令に反するものとして、まだたくさんあるんですよ。この二つだけじゃ……、先ほど言った「芦屋市まち・人・くらし活性化推進懇話会」だけじゃなくて、「予防接種健康被害調査委員会設置要綱」に基づいて、これも設置要綱ですから、私的諮問機関と言われるのでしょうけれども、これも報酬からお金が出ているんですよ。いや、実際報酬、お金は出ていません、開かれてませんからね。でも、予算書や決算書を見ると、「報酬」のところでこの委員会の分が出ているんです。つまり、これは附属機関なのか、それとも私的諮問機関なのか、その辺がはっきりしてないんですよ。そのような、同じような委員会が多数見受けられます。「芦屋市人権教育・人権啓発推進懇話会」、これも設置要綱に基づいて設置されていますから、報酬は出せないはずです。ところが、「報酬」としてお金が出ている。これも明白な違法行為ですよ。それと、「公共事業評価監視委員会」、これも設置要綱に基づいて設置をされています。これはね、設置要綱を見ると、委員会の人には報酬を出すとは言っていないんです。謝金を出すということで、「報償」の項目に多分なっていると思うんですが、その下の第8条に「会議に出席し、又は旅行したときは、旅費を支給する」になっているんです。旅費を支給できるのは、附属機関の特別職の非常勤の公務員じゃないと出せないというふうに法律はなってますでしょう。ところが、私的諮問機関であるところのこの監視委員会のメンバーには、旅行したときの旅費を支給する。こんなふうになっているんですね。

 幾つか例を挙げていきましたけれども、このほか、ほとんどの私的諮問機関と言われる分には、判例に照らしてね、附属機関であると私は断言できるものがたくさんあると思うんですよ。それらは条例で定めなければならないと私は思うんですが、その点について、当局の御認識をお伺いしたいと思います。

 後は、そうですね。以上2回目の質問を終わります。

○議長(来田守君) 佐藤総務部長。

○総務部長(佐藤稔君) 中島議員の再度の御質問にお答えをいたします。

 多岐にわたっておりますので、答弁漏れがございましたら、また御指摘をしていただけたらと思っておりますが、まず、要綱の件につきまして、告示の必要性のことでございますが、この件につきましては、他市の状況もこれを見まして、今後また検討をしていきたいと思っております。
 それから、議会への要綱のその通知といいますか、連絡といいますか、議会への対応でございますが、市民生活に大きくかかわるといいますか、いわゆる影響する要綱の制定、それから改廃につきましては、議会に連絡する必要があると考えておりますので、今後そのようにしていきたいと思います。

 それから、例規集の方にすべて載っていると答弁があったがというふうな御指摘でございますが、先ほど市長の答弁の中で、要綱につきまして、「内部処理的なものや短期的なものを除き」ということでございますので、内部処理的な要綱、それから短期的に規定した要綱につきましては、要綱集には記載をしておりません。

 それから、附属機関のそのホームページに載せていないじゃないかというふうな、附属機関の中で、議員今御指摘をされました幾つかの分で、ホームページ等に載っていないじゃないかというふうなことと、あわせて、少し質問、飛びますが、質問の中で、要は、附属機関と諮問機関の違いというふうなことでございますが、先ほど議員おっしゃいました附属機関につきましては、私どもとしましては、諮問機関と、いわゆる附属機関ではないというふうに現時点では考えておりますので、掲載をしていないということでございます。

 それから、諮問機関と附属機関の違いといいますのは、その組織、それから目的、機能等について具体的に検討をする必要がございまして、そのことが合議制の機関としての機関意思が表明されることはなく、個々に委嘱された出席者が、事実上研究会や懇談会として会合をされて、その意見表明や意見交換をする場に過ぎないというふうな場合でありますと、これは私的諮問機関というふうな判断でございます。ただ、附属機関と私的機関のその明確な区分といいますか、すみ分けといいますのは非常に微妙なところ、いわゆるそのボーダーラインといいますか、明確にこう区分するのが非常に難しくというふうに思っております。
 したがいまして、先ほど議員の方から御紹介をしていただきました福岡地裁の判決といいますか、今は係争中でございますけれども、その判決に基づきまして、いま現在、条例に基づかない委員会等に対する、いわゆる要綱等で設置しております本市の委員会等につきまして、今後、所掌事務を精査いたしまして、条例化すべきものは条例化していきたいと。これも先ほど市長が答弁させていただきましたが、そういうふうに考えております。

 それから、要綱行政のことでございますが、要綱行政をどのように認識かということでございますが、要綱の制定につきまして、二、三点どんな場合に要綱を制定するかというふうなことで、これも市長の方から御答弁させていただきましたが、従来、規制的な行政指導をするに当たって、その内容をまとめたものを要綱で制定をしておった。具体的には指導要綱等でございますが、そのあたりは、問題がある。いわゆる要綱行政の問題点というふうなことでございまして、この分につきましては、地方分権一括法の見直しの中で、一定本市整理をした部分があると考えております。

 それから、指針ですね、立法指針のことでございますが、今後、研究をしてまいりたいということでございます。

 ただ、これも、やはり、どう申し上げますか、いま現在、『文書法制の実務』という冊子を、本市、作成をしておるわけですが、その中で、条例・規則の意義、それから改正手続等について定めておりますが、今後この内容を充実をしていきたいというふうに考えております。また、毎年、「法制執務研修」を職員に対して行っておるわけでございますが、その折に、職員にその要綱の意義とか考え方、このあたりをさらに周知をしていきたいと考えておるところでございます。
 それから、要綱の中で記載されてない云々と、もっと市民の方へ周知をというふうな御質問もあったかと思いますが、その件につきましては、本市の情報コーナーであるとか、それから、ホームページの方に一定要綱集も置いておりますし、それからホームページの方にも掲載しておりますので、他市に比べますと、本市の場合、公開度はすぐれておるのじゃないかなというふうに思っております。

 それから、入札管理委員会と、それから指定管理の選定委員会についての考え方ということでございますが、これも本来といいますか、附属機関は当然条例で制定しなければならないという規定でございますので、現時点では、いわゆる附属機関というふうな位置づけにはしてございません。ただ、先ほど申し上げましたように、福岡地裁の判決等もございますので、今後、そのあたり、見直していくべきものは見直していきたいというふうに考えております。

 ちょっと答弁漏れがあったかもわかりませんが、以上でございます。

○議長(来田守君) 中島議員。

○11番(中島健一君) いろいろ問題点をね、当局の方が認識をされ、これから修正していくんだという意思表明がされれば、私は、間違いはだれでもあるかなとは思うんですけれども、その点をやっぱりはっきりしてもらわないと困るんですよ。ただ単に、見直しをしていく中で条例化していきますということでは、私は足りないんじゃないかなと思うんですよね。まず、現実的に今どういう状況なのかということを認識してもらって、その上で、やっぱり条例化あるいは規則化を必要なものはしていくということが必要になるでしょうしね、そのためにも、やはりどういうものを条例化にしていくのか、あるいは私的諮問機関から附属機関に格上げしていくのか、この基準というのが必要になってくるでしょう。だからこそ立法指針が必要であり、要綱の制定をしていくための指針、これも必要であるというふうに私は1回目の質問で言ったんですよ。それについては、「これから研究」とか言われてますけど、見直しをしていくなら、研究の段階ではなく、もうすぐにでもつくる必要があるでしょう。ですから、もう一度最後お尋ねしますけれども、立法指針を、研究でなくて、もうすぐつくってください。で、立法指針、これをつくるといっても、やっぱりいろいろ話し合う時間が必要でしょうから、それまでの間にも、要綱を制定する場合の制定指針、これはぜひ私は必要だと思います。

 各市見れば、いろいろ皆さんやってはりますよ。もう資料これお渡ししているので、担当者の方もおわかりかと思うんですが、高知県は立法指針をつくって、今、取り組みをされているんですけれども、そのほかのところでも、千葉県などにおいても、「審議会等の設置及び運営等に関する指針」の中についてですね、「要綱に基づいて設置された協議会、懇談会の中で、調停、審査、答申又は調査を行うものは……(中略)……すみやかに既存の附属機関との統合又は条例を根拠とする附属機関への移行を行うものとする」というふうなことを出して、取り組まれていますし、資料がどこかへ行っちゃって、三重県では、同じ入札監視委員会、ここはですね、ちゃんとやっていますよ。入札監視委員会は、条例に基づいて設置しています。公の施設の指定管理者の指定手続についても、これを条例で定めている市も、これは何カ所もあります。ですから、同じことをやっているものが、ある一方の市で条例化して附属機関である。で、一方の芦屋市では私的諮問機関である。これは裁判になったら、負けると思うんですね。ぜひとも速やかに指針を定めて、対応をしていただきたいと思います。

 それと、私的諮問機関と附属機関との違いについてなんですけれども、合議制でない個々の意見表明のみのものが私的諮問機関であるというふうに、答弁の中で2回目におっしゃいましたけれども、個々の表明ですか、例えば、指定管理者委員会とか。個々の表明なんです。もう決定しているのじゃないんです。入札監視委員会もそうでしょうし、健康被害調査会とかも、これも事が起こったらそうなるのでしょうし、ですからね、やはり各いろいろ見ていくと、問題点が多岐にわたっています。本当に多岐にわたっています。ですから、一度これは行政の方として急いで検討をしていただきたいと思います。

 それと、福岡の裁判については、係争中と言われていますけれども、もうお互い和解されて、お金をたしか町の方が払ってますわ。つまり、どうなるのかな。町の方がお金を払って、和解をしたということだけ、これはお知らせしておきます。

 それと、要綱の制定・改廃の告示の必要については、他市の状況を見て、今後検討をしていくということなんですが、例えばですね、長崎なんですけれども、ここはね、きちんと「要綱の制定に関する要綱」というのをつくっていまして、「要綱をつくる場合には、これこれ、こういうものを要綱にしていきますよ」で、「審査、決裁はこういうふうにしていきますよ」というものをつくっています。新潟なども、「要綱の作成及び審査についての要綱の解釈と運用について」なるものをきちんと明文化して、これを各部署に渡して、これに基づいてやりなさいというふうになっているんですね。その中には、要綱の周知については、市民の権利及び自由の制限に係る行政指導や重要なものについては、きちんと制定・改廃した場合には、告示をして、必要に応じて公表をするというふうにもなっています。ですから、先例ね、探せば幾らでもあります。ですから、それを見習って、他市の状況を見ながらと言っていますから、それを見習ってぜひやっていただきたいと思います。

 それで、議会対応については、きちんと今後通知するということですから、ぜひとも通知をしていただきたいと思います。6月で審査を行われました指定管理者制度のときには、選定委員会の要綱がまだできていないといいながら、7月7日の告示の日に要綱が告示されています。ですから、そういった場合にはね、あれだけ問題になっているんですから、議会側にやっぱり連絡する必要もあるでしょうし、資料配布も必要だったのじゃないかなというふうに思います。

 あとは、例規集について、短期的・内部的なものは載せていないと言われていますけれども、内部的なもの、たくさん載っているじゃないですか、現在でも。載ってませんか。こんなもん載せる必要があるのかなというのもたくさん載ってるんですよ。ですから、そういった使い分けをするのでなくて、要綱というものはすべて載せていくということは、私は必要じゃないんかなと思うんですよ。それをすることによって、私ら議員も、行政側がどんな仕事をしているのか、どんな基準に基づいてやっているのかというのがよくわかりますからね、ですから、指針は載せていくというふうに、載せていくものを考えてという答弁がありましたから、例規集については、現在、市の内部にある要綱、あるいは、いろんなものについてですね、原則的にすべて載せていくという答弁をぜひいただきたいと思うんですが、この点は再度お尋ねしておきたいと思います。

 先ほど、これは違法ではないかなという点については、なかなかはっきりした御答弁なかったんですけれども、まあいいですわ。終わります。

○議長(来田守君) 総務部長。

○総務部長(佐藤稔君) 中島議員の3回目の御質問にお答えをいたします。

 まず、立法指針の制定の件でございますが、やはり法制の執務を行っていく上に、当然必要と考えておりますので、今後、これも精査していかなければならないと思っておりますので、今、議員もおっしゃっていただきましたが、すぐにというわけにはまいりませんので、これは本当に研究をしてまいりたいというふうに考えております。

 それから、附属機関と、それから私的諮問機関の区分の件で改めて御指摘をいただいたわけでございますが、先ほど御答弁させていただきましたように、どれが附属機関か、あるいは、どれが私的諮問機関かという、その区分というのは、なかなか微妙な線引きのそういう諮問機関なのか附属機関なのかというふうなのもございますので、この点も、やはりきちっと今後研究をしていきまして、また、改めるべきものは改めてまいりたいというふうに考えております。
 それから、要綱の件でございますが、先ほど2回目の御質問の中で、いわゆる決裁区分の御指摘がございましたが、要綱につきましても、条例や規則と同じく、決裁区分は市長決裁でございまして、そして、法制担当の私どもの所管の方へ合議が回ってまいります。ですから、条例や規則と同様に審査をきちっと行っておるものでございます。
 要綱の掲載、すべて掲載すると言い切れないかというふうなことでございますが、やはり、この点につきましても、本市、先ほど申しましたように、要綱集等の整理もきちっとできているものと思っておりますし、ただ、その中で、内規的なものについて、すべてそれを掲載できるかというのは、ちょっといまいちどこれも研究をしてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

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