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2011年(平23) 8月18日 議会レポのロゴ No.番外

※あたりまえ

今週号は、法話を2編ご紹介します。何かを感じて頂けたら幸いです。

 江戸時代文化文政の頃、筑前の国、現在の博多聖福寺に仙高ニ言われる和尚さんが住職しておられました。

 ある年のお正月、黒田藩の役人が聖福寺に年始に参り、仙高ノ「何かおめでたい ことを書いて下さい」とお願いします。仙高ヘ「よしよし」と、すぐさま筆をとりますと、なんと「親死ぬ、子死ぬ、孫死ぬ」と書かれたのです。役人は顔をし かめて、「めでたいことをとお願いしたのに、これは何事ぞ。親死ぬ、子死ぬ、孫死ぬなど、縁起でもない」と怒り出します。すると仙高ヘ「そうかのう、孫死 して子に先立たず、子死して親に先立たず、家に若死にが無いほどめでたいことがこの世にあるのかのう」と言われました。それを聞いた役人は、なるほどと充 分にその意味を理解し、「その通り、これほどめでたいことはない」と喜んでその書を頂いて帰ったという逸話があります。

 私達は普段本当にめでたい有り難いことを見落として毎日を過ごしてはいないで しょうか。仙高ヘこの語を通して特別めでたいことなど言わなくとも、私達の身近にはめでたいことが存分にあるのだ、あたりまえのことこそが実は有り難いの だと教えて下さっているのではないでしょうか。

 今朝も目が覚めたことが有り難い、歩いていることが有り難い、話していること が有り難いのです。私達はこの有り難いことをついつい「そんなことあたりまえ」の一言でかたづけていませんでしょうか。あたりまえのことにじっくりと目を 向けてみると、私達はすでに満ち溢れた毎日を生かされているということが必ず解るはずです。

 「有り難い」とは、難しいことが有るということです。難しいことが有るからこそ大いにめでたいのです。

 今、日本は東日本大震災という大きな地震、そして津波、福島原発の放射能漏れ と何重もの災害で多くの犠牲者を出し、そして被災された方々は大変不自由な毎日を送っておられます。ご冥福を祈り、またお見舞い申し上げると共に普段あた りまえだと思っていたことは決してあたりまえのことではなく、実は特別なことであったのだと痛感させられました。

 私達は毎日特別なことをさせて頂いているということを忘れてはならないのです。身近なあたりまえが実は特別なことで、これほど有り難いことはないと思えてこそ人間は幸福であるのです。

長崎県 ・是心寺住職  辻良哲

※幸せの「はひふへほ」
 ある日、知り合いがやってきて、幸せの「はひふへほ」を教えてくれました。ごくやさしいことばなので、すぐ覚えられました。

     幸せの「はひふへほ」

       は 半分でいい
       ひ 人並みでいい
       ふ 普通でいい
       へ 平凡でいい
       ほ 程々でいい

 なるほどと思って友人に出典を尋ねたところ、わからないという答え。もしこの文を読まれて、出所をご存知の方がいらっしゃるなら、是非教えていただきたいと思います。

 それにしましても、幸せは半分でいいというのは思い切っています。腹八分とか 欲八分とは聞いた事がありますが、半分とはずいぶん内輪です。しかし考え方を変えると、私たちの幸せは、自分で形作っているようでいて、そのほとんど他の 人たちのお蔭であることが多いと思います。生きている方ばかりでなく、すでに亡くなった方からのプレゼントであることも沢山あります。してみると、生意気 を言わず、半分でいいと考えるのが至当かもしれません。私には、どこからか「知足」ということばも聞こえてきます。

 「人並みでいい」と「普通でいい」は、同じようなことばですが、前の方は外側 から見て、まわりと同じと述べているような気がします。後の方は私たちの心の内側から当たり前でいいと、つぶやいているような感じがします。「普通でい い」と言う時、私たちは実にリラックスして、ホッとしますから不思議です。

 平凡は非凡に通ずると言いますが、当たり前のことを心を込めてすることは、と ても大切なことだと言えます。私たちの宗祖である臨済禅師は、「服を着ることにも、ご飯を食べることにも、トイレに行くことにも心をこめて行なうことが生 きていく上の基本です。おろそかにしてはいけません」と述べていますが、平凡なことの中に真実が宿っているのではないでしょうか。

 最後は、中庸といいますか、程々です。気負うことなく、自然体で日を送りたいと思います。友人からもたらされた「はひふへほ」で、私の心も軽くなりました。

秋田県 ・開得寺住職  新野建臣

 出典 臨済宗黄檗禅 サイトより http://www.rinnou.net/

(市会議員・中島健一)


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