2011年(平23) 5月26日
No.510
※ちょっと困った…
選挙結果について、異議申し立てが出されていることはお知らせしましたが…、実はその余波が立候補者を襲っています。
選挙に出るには、供託金を納めなければなりません。その供託金が今回の異議申し立てによって、しばらく返ってこないのです。戻ってくるのを当てにしていたこちらとしては、本当にトホホ、です。
※1票差の行方と供託金
供託金というのは、選挙での候補者乱立とならないよう、ある一定の金額を法務局に預けるというものです。
「公職選挙法第92条は、町村議会議員選挙を除き、選挙に立候補の届け出をする
者は、それぞれの選挙ごとに定められた金額かそれに相当する額面の国債証書を法務局かその下部機関に寄託しなければならないとしています。これを供託とい
い、選挙における候補者の乱立を防ぐために定められました。」(出典=ザ・選挙大辞典)
もちろん、選挙後その供託金は基本的には返ってきますが、定められた得票数に達しなかった時や立候補辞退などの場合、供託金は没収されます。
この供託金は選挙後すぐ返ってくるかというとそうではなく、2週間後となっています。この2週間というのは選挙結果への異議申し立て期間で、期間内に異議申し立てがなければ当選効力が確定し供託金が返ってくる仕組みになっています。
しかし、異議申し立てがあると選挙結果が確定していない状況が続くことになり、そのため供託金も選挙結果が確定するまで返金されない訳です。
芦屋市選管では、異議申し立てに対して棄却したと聞き及んでいますが、まだ県選管への申し立てもできますので、供託金が返ってくるまでにはかなり時間がかかりそうです。ちなみに東京都中野区では2003年の選挙において1票差で落選した候補者が異議を申し立てています。
その結果は…
※1票の重み
中野区選管では棄却、都選管では異議申し立てを認め最下位当選者を無効に、今度は無効とされた人が裁決を不服として提訴。その後高裁、最高裁までいきました。最高裁は都選管の決定を支持、次点者が1票増え最下位当選と同数と判断されたのです。
このように最後の1人の枠に同じ得票者が2人いるときどうするか。これはくじ
(抽選)で決めることになります。中野区では当選者を決める抽選を、「1」「2」の数字が書かれた棒のくじを使って、2回行ったそうです。1回目で抽選の
順番を決め、次で「1」を引いた候補者が当選人となる。こんなくじは引きたくないものですね。
そして、そのくじの結果は…
なんと次点だった人が「1」を引き当選人となったのです。そのときのコメント
は、当選が決まり「1年間は長かった。私の選挙が、ようやくいま終わった。一票の重み、厳しさを痛感させられた」。一方、一転して落選となった人は「しょ
うがない。この試練を人生の教訓にしていく。次回選挙も出る」と話したそうです。
そう、1票は本当に重いものなのです。
○立候補に必要な供託金
衆議院小選挙区 300万円
衆議院比例区 600万円
参議院選挙区 300万円
参議院比例区 600万円
都道府県議会の議員 60万円
都道府県知事 300万円
指定都市の議会議員 50万円
指定都市の長 240万円
指定都市以外の市議会議員 30万円
指定都市以外の市の長 100万円
町村長の選挙 50万円
町村の議会議員 供託金なし
今回の市議選で得票数が足りずに供託金を没収された人は1人でした。ちなみに供託金没収の分かれ目は、112票です。
さて、候補者の乱立を避けるという供託金。でも国政について言えば高すぎるような気がするのは私だけでしょうか?
世界各国を見てみると…
アメリカ、ドイツ、イタリアでは選挙における供託金制度そのものがありません。フランスでは約2万円の供託金が必要でしたが、これすらも批判の対象になり1995年に廃止となっています。
他の国では、
韓国 約150万円
イギリス 約9万円
カナダ 約7万円
シンガポール 約3万5千円など
ところで私の供託金、いつ返ってくるのでしょうか…
(市会議員・中島健一)
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