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2004年(平16)3月25日 議会レポのロゴ No.213

県芦に単位制導入?

マスコミが報道した「県立芦屋高等学校への単位制導入」はあまりにも突然でした。教育委員会の資料や情報を総合してこの経過等を少し詳しく報告します。

そもそも芦屋と神戸第一学区を統合し、生徒の選択の幅を広げる方向が確認されたのが昨年の事。統合にあたっては、県教育委員会、神戸市教育委員会そして芦屋の教育委員会とが協議し「神戸第一学区内(芦屋学区を含む)の進学率については、統合時の定数を最大限、努力し、尊重する」との合意の下準備が進められていたところです。
実現する平成17年度に向け、生徒も保護者も、そして学校や教師も初めての経験という事で緊張した日々を過ごしているといっていいでしょう。

教育委員会に来訪者

先月の23日に芦屋の教育委員会に県教育委員会高校教育課の参事が来訪。口頭で「県立芦屋高等学校の単位制の改変について」を連絡。その内容は…

1、 学年による教育課程の区分を作らないで、必要な単位数を習得する事により県芦の伝統である生徒の自主性を尊重した教育活動になる。
2、 2年3年に自由選択や県芦独自の教科の設置により、ひとりひとりの進路について主体的に対応できる。
3、導入の時期について、平成17年を考えている。
4、全県からの推薦入試枠については、今後検討する。
の4点。

 この時点で市教育委員会が困惑した事は間違いないでしょう。この間その対応に努力していた事も想像できます。しかし、新聞報道まで議会に情報を伝えないのは問題があるところ。それは置いておくとして、単位制が導入されると何が問題なのか。

開門率が下がる?

 単位制そのものの是非はここでは触れません。しかし、単位制が導入されると予測されるのが開門率の低下です。全県下から学生を募集し、神戸・芦屋以外の生徒も集まるのですから必然的芦屋の生徒の枠は狭くなる事が予想できるからです。
学区が統合するという節目の時期に、なぜ単位制導入を持ってくるのか、率直に県教育委員会の対応には不信感を抱きます。神戸市の教育委員会もこの導入の件では、不信感をあらわにしているところです。それはそうだと思います。先ほど紹介した3教委の協議で合意していた事項をホゴにする対応と取れるからです。

 この件が報道された翌週、芦屋の教育委員会は県教育委員会委員長武田正義氏宛てに要望書を提出しました。

○平成17年度からの県立芦屋高等学校の単位制への改変について
 現在、本市では昨年7月の発表を受け、平成17年度からの芦屋学区と神戸第一学区との統合に向け準備を進めているところでございます。

 この統合につきましては、平成13年11月1日付、芦教学第659号にて芦屋市教育委員会から通学区域の見直しと県立芦屋高等学校の募集定員増についてお願いをしたところでございます。

 しかしながら、今回の県立芦屋高等学校の単位制への改編は実質的に募集定員減になるものと考えますので、芦屋の生徒が不利にならないようご配慮願います。
 また、平成17年度からの県立芦屋高等学校の単位制への改編の時期も含めて、再度、慎重にご検討いただきますよう要望いたします。

 もう少しきつい表現でもいいのではとも思いますが、協議で合意した事項はあくまで口頭、まして県立高校の権限は県教委にありますから、市教委が口を挟む問題でもありません。それを考慮するなら、市教委の苦渋の表現とも言えます。

 市教委は、現在も県教委そして神戸市教委とコンタクトを取り、最善の方策を探っているところです。一番いいのは単位制導入の先送り、仮に導入されたとしても開門率を下げない、この点で落ち着くことなのですが…。

 議会も教育委員会から説明を受けた後、表立った動きはとっていませんが関係者とつながりのある議員は水面下で市教委の支えをしています。

 県、神戸市そして芦屋と三者の思惑が交錯していますが、要は芦屋の生徒にとってどうなのか。しばらくの間、関係者は落ち着く間もありません。

(市会議員・中島健一)

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