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2017年(平29) 3月30日 議会レポのロゴ No.694

※来年度予算 成立しました

 3月に入ってから本格化していた新年度予算。定例議会最終日、可決成立しました。
 今回、会派を代表して予算の討論に立ちました。以下、その討論概要を紹介します。

 あしや真政会を代表し、各会計予算の賛成討論をします。

 芦屋市における1年間の予算。ともすると金額の多寡に目が行きがちですが、やはり大切なのはその内容、つまり市民生活を豊かにするためのものになっているかどうかにあります。
 予算審査を通して、私ども、あしや真政会から、そして各会派や議員から様々な意見要望があったわけですから、当局は真摯に受け止め善処すること、まず初めに指摘しておきます。

 さて、一般の企業における予算といえば、利益を上げなければなりませんから、実現可能な数字、例えば「今期の年商10億」という具体的目標を掲げます。
 1年間の予算、目標が決まったら、今度は部門内の各個人に割り振り、さらに月ごとの予算表を作成し、毎月予算会議を開きながら、達成率の確認や、各部門の課題に関して打ち合わせをしていきます。モチベーションを上げながら、目標達成に向け努力をしていくわけです。

 それに対し、自治体はそうストレートではありません。もちろん達成目標はありますが、どちらかというと、収入はほぼ決まっているわけですから、その中でどんな事業ができるのか、取捨選択をし、予算・事業内容が決まっていきます。

 何が言いたいかといいますと、企業においては売り上げのために必死になりますが、自治体においては決まった事業について消化をしていく、どちらかという と受身の態勢になりがちだということです。もちろん職員がそうだというわけではなく、そういった面があるということです。

 先進市を視察すると、その施策や事業には核になる職員が必ず1人いて、熱意を持って取り組み、いつの間にか周りを巻き込み、そして大きく飛躍をし、先駆的な事業となっていることがあります。

 今まさに必要なのは、そういった職員をこの芦屋市に、何人生み だし育て上げていくか、そしてモチベーションを維持させるか、だと思います。それに成功すれば、芦屋もさらに大きく発展していくこと、間違いありません。 その鍵となるのは、それはやはり、当局幹部の皆さんだと思います。職員の育成に、大いに励んで頂きたい、激を飛ばしておきたいと思います。

 ところで、私は冒頭に、予算は金額の多寡ではない、市民生活を豊かにする内容になっているかどうか、だといいました。一つ事例を挙げますが、地震災害時 に家具などの転倒を防止するための、家具転倒防止器具設置補助というのがあります。今年度要綱ができ、来年度の予算概要にも主な事業費として紹介されてい ます。予算金額は、10万円です。補助を行うことにより,高齢者などがいる世帯の家具転倒防止を促進,地震災害時における安全確保が目的、となっていま す。その趣旨は立派です。

 しかし、その補助金をもらうまでの手続きをみると、何度も書類をやり取りする必要があり、まさに煩雑です。その煩雑さをこなしても約5000円以内とい うわずかな補助金額でしかありません。そもそも、65歳以上の高齢者全てと障害を持つ人が対象なのに、補助金額約5000円で予算金額10万円。比較すれ ば、高齢者やその他の人のうち、何人の喜ぶ顔が見られる件数を見込んでいるのか、と考え込んでしまいます。

 逆に、今後大きな金額が必要となるだろう、幼稚園と保育園の統廃合では、保護者から批判も出ています。もちろん、事業遂行に当たって100%の合意は難しいでしょうが、その率を高めていく努力は欠かすことができません。
 金額の多寡を問わず、市民生活を豊かにする内容になっているのか。当局は、常にこの視点を忘れずに、事にあたって頂きたい。

 幼稚園、保育園の統廃合については、議会にとっても唐突感の否めない提起であったこと、改めて指摘をしておきます。

 そうはいっても、幼稚園の統廃合は現状からすれば避けては通れ ないものであり、幼保連携型のこども園新設と公立保育園の一部民営化を、どう総合的に絡めることが市にとって良い方向なのか、予算には賛成をしますが、先 ほど述べた、市民生活を豊かにする内容になっているのか、の点から更に検討を加える余地がある、と、指摘をしておきます。

 また、付け加えるならば、教育委員会は、芦屋市の教育部門の責任を担っていることを、改めて自覚して欲しいと思います。審査の中で議会側が指摘していた様々な点、なぜ指摘をされているのか、十分にわかってないよう思えました。

 教育委員会として、それなりに説明できることであったとしても、疑義が出てくるのにはやはり理由があること、そこに思いをはせて頂きたい。三浦綾子の『小さな郵便車』という著書の中にある、三浦さんの父親がよく言った言葉を紹介しておきます。

  「理屈はそうだが、理屈だけで人間の問題は解決しない」 

 この言葉、ぜひ、しっかり受け止めて頂き、今後の教育委員会としての活動に生かして欲しいと思います。

 さて、私を含めて議員というのは、委員会などではついつい問題点や課題ばかりを指摘することが多くなります。しかし、芦屋市の行政、評価されるべき点の 方が圧倒的に多いという事実に、誤りはありません。職員の方は、批判には耳を傾け、咀嚼しつつも、自信を持って日常活動にまい進して下さい。

 最後になりますが、市当局の念頭に置いて頂きたいのは、予算が成立した後、施策を流れ作業のように事務処理されては困る、という点です。遂行している事 業も、日々変化している市民生活の中にあるわけですから、固定化されたものではありません。修正すべき点があれば、スピーディーに判断し、柔軟に対応して こそ、予算が生かされます。

 市長におかれては、任期の折り返し地点です。市政全体をよく見回し、芦屋市民の生活が向上するよう、トップとしての適切な判断、そして指導力の発揮をお 願いします。また、副市長はその市長を補佐し、幹部の皆さんは、それぞれの業務全体にしっかり目配せと責任を持ち、職務にあたって下さい。

 私どもの会派あしや真政会も、議会の一翼として行政をしっかりチェックしつつ、政策論議のレベルを高めていけるよう研鑽していくことを表明し、賛成討論といたします。

(市会議員・中島健一)


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