[バックナンバーINDEX] [HOME]

2016年(平28) 7月14日 議会レポのロゴ No.677

※4月開園、取りやめに

 来年4月、浜風町に認定子ども園が開園する予定となっていましたが、設置運営事業者である社会福祉法人「夢工房」から、事業辞退の申し出がありました。このため、4月開園が事実上困難となり、延期せざるを得ない状況となっています。

 これは、芦屋市内でも3つの保育園を運営する社会福祉法人「夢工房」が、兵庫 県と姫路市の監査で、勤務実体のない理事長親族への給与支払いがあることが発覚したことによるものです。実態解明に向けて、県は第三者委員会設置を指示 し、芦屋市も独自調査を行う方向でした。その矢先に、「これ以上、市に迷惑はかけられない」と連絡があり、事業撤退に至ったものです。

 オープン予定だった浜風町の認定子ども園、定員は200人でした。待機児童の解消が待ったなしだったのですが、大変な事態となっています。

 予定では、市が浜風幼稚園の土地を無償提供し、夢工房が新園舎を建て開園する計画で、まさに工事着工が目の前でした。市は、別の事業者を早急に選定する準備を始めていますが、1年遅れで再来年4月開園も視野に入れざるを得ない、としています。

※狂犬病の予防接種
 市内には、犬を飼っている人も多いかと思います。家族の一員として育てられ、散歩の際にもきちんとマナーが守られているのは、本当に見ていても気持ちがいいものです。ところが、犬の登録と狂犬病の予防接種となると、ちょっと心配な状況があるのです。

 犬を飼って育てる時には、生後91日以上の犬に対して、生涯1回の犬の登録と、毎年1回の狂犬病予防注射を受けさせる義務があります。そして、犬の鑑札と予防注射済票を犬の首輪等に必ず着けることになっています。でも、実際は…

       市内の未登録犬 約2800頭(推定)
       狂犬病予防接種率 登録済犬 約72%
             未登録犬を含めると 約45%

 登録をして鑑札を着けていれば、迷子になっても名札がわりになり飼い主が分か ります。鑑札を着けていな場合、狂犬病予防法により捕獲の対象となってしまいます。そして、犬の登録と予防接種、この義務に違反すると、20万円以下の罰 金に処せられる場合があるのです。狂犬病予防法では…

第二十七条 次の各号の一に該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一 第四条の規定に違反して犬(略)の登録の申請をせず、鑑札を犬に着けず、又は届出をしなかつた者
二 第五条の規定に違反して犬に予防注射を受けさせず、又は注射済票を着けなかつた者


 なぜ、法律でここまで定めているのか、それには理由があります。狂犬病は、全世界では、年間5万人以上が死亡している人畜共通の感染症で、発症すると、ほぼ100%死亡します。

 そして、犬は人の狂犬病の感染源の9割以上を占めています。これまでに、統計が取られ始めて150万人ほどの人が死亡し、助かった人は6例しかないとのこと。そのうち5件は発症する前にワクチンを接種していたので、発症後に回復したのは1例しかないそうです。

 現在においても、発症前に狂犬病の感染を診断できる検査法がありません。恐風症状、恐水症状のような特有の症状が出るまで臨床診断が難しいと言われています。

 戦後の混乱期には、狂犬病が猫や他の家畜にまで拡大し大変だったのですが、その後、徹底した野犬等の駆除によって、この60年程は、国内での発生はありません。

 でも、海外で咬まれて国内で発症した事例が数件起きています。近い事例では10年前に、海外で犬に咬まれた人が京都と横浜で亡くなっています。

※法改正で、接種率が低下
 以前、飼い犬は毎年登録が必要でした。その為、登録と狂犬病の予防接種を一緒に済ませる人が多かったので、野良犬を除き、ほぼ飼い犬は100%近い接種率を保っていました。ところが、1995年から事態に変化が起こっています。

 それは、狂犬病予防法が改正され、犬の登録義務が毎年から、生涯1回に変わったことからです。つまり、犬の登録が生涯1回となり、毎年狂犬病の予防接種をする人が減り、接種率が低下してきているわけです。
WHO(世界保健機構)の勧告では、社会の犬の70%以上に予防接種がされていないと、ウイルスが入り込んだ時に、流行を抑えることができないとされています。

 1995年まで、ほぼ100%だった接種率は、一昨年2014年には71. 6%まで下がっています。70%を超えているから、と安心してはいけません。これは登録されている犬のみの数字だからです。登録をしていない犬、いわゆる 未登録犬を含めると、実態は40%を切っていると言われているのです。芦屋市内でも、先に紹介しましたが、約45%。やはり心配な状況なのです。

※日本は島国、だから大丈夫?
 日本は島国だから、大丈夫と言うことはありません。実は、50年以上狂犬病が発生していなかった台湾で、2013年、野生動物の間で狂犬病の流行が確認されました。翌年には台湾の広大な地域にわたって、狂犬病の発生が確認されています。

 では、日本はどうでしょうか。水際での対策は、進められてはいます。ですが犬 以外では、検疫の緩い部分もあるのです。ハムスターなどの小動物は、届出だけですんでしまいます。海外では、ペット用のハムスターから狂犬病を発症した事 例があります。そのハムスター、一昨年の輸入頭数、27万頭です。

 犬も、正規のルート以外から入ってくる犬もいます。有名なのはロシアからの漁船だそうです。船には守り神として犬を乗せていて、夜、港で自由に放して遊ばせていたり、逃げ出して国内に入り込んでいるということが報告されています。

 ハワイではカリフォルニアから寄港したコンテナ船内で狂犬病のコウモリが見つかりました。港湾施設の係官が危険を察知してコウモリを迅速にコンテナ内に隔離したため、ハワイ本土への侵入が未然に阻止されています。

 これらのことから、実際には、いつ日本国内で狂犬病が発生してもおかしくない 状況であると言われています。犬による咬傷事故件数、届出されているものだけで、これは毎年4000件を超えています。実際は、もっと多くの咬傷が発生し ているはずです。そして、日本に、狂犬病を診察した医師はほとんどいないので、診断と治療が遅れる可能性も心配です。これらの点からも、予防措置として犬 のワクチン接種は欠かせません。

 芦屋市でも、マナー条例指導員が啓発チラシを配布したり、新たな取り組みとして集団での予防接種を土曜日に行ったり、取り組みを強めているところですが、さらに周知・啓発活動を進めてほしいところです。

※デザインも検討を
 犬の鑑札、そして予防接種済票は、市が独自にデザインすることが可能です。犬に負担がかからないよう、機能的に、そして素材やデザインも一度検討をするべきだと指摘しておきました。

 例えば注射済票。名古屋市ではシールタイプに変更し、鑑札の裏に貼れるようにしています。いろいろ事例がありますから、より良いものにし、その点からも予防接種が進むようにして欲しいものです。

 さて、定例議会ではこの他にも、心の健康面から産業医のあり方やストレスチェックについても取り上げ、市の姿勢を質したところです。表決された議案等は、次週に紹介させて頂きます。

(市会議員・中島健一)


バックナンバーINDEXへ
HOME