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2016年(平28) 2月18日 議会レポのロゴ No.666

※ピロリ菌対策をすすめよ

 胃がんなどの異常を発見するため、市はバリウム検査に助成をしています。しか し、バリウム検査は、小さな異常の判別が難しくこの検査による事故も起きており「時代遅れ」だ、と言われています。ならば、それに変わるもの、ピロリ菌検 査に助成をする方向で、検診の充実を求めているところです。

 このピロリ菌とは、胃癌や十二指腸潰瘍を誘発する菌で、それを除去することで病気にならない、あるいはかかりにくい状況になる事が明らかになっています。
 
 しかし、このピロリ菌検査、芦屋には助成制度はありません。その点から、中学生を対象にピロリ菌の無料検査を実施し、成人対象にも費用の助成で、健康増進につなげられるよう対応を進める必要があります。

 では、少し詳しく、その必要性など内容について触れていきます。
 WHO(世界保健機構)が、ピロリ菌は確実な発がん要因として、認定しました。そして、日本の胃癌患者の99%以上がピロリ菌感染によると推計されています。つまり、ピロリ菌の除去が胃癌の予防につながるわけです。

 まず、胃癌による死亡者数、1970年ごろから、毎年ほぼ5万人が無くなっていますが、ピロリ菌を除去することによって、劇的に減らすことができるとされています。ピロリ菌は、胃の粘膜に棲みつく細菌で、一度感染すると治療で除去しない限り、消えることがありません。

 国は、除菌によって死亡率を引き下げる効果について、現在検証中としていますが、世界に先駆けて、慢性胃炎患者の除菌治療を健康保険の適用としました。つまり、癌につながる恐れのある慢性胃炎患者に、除菌治療の効果は認めているところです。

 現在、先行している自治体では、このピロリ菌について除去を啓発すると同時に、ピロリ菌に感染しているかどうかの検査に補助を出すようになっています。

なぜ若い世代にこの検査を求めるのか、それにも理由があります。

※一度の除菌で、効果が大
 一度除菌をすれば、再感染することもほとんどなく、早期に取り組めば、胃癌はもとより、胃炎、潰瘍などの予防にもつながり、か つ、将来的な医療費抑制が期待できるからです。また、感染が判明すれば、家族内に菌保有者がいる可能性もあり、家族で除菌をすれば、なお一層の効果も期待 できます。

 独立行政法人国立国際医療研究センターの上村理事は、
「ピロリ菌が胃炎・胃潰瘍の原因であることが判明し、ストレスやたばこから起こるという概念が完全に覆されました。胃潰瘍は一度治っても再発する、一生の 病気だと言われていたのが。ピロリ菌を除去すれば、ほとんど再発しなくなる」「胃炎だろうが胃潰瘍だろうが、胃の一生はピロリ菌に感染しているかどうかで 決まる」

 日本ヘリコバクター学会は、すべてのピロリ菌感染者への除菌治療を指針として示し、推奨しています。
 北海道大学大学院の間部医師は「中学生の感染率は5%、検査で見つかった生徒が除菌すれば、胃や十二指腸潰瘍になるリスクがほぼなくなり、胃癌もほぼ確実に予防できる」としています。

 具体的に数字を見てみると、ピロリ菌の除菌できなかった時代には、胃潰瘍で65%、十二指腸潰瘍では80%以上が1年以内に再発していましたが、ピロリ 菌除菌を行うようになってから年間再発率は2〜3%に激減していて、十二指腸潰瘍は、この10年20年のうちに日本から無くなると予測されていて、そのく らい、原因をなくすことは効果を発揮しているとの事です。

 胃癌でいえば、ピロリ菌除菌は胃癌の再発率を60%に抑えるものの、100%ではありません。高齢になって除菌しても抑制率は20〜30%にとどまって います。これは、感染期間が長期にわたると、その間に生じている胃炎から胃癌が生じている可能性が指摘をされており、中学生、高校生など、早期に除菌すれ ばほぼ100%胃癌にならない事が明らかになっています。

 日本臨床内科医学会では、「日本の胃癌の95%がピロリ菌感染由来で、バリウム検診のみの対策では『非科学的』」

 国立がん研究センターの浜島医師は、「胃癌の主なリスク要因としてピロリ菌感染」と指摘し、兵庫医科大学の奥田医師は、愛知医科大学、北海道大学らの医 師と共同で「胃がん予防を目的とした中学生ピロリ菌検診と除菌治療」とのタイトルで発表を行っていますが、「胃がん予防を目的とした場合、中学生もしくは より若年での除菌を行う必要があることが示唆された」としています。

 東京医科大学の草野医師は「除菌による効果があるわけですから、できるだけ若いうちに除菌することが望ましいと考えられています」としています。

 このような指摘がされる中、自治体においても取り組みが始まっています。岡山県真庭市が2013年8月に初めて若い世代への取り組みを行ってから、10 代のうちにピロリ菌に検査に取り組み自治体が増えています。京都府では高校生を対象にモデル事業を始めました。また、市町村が行うピロリ菌検査の補助金制 度を新設しました。北海道では14市町、秋田県の由利本荘市、にかほ市、大阪府では高槻市が、取り組んでいます。

 厚生労働省の調査では、ピロリ菌の検査を行っている自治体は全国で6%程あるそうです。芦屋市も早期に取り組むべきです。

※不安な出だし…
 新年号を発行したあと、またまたパソコンがクラッシュ。もう泣きました。昨年の夏前にパソコンが突然のご臨終で、慌てふためいてからまだ1年も経っていませんから。

 仕方がないので、また友人のお世話になりながら復旧させました。それでも一月近くかかり、その間、「たがも」も発行できず、調子が狂うばかり。そういえ ば、戎さんもお参りしようと駅を降りたものの、人が一杯でお参りできなかったし、このひと月を振り返るとテンションの下がることが多かったような気がしま す。

 そして久しぶりの発行なのに、よくよく見てみれば「議会レポ」のナンバーが 666 じゃないですか!
 もうね、しばらくおとなしくしていた方がよさそうです。合掌

(市会議員・中島健一)


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