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2003年(平15)12月

議長(都筑省三君) 次に、公益灯の整備について、リスク管理と内部統制に関して、以上2件について、中島健一議員の発言をお許しいたします。

 中島議員。

11番(中島健一君)=登壇= 通告に沿って一般質問を行います。

 1点目は、公益灯の整備についてです。

 昨今、犯罪の増加が大変気にかかるところです。全国的に犯罪はふえていますが、それは、芦屋も同じ状況です。犯罪がふえても、犯人がきっちり逮捕されれば、幾分問題は減るのでしょうが、実態はそうではありません。昨年度の芦屋市内の検挙率は7.2%、市内で交通事故など一部を除いた刑法犯、いわゆる一般の刑事事件ですけれども2,851件、これだけの犯罪が起こっているにもかかわらず、検挙できたのは204件、検挙率は7.2%に過ぎません。この数字は、数多くある警察署の中でワースト第4位という大変心もとない状況です。国会でも、芦屋のように低いところと検挙率の高いところとではなぜ差があるのかと、この件が取り上げられました。それに対して、増加する窃盗犯などの認知件数に検挙活動が追いついていないことが考えられるとの答弁です。

 犯罪捜査につきましては、警察に任せるしかありませんが、予防についてできることは、自治体としても取り組むべき課題であることは言うまでもありません。「芦屋市民の生活安全の推進に関する条例」というものが芦屋市にあります。第一条では、「この条例は、市民の安全意識の高揚及び自主的な生活安全活動の推進を図るとともに、市、市民及び事業者の責務を明らかにすることにより、犯罪及び事故を防止し、もって市民が安心して暮らせるまちを実現することを目的とする」となっています。条例にもうたっていますように、犯罪の予防、犯罪が起こりにくい環境づくりを進めていかなければなりませんが、その中の一つの視点として、まちを明るくする。公益灯の整備・管理がその重要な要素の一つとしてあげられるところだと思います。特に、夜間の犯罪を未然に防ぐには、公益灯の増設や照度の確保などによって、夜間でも周囲から人の行動がわかるような状況にしていくことが大切です。この街灯の増設、照度を明るいものに変えることを限られた予算の中で進めていくには、要望があったからとランダムに進めていくのではなく、市内の実態をきちんと把握した計画に基づいて進めていかなければならないと考えるところです。

 この街灯増設等については、現在どのような状況になっているのか、答えていただきたいと思います。

 また、行政が取り組んでいくということも大切ですけれども、行政のみでなく、各家庭や事業者に門前の明かりや夜間照明などの協力を求めていくことも大切かと思うところですが、この点についてどう認識しているのか、お尋ねしたいと思います。

 次に、2点目のリスク管理と内部統制に関してお尋ねいたします。

 統一地方選挙が終わりまして、7カ月と少したちました。山中市長においては、今座られている席も大分なじんできたのではないでしょうか。いい意味で早くなじんで 市長という立場での力をいかんなく発揮し、行政をまとめ、議会との緊張感に切れることなく仕事に励んでいただきたいと思います。しかし、悲しいことに、人というものは時間がたつにつれ、なれというものは必ず出てきます。そして、意識しなければ、なれにならされて、なれていることすらわからなくなり、手痛い失敗を犯してしまうものです。市長は芦屋市のトップです。芦屋という組織において、トップの意思を隅々まで浸透させ、その業務を適正かつ効率よく効果的に遂行させていかなければならないし、その責任があるところです。また、市長をはじめ、職員がなれにならされないよう常に意識改革等を促し、具体的な方策を講じることが必要となってきます。つまり、組織をどう管理・運営し、業務を遂行させる中で、市民という顧客の信頼を得ていくかということが市長の大きな仕事となるわけです。組織におけるリ―ダ―シップの大切さを事あるごとに口にされている市長ですから、このことはよく承知していることと思います。

 行政を改革していくためには何が必要かということで、ある本にはこういうことが書いてありました。「『市民は顧客である。』という思想のもとに、新しい行政機関を構築する。民間企業と同じレベルの経営管理手法を導入、定着化させるといった点が実行できるかが鍵を握っている」ということでした。私もまさにそう思います。

 ちまたでは「お役所仕事」といわれる事があります。「仕事がおそい」、「サ―ビスが悪い」など余りいい言葉でないことは言わなくてもわかると思いますが、これまではそれで通っていたかもしれません。影でこそこそ言われるだけで、特に大きな主張にまではなっていなかったかもしれません。しかし、いつまでもこのお役所仕事が通用するほど市民は甘くはないですし、ましてや、社会的状況が昔と大きく変わってきています。情報伝達手段の高速化、これには、目を見張るものがあります。歌にも歌われましたポケベルは、今や遠い過去の遺物になり、1人1台の携帯電話時代。それもまたカメラ付になり、動画が送れるようになり、今や第3世代の携帯に移行しつつあります。パソコンやインタ―ネットも同じ状況です。

 それらの活用が簡単、便利になればなるほど、一事業あるいは一サ―ビスの比較検討がより容易に簡単にできるようになって、市民が主体的に取捨選択できるようになってきているというわけです。つまり、自治体も選ばれる時代になっているわけです。また そのことが自治体間でのいわゆる横並びサ―ビスにきしみをもたらしています。加えて、地方分権の本質が地域住民を主体としたまちづくりにあることから、一層の比較、区別化が進んでいると言えます。つまり、「お役所仕事」という言葉は、もうじき死語になるだろうし、どこの自治体よりもこの言葉をいち早く死語に、もしくは迅速かつ効率的なサ―ビスを指すような言葉に転換させていかなければならないし、そうしないと、選択される、選ばれる自治体ではなくなるということだと思います。こういった点において、民間では、IT化、サ―ビスの充実、顧客満足度を高める方法では、公的な機関よりも一歩も二歩も先行しています。自治体も見習うべきところが多いのは言うまでもありません。民間だからとか、公的機関だからと初めから区別せず、よいところはどんどん学んでいく、取り入れていく、この姿勢が本当に大切ですし、今求められているところです。

 さて、その民間企業や組織において最近重要視されてきているのが、リスクマネジメントと内部統制であるということは、市長は御存知でしょうか。リスクといえば、一般的には「危険」、すなわち、悪い結果の発生可能という意味で使われますが、より広くとらえて、よい結果と悪い結果の双方の発生可能を含む不確実性ととらえた方がいいかもしれません。リスクマネジメントとは、組織の価値を維持・増大していくために、組織が諸活動、事業を行っていく上で、それに関連する内外のさまざまなリスクを適切に管理する活動をいいます。そして、もう一つの内部統制とは、組織がその諸活動・事業を適正かつ効果的に遂行するために組織内に構築され運用される体制及びプロセスのことを指します。その目的としては、コンプライアンス(法令尊守)の確保、業務効率化などを挙げることができるとされています。このリスクマネジメント及び内部統制が構築、運用されているということにより、企業でいえば、経営者は、より適切で大胆な経営判断を行うことができることになりますし、リスクマネジメントと内部統制を適切に構築すること、トップがトップであるための大前提とまで言われています。

 適切なリスクマネジメント及び内部統制が構築、運用されることにより、組織に対する顧客(芦屋市でいえば「市民」)の信頼感を高めることができ、組織の価値を向上させていくことも可能だといえます。以前からこの「内部統制」という考え方はありました。最近は、組織のトップが構築、運用する義務としての内部統制に変わってきています。その転換点になっているのが、平成12年の大和銀行ニュ―ヨ―ク支店巨額損失事件株主代表訴訟での大阪地裁判決であり、昨年度の神戸製鋼所総会屋利益供与事件株主代表訴訟での神戸地裁判決です。これは企業での内部統制システムに関しての裁判所の見解あるいは所見なんですけれども、引用しますと、取締役は従業員全員の動静を正確に把握することは事実上不可能であるため、取締役は、違法行為などがなされないよう、内部統制システムを構築すべき法律上の義務がある、こういうふうに訴えています。また、企業トップの地位にありながら、内部統制システムの構築を行わないで放置してきた代表取締役が、社内の違法行為について知らなかったという弁明だけでその責任は免れない。違法行為などに直接関与しなかった取締役でも監視職務違反が認められる可能性がある、こういうふうになっています。これは、企業だけの問題ではなくて、一般的な組織にも当てはまる問題です。つまり、組織のトップにいるなら、たとえ末端のことでも「知らなかった」では済まされませんよ。ということです。最近も、民事上では、構成員が犯罪を犯したら、そのトップにも責任があると、ある暴力団の事件でそのトップの責任を問う判決が出ています。

 市長がこれからさまざまなことについて指揮命令を出すわけですが、それには責任が伴うということです。つまり、内部統制を構築していないと、もはやただ違法、不当な行為を知らなかった、知り得なかったというだけでは責任は免れないことが判例上も確立してきているというわけです。

 そんな中、経済産業省が、ことし6月に「リスク管理、内部統制に関する研究会」報告書を発表しました。そのなかには、このリスク管理、内部統制がなぜ必要なのか、そして歴史的な経緯、経過にふれて、国内外の動き、そして、最後には指針というものが示されています。リスクマネジメントと一体となって機能する内部統制の指針ポイントというものがこの中でいろいろ紹介してあるわけですが、一つは、健全な内部統制環境の構築・運用。これには、例えば、違法な手段などによって業績を評価しないことや、研修などによって職員教育を徹底することなど、また、職務権限や責任の明確化、そして、特定の職員に権限や広範な裁量を与えない、こういうことが明示されています。そのほかにも、円滑な情報伝達の構築・運用ということでは、顧客の意見や苦情など外部からの情報の入手と活用のための体制を確立する事や、通常の業務報告経路とは別の報告経路、ヘルプラインなどを確立する。そして、クライシスマネジメント、これにも明確に対応して準備しておく。あるいは、業務執行部分から独立したモニタリングの確立、こういったことが幾つか指摘をされているところです。

 ここで詳しく触れることはいたしませんけれども、この内部統制の必要性に関して、市長の方はどのような認識をされているのか、お答えいただきたいと思います。

 また、この報告されています指針について、私は、芦屋市政の運営にも、組織運営という観点から導入していく、反映させていく必要があると思いますが、その点についてはいかがでしょうか、お答えいただきたいと思います。

議長(都筑省三君)  市長。

市長(山中 健君)=登壇= 中島健一議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、公益灯の整備についてのお尋ねでございますが、公益灯につきましては、道路沿いにおおむね40メ―トル間隔で設置することとしており、ほぼ設置は完了しておりますが、樹木の状況や道路の曲がり角などの付近で明るさが不足している場所もあり、夜間パトロ―ルを行って、適宜防犯対策も兼ね、公益灯の増設や取りかえにより、改善に努めているところでございます。

 また、平素から防犯のために門灯の点灯をお願いしているところですが、警察署や防犯協会で、同趣旨の「一軒一灯運動」に取り組んでおられますので、市としても協力してまいりたいと考えております。

 次に、リスク管理と内部統制についてのお尋ねにつきましては、リスクマネジメントと一体となって機能する内部統制の指針は、企業向けに経済活動の中におけるリスクに対応した内部統制に関する研究報告書ですが、組織運営という観点から、行政組織においても必要とされることと考えております。

 リスクの変化を敏感に察知して適時適切に対処する事や、権限と責任を明確にすること、研究等の徹底、日ごろからの情報の識別や収集、処理及び伝達の円滑化と非常時での対応方針を明確にしておくことなど、行政組織として求められる項目も多く含まれております。今後、組織体制を考える上で、参考にしてまいりたいと考えております。

 以上です。

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